私は、小学校四年生くらいで、無理やり、キスを経験した。
或る日、我が家は、私の両親は、小鳥屋を経営して居り、その鳥小屋の世話にかかりきりであった。
そのすきを狙って、近所の、S久間Y子というませた女の子、小学二年生くらいだったか、我が家に盗人の如く、いつのまにか、入って来ていた。
これには、我が家の両親は誰一人、気付かなかった。
そして、私は、朝で、一人で布団でスヤスヤと安心して眠っていた。
そこを狙って、そのY子は、私に近づき、私の唇を奪った。
私は、妙に息苦しいのを感じて、すぐに起きてしまった。
すると、少女のY子が、私に覆いふさがって、キスをしている最中であった。
私は取るものも取り敢えず、それを払い除けて、何だ、何してんだ、と凄んだ。
すると、私の怒りに触れて、自身の行いに恥じ入り、彼女は逃げる体制をとった。
世の男性は、そんなことを、ラッキーとか、何もそこまで、言わなくてもというかも知れぬが、これは、ハッキリ言って、セクハラだ。訴えたって、私が絶対に勝つ自信がある。
一目散に、その時覚えて居ないが、玄関だか、窓から、靴を、サンダルかも知れないが、とにかく、履いてきっと出て行ったのだろう。
私は一瞬の事で、唇は奪われるは、その少女に自身が凌辱された気分で、その日一日は、打ち沈んだ。
かといって、彼女、その女の子を、学校の集団登校で一緒に登校しても、僕らの間では、暗黙の了解で、全て秘密裏に処理を、私も彼女もその事実、秘密を守った。
詰まり、無かった事にした。
それ以後、詰まり初キスの日に、私の余りに血相を変えて、寝ぼけて、そこら中、タンスに頭をぶつけながら、その少女を追い掛けて、ケンカを吹っ掛けようとした事も、次第に、記憶から忘れて行った。
しかし、物凄く、その子が、ませていて、自分とはかけ離れて男性をリードしていく、良き頼もしい精神の持ち主という事だけは判った。
その子は、その頃から流行り出した、バレンタインデーには、お店で自分のお小遣いで買ったチョコレートを、必ず私に毎年くれた。
しかし、それにも、自分は、お返しをホワイトデーに返さずじまいで、全て終わってしまった。
思えば、私には、取り逃がした恋共が、余りに多すぎると思う。
今、彼女はどこに居て、何をしているのだろう。二十~三十年位前にここから越していった。一切が、全くの、不明である。
ここでも、人生の蹉跌を感ずる。私など、取るに足らぬ人間に過ぎぬ、と。
青年時代に、私どもの恋愛が成就していれば確実に、病気に無縁で、家族も出来て、互いに励まし合い、「学校学校」で、学校の事にも悩まず、非情なるストレスに関わりがなく、もっと今よりも健康で本当に幸せであった事であろうと思う。
以上。よしなに。wainai
長文失礼。