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自分だけの世界

2016年08月28日 | Weblog

 自分だけの世界。 
自分だけの世界と言うと、他に誰も居ない世界のように響くかも知れないけど、もちろん、そんなことはない。
この世界でただ独りで存在することは不可能だし、そんな世界など望んでもいない。

 自分だけの世界。
想像の中では存在するのかもしれない。 それは自分の頭の中にある空間を自分のイメージが歩いているように、
そこに広がっている町や空や空気までもが記憶の底にある自我が求めている時空を形成している世界だろう。

 自分だけの世界。
もちろん、それは決して存在不可能でもなく、たぶん、きっと、どこかで、同じ人物や風景や空気も一致する世界が地球上には在るのかもしれない。 何しろ、人間のイメージがどこまでも広がっているとしても、現実の世界を超えるような世界なんてものは作りだすことができないでいる。 記憶や経験以上の想像力を持てるほどに人間のイメージは豊でもない。

 自分だけの世界。
どこかで耳にし、どこかで観、どこかで触れている世界だ。 それは幼い頃から今の一瞬までの長い時間の中で記憶に刻まれている時間と映像や音が細胞のどこかに刷り込まれていて、刷り込まれた記憶を頼りに自分に都合のいいイメージとして再現することだ。

 自分だけの世界。
ここではないどこかへの欲望なのか、それとも、ここではないどこかの居場所を探すための手探りなのか。

自分が何者なのか? そんな素直な問いに対して、答えを持っている人はどれほどいるだろうか?
この今、この一瞬に自分が何を、どのように、どれほどの意思を持って存在しているのかを知ることはできないだろう。
自己という世界だけが唯一この世界を形成しているものなのだ。

こうして目の前に映る映像は自分以外に見ることはできないだろう。
そして、どれほど愛する人がいるとしても、その人の目に映っている世界は決して今見ている世界とは違っているだろう。
どれほどの努力を重ねても、自分を超えた他の人の世界を知ることは不可能だ。
自分だけの世界はまさに、今、この目の前のありふれた世界なんだ。

このありふれた世界だけが、唯一の世界であって、そこにはもちろん家族や愛する人々がいる。がしかし、それも全て自分の眼を通した世界でしかない。 少なくとも、この世界はそれ以上でもないし、それ以下でもない。


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