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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
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☆☆☆今年のテーマ:①漢検1級199点以上 ②好きな古代史の研究深化(古田説の研究) ③(非公開) ☆☆☆
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●<熟語の読み(音・訓) -準1級以下->のカテゴリーで、「朗」の熟語を整理しようと思ったけど、大体わかるだろうということで中止。それよりも、「清朗」と「晴朗」の違いが気になって、かなり時間がかかった・・・彼是2~3時間は優に要した・・・
●この2熟語、文章題または書き問題で出題されたら、ちょっと厄介かも・・・書き問題の場合、同音異義語で並列して出題されれば、逆にわかりやすいと思うが、どちらか一方だけの書き問題とされると厄介だと思った・・・
●まずは<漢検2>の整理・・・
<朗:小学…ロウ 中学…ほが(らか) 準1…あき(らか)、たか(らか)>
意味①ほがらか。あきらか。明るい。「朗報」「明朗」 ②たからか。声が高くすむ。「朗詠」「朗読」
下つき:清朗(セイロウ)・晴朗(セイロウ)・明朗(メイロウ)
朗らか(ほが-らか) 朗詠(ロウエイ) 朗吟(ロウギン) 朗唱(ロウショウ) 朗誦(ロウショウ) 朗読(ロウドク) 朗報(ロウホウ) 朗朗(ロウロウ)
(漢検2)
清朗(セイロウ):①さわやかですがすがしいさま。「都会より空気が―だ」 ②空がよく晴れてさわやかなさま。
晴朗(セイロウ):空がよく晴れわたって明るいさま。「天気―」
(広辞苑)
清朗(セイロウ):晴れて明るいさま
晴朗(セイロウ):空が晴れてのどかなさま。うららかなさま。「天気・・・なれども波高し」
*この「晴朗」は、日本海海戦で秋山真之が打電した「本日天気晴朗(せいろう)ナレドモ浪高シ」であまりにも有名・・・
(大字源)
清朗(セイロウ):きよく、ほがらか。すがすがしく晴れている。
晴朗(セイロウ):空が晴れてのどかなこと。
(注)(余談だが)「朗」に“のどかな”という意味は大字源にも見当たらないのだが、広辞苑や大字源では“のどかな”と説明している・・・
で、もう少し調べた・・・
デジタル大辞泉:清朗:①すがすがしくて気持ちがよいさま。「東京よりは…空気の―な事」〈漱石・門〉
②空が晴れてさわやかなさま。「清朗な秋天」
デジタル大辞泉:晴朗:空が晴れ渡ってのどかなさま。「天気晴朗なれども波高し」
大辞林 第三版:清朗:きよくすがすがしいさま。 「東京よりは余程暖かい事、空気の-な事/門 漱石」
大辞林 第三版:晴朗:空が晴れて、うらうらとしているさま。 「或-なる夏日なつのひに/思出の記 蘆花」
*どうも、「清朗」の場合は“天気”以外のことにも使われていて、「晴朗」は天気に関する場合の用語のようだが・・・「天気晴朗」なら成句的なのでわかりやすいのだが・・・
*ただ、確信がもてないので、青空文庫で、使用されている「清朗」と「晴朗」の文例を調べた・・・文例をみる限り、明らかに誤用かミスと思われるものもあるが、どちらの熟語でも通用しそうな表現もあったりして、なんとなくしか違いがわからないものもあった・・・各自、読んでみて“体感”していただいたほうが良いと思って、以下、それぞれの熟語が使用されている文例を列挙しておいた・・・
(青空文庫の検索)
①<清朗>の文例 ・・・以下、全文例中、「天気“清”朗」としているものが3つほどあった・・・
これらが間違いなのか、作者のミスなのか、青空文庫の誤植なのかどうかは不明(というか不詳)・・・が、大体、天気以外のことで使われているものが多いようである・・・
和辻哲郎 『劉生画集及芸術観』について - 青空文庫
そうしてこの成長、突破が年ごとに迫り行くところは、ただ偉大な古典的作品にのみ見られる無限の深さ、底知れぬ神秘感、崇高な気品、清朗な自由、荘重な落ちつきである。自分は正直に白状するが去年美術院の展覧会で初めてルノアルの原画を見たときに ...清朗な自由
夢野久作 良心・第一義 - 青空文庫
良心 財産を私有する勿れ心念を私有する勿れ汝の全霊を万有進化の流れと共鳴一致せしめよ常に無限なれ万古に清朗なれ良心は一切の本能が互いに統制し、自他の共鳴を完全にして、人文の進化を極致に導き来り、導きつつあり、導き行かんとする人類共通 ...万古に清朗なれ
長谷川時雨 大橋須磨子 - 青空文庫
それにつれて清朗な笛の音も聞える。そして、湿やかに、なつかしみのある三味線の音もあった。 ごしゃごしゃと、乱れた 想いで一ぱいだったと思った頭のなかは、案外からっぽだったと見えて、わたしは 何時かよい気持ちになって、ある年のある ...清朗な笛の音
高村光太郎 智恵子の半生 - 青空文庫
いつも清朗でおだやかであった。悲しい時には涙を流して泣いたが、又じきに直った。 昭和六年私が三陸地方へ旅行している頃、彼女に最初の精神変調が来たらしかった。私は彼女を家に一人残して二週間と旅行をつづけた事はなかったのに、此の時は一箇月 ...いつも清朗でおだやか
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 レ・ミゼラブル LES ...
あの最期の瞬間の激越な清朗さは消え 失(う) せ、社会的正義の幻が彼につきまとった。あらゆる仕事から常に輝きに満ちた満足の意をもって帰ってきていた彼は、今や自らおのれを咎めてるもののようであった。時々彼は自分自身に話しかけ、半ば口の中で ...激越な清朗さ
和辻哲郎 月夜の東大寺南大門 - 青空文庫
清朗で軽妙なあの屋根はほのかな銀色に光つてゐた。その銀色の面を区ぎる軒の線の美しさ。左半分が天平時代の線で、右半分が鎌倉時代の線であるが、その相違も今は調和のある変化に感じられる。その線をうける軒端には古色のなつかしい灰ばむだ朱 ...清朗で軽妙なあの屋根
楚囚之詩 - 青空文庫
又た不羈に清朗の天を旅し、 ひとたびは山野に威を振ひ、 剽悍なる熊をおそれしめ、 湖上の毒蛇の巣を襲ひ世に畏れられたる者なるに 今は此籠中に憂き棲ひ! 四人は一室(ひとま)にありながら 物語り ...清朗の天
正宗白鳥 花より団子 - 青空文庫 ***これは誤用とおもわれるのだが・・・***
日の丸の旗が村のどの家にも立てられた」とか、「天気清朗にして海も静かなり」とか、どうにか自分の頭を働かせて書くと、それで、何か珍らしいえらい事をしたやうな気がした。国旗の出されてゐる家は極めて少くてもさう書いたのだ。あの頃の作文はそれでよ ...天気清朗にして
和辻哲郎 夏目先生の追憶 - 青空文庫
肉体の苦しみよりもむしろ虚偽と不誠実との刺激に苦しみもがいていた病人が、その瞬間に宿命を覚悟し、心の平静と清朗とを取り返すのを見た時、私の心はいかに異様な感情に慄えたろう。……私は感謝し喜び、そうして初めてまじり気のない感情で ...心の平静と清朗
夏目漱石 門 - 青空文庫
まずここの閑静な事、海に近いせいか、東京よりはよほど暖かい事、空気の清朗な事、紹介された坊さんの親切な事、食事の不味い事、 夜具蒲団の綺麗に行かない事、などを書き連ねているうちに、はや三尺余りの長さに ...空気の清朗な事
泉鏡花 栃の実 - 青空文庫 ***これは“晴朗”でも通じそうではあるが・・・***
巒々相迫った、かすかな空は、清朗にして、明碧である。山気の中に優しい声して、「お掛けなさいましな。」軒は巌を削れる如く、棟広く柱黒き峯の茶屋に、木の根のくりぬきの火鉢を据えて、 ...かすかな空は、清朗にして
久生十蘭 顎十郎捕物帳 紙凧 - 青空文庫
どちらの空を見ても、清朗和順の気がただよっているのに、金座の上だけに、なにやら 悪湿の気が 靉(たなび )いている。……なるほど、このなかには、二百人からの人間が籠の鳥同然に押しこめられ、他人のため ...空を見ても、清朗和順の気
林芙美子 清貧の書 - 青空文庫
清朗な日が続いた。 井戸端に植えておいた三ツ葉の根から、薄い小米のような白い花が咲いた。 壁のモジリアニも、ユトリオもディフィも、おそろしく退屈な色に 褪めてしまって、私は、与一が毎朝出掛けて行くと、一日中呆んやり庭で暮らした。・・・清朗な日
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 レ・ミゼラブル LES - 青空文庫
彼は堅実で、清朗で、温和で、平和で、注意深く、まじめで、僅少に満足し、親切である。そして彼は、多くの富者に欠けてる二つの財宝を恵まれたことを神に謝する、すなわち、自分を自由ならしむる仕事と自分を価値あらしむる思念とを。 マリユスの ...彼は堅実で、清朗
小熊秀雄 小熊秀雄全集-2 詩集(1)初期詩篇 - 青空文庫
四季の蒼穹偉大なる顔の中の眼だそこに闘ふ男は血である 頭脳は棍棒のやうに重み心臓は石斧の閃きああ我等北方人の頭上には砧のやうに澄んだ蒼穹がある 或日は砂金を含むだ嵐或日は霜花と濃霧の日或日は野火の草木は炎上し或日は清朗とした盆花 ...或日は清朗とした
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 レ・ミゼラブル LES - 青空文庫
清朗なる高峰の上には純なる精神の光明がひらめくのが見られた。それこそ壮大なる有益なるかつ魅力ある光景であった。十五年の間、平和のうちに、戸外の巷に、偉大なる主義が働くのが見られた。それらの主義は、思想家にとってはいかにも陳腐 ...清朗なる高峰
上田敏 上田敏訳 海潮音 - 青空文庫
讀者の眼頭に彷彿として展開するものは、豪壯悲慘なる北歐思想、明暢清朗なる希臘田野の夢、または銀光の朧々たること、其聖十字架を思はしむる基督教法の冥想、特に印度大幻夢涅槃の妙説なりけり。 * 黒檀の森茂げき此世の涯の老國より來て、彼は ...明暢清朗なる希臘田野
新渡戸稲造 自警録 - 青空文庫 ***これも誤用と思われるのだが・・・***
如何となれば僕のその日の心持ちを知らんから、その日ことさら気分がよかった、天気が清朗であったなどということは 考えの内に入れてくれぬから、同じく成功とみなしても、僕が思う程度に成功と思ってくれる人ははなはだ少ない。・・・天気が清朗
和辻哲郎 古寺巡礼 - 青空文庫
しかもその力強さと自由と清朗の気とにおいてははるかに優っている。藤原時代の絵巻に現われた女の服装と、この吉祥天の服装とを比較して見ても、単に趣味の相違のみならず、心情全体の相違が感ぜられる。そうしてその相違は、同じように、和歌にも、造形 ...自由と清朗の気
種田山頭火 松山日記 - 青空文庫
清朗を感じる、書債を果したので身心軽快。 東亜新建設の第一歩、新支那中央政府の誕生、王精衛さつさうとして登場、日支がつちり握手せよ。 そこらで鶏がしきりに啼く、お前も孤独の鳥だね。 朝から狼火が鳴る、道後の温泉祭だ。 けさも郵便は――やつと来 ...清朗を感じる
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
清朗な心で人生をながめ得る者にとっては、社会の胸の中に、皮相な文明の極度の精練と深い動物性との間に、常に存在する矛盾は、大なる興味を含んでるものである。化石や化石された魂などでいっぱいになっていないあらゆる客間は、あたかも二つの地層の ...清朗な心
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
音楽よ、清朗なる友よ、下界の太陽の荒々しい光に疲れた眼には、月光のごとき汝の光がいかに快いことであろう! 万人が水を飲まんとて足を踏み込み濁らしてる共同水飲み場から、顔をそむけた魂は、汝の胸に取りすがって、汝の乳房から夢想の乳の流れを ...清朗なる友
斎藤茂吉 万葉秀歌 - 青空文庫
全体がむつかしくない、赤人的な清朗な調べの歌であるが、菫咲く野に対する一つの係恋といったような情調を感じさせる歌である。即ち極く広義の恋愛情調であるから、説く人によっては、恋人のことを歌ったのではないかと 詮議する ...清朗な調べ
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
それは勇壮なる交響曲であって、たがいに衝突し入り乱れる不協和音までが、一つの清朗な協奏をなしている。静寂のうちに奮闘してる ※(「木+無」、第3水準1-86-12 ( ぶな ) の森のように、生は永遠の平和のうちに戦っている。 その戦いと平和とが、クリストフ ...清朗な協奏
宮本百合子 獄中への手紙 一九四五年(昭和二十年) - 青空文庫
今年の正月は、全くわたしもすがすがしい気分が主潮をなしていて、清朗であり、そこに光りもとおして居りますけれど、思えば思えば御苦労さま、というところもひとしおで、そのすがすがしい清朗さに、云うに云えないニュアンスを優しく愁わしく添えて居ります。・・・気分が主潮をなしていて、清朗
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 レ・ミゼラブル LES - 青空文庫
ジャン・ヴァルジャンはしばらくの間、そのおごそかなまたやさしい清朗の気にまったく打たれてしまった。かく我を忘れさせる瞬間もよくあるものである。そういう時、苦悩は不幸なる者をわずらわすのをやめる。すべては思念の中に姿を潜める。平和の気は夢想する ...やさしい清朗の気
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
かくてクリストフは、ゲーテの偉大な言葉を、まだその尊大なる清朗さには到達していなかったけれども、みずから知らずして注釈したのであった。 民衆は崇高なるものをもてあそぶ。されどもしその真相を知らば、あえてながめ得るの力を有せざるべし。 クリストフ ...尊大なる清朗さ
吉川英治 三国志 孔明の巻 - 青空文庫
一日たりとも、 家兄(このかみ)のそばを離れているのは、一日の不幸だ。おれも行く」 と、後から追いかけて、供のうちに加わった。 春は浅く、残んの雪に、まだ風は冷たかったが、清朗の空の下、道は快くはかどった。 やがて、臥龍の岡につく。・・・清朗の空
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
同じあたたかさが二人の身体を流れていた。彼は夢想にふけり始めた。血潮は穏かな大きい波をなして流れていた。清朗な感覚は微妙な清新さでごくわずかな印象をも感じていた。彼は自分の力と青春とを楽しんだ。男子たるの誇りを感じた。自分の幸福に 微笑 ...清朗な感覚
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
オリヴィエは清朗な精神と病弱な身体とをもっていた。クリストフは強力と落ち着きのない魂とをもっていた。二人は盲者と中風患者とであった。そして今二人いっしょにいると 豊饒な気がした。クリストフの影に身を置いて、オリヴィエは光にたいする ...清朗な精神
井上円了 南半球五万哩 - 青空文庫 ***これも誤用か?ミスか?
一天片雲なく、天気清朗、極めて爽快を覚ゆ。わが十一月ごろの快晴に同じ。しかして気候はわれよりも温暖なり。午前、植物園を通観す。園内広闊にして、地形高低あり。かつ海湾に浜し、内外の風致、自然の美を呈す。ときに秋芳色を競い、なかんずく菊花全盛 ...天気清朗
佐藤惣之助 季節の馬車 - 青空文庫
清朗 古き寺の庭のまはりにひびく雜木の濤をほんのりと吹きとほらせる風のいろは午前の黄金とあたらしい影をはつきりとはなち花もつ梢の片面をうすもも色に照らして青みゆく影の動き多き西邊の丘の方へとそのいきながらの羽とほのほをなびかせひそかにちる ...清朗 古き寺
阿部次郎 三太郎の日記 第二 - 青空文庫
俺は未だ究竟の意味に於いて關門を突破した時の爽快と清朗との味を知つてゐるとは云ひ難い。第一義の生活に於いて、俺のやうに鈍根な、俺のやうに迷執の多い人間は他にあるまいと思はれるほど、俺は惑つて、困つて、ひつかゝつて、進み兼てゐる。併し俺 ...時の爽快と清朗
野村胡堂 楽聖物語 - 青空文庫
そこには 深沈たるものも、苦渋なものもないが、その代り、春の光のような和やかな明るさと、滴るような情愛とがあり、高貴な 整頓と、清朗な美しきとがある。 レコードは必ずしも多くなく、有名なシンフォニーや有名 ...清朗な美しき
豊島与志雄 反抗 - 青空文庫
然し精神は清朗明晰を極めてるがように感ぜらるる。 母がしきりにこちらを窺ってるのが分る。俺は真正面から母の顔を見返してやる。その白い額から小皺を刻んだ頬へかけて、石のような感じがする。不思議だ。隆吉を抱いてる彼女の姿は、 ...精神は清朗明晰
②<晴朗>の文例・・・他にもたくさん<晴朗>の文例はあるも略・・・以下、ほとんどが“天気晴朗”“(天気)晴朗な日”とかの表現で、天気に関するものだが、こちらもやはり、一部、<晴朗>ではないのではないかと思えるもの(あきらかに“清朗”のほうが適していると思われるもの)もある・・・これも誤用なのか青空文庫のミスなのか不詳・・・また、一部は、“清朗”でも“晴朗”でも通じるようなものもある・・・
豊島与志雄 情意の干満 - 青空文庫
本日天気晴朗なれども波高し、というのが日本海軍の海戦記の常套語だと聞く。私の心中も、本日天気晴朗なれども波高し。こういう時私は、批評家ではない。珠玉をも瓦礫 ...天気晴朗
井上円了 妖怪学一斑 - 青空文庫
また、今まで晴朗であった天気が、にわかにかき曇ったというように、気候の上に変動をきたしたときには、多く病人は生命を失うものである。ゆえに、烏は気候に鳴き、人はその気候に死するも、烏は人の死を知るものなりといって、ただちにこれを人に結ぶことは ...晴朗であった天気
種田山頭火 行乞記 仙崎 - 青空文庫
晴朗、新秋清涼の気天地に満つ、身辺整理、心境平安、澄んで沈むのか、沈んで澄むのか、とにかく落ちついた。 明日から福岡地方へ行乞に出かけるので、畑の手入をして置く、広島菜を一うね、時知らず大根を半うね播いて置く。 トマトはうまいな、いつ食べて ...晴朗、新秋清涼の気
豊島与志雄 豊島与志雄訳 ジャン・クリストフ JEAN CHRISTOPHE 改訳 ...
最後に第四編(燃ゆる荊、新らしき日)は、人生のさなかにおける大試錬であり、懐疑と暴虐な情熱の突風であり、魂の暴風雨であって、それはすべてを破壊しつくす恐れがあるが、しかし超自然的な曙の初光を受けて、最後の晴朗に終る ...最後の晴朗 *これは天気のことをいっているようだから、「晴朗(な天気)」という意味だと思われるが・・・
坂口安吾 真珠 - 青空文庫
相模湾は沖一面に白牙を騒がせ、天気晴朗なれども波高し、である。だから、この日は漁ができず、国府津にも、二の宮にも、地の魚はなかつた。国府津では、兵隊を満載した軍用列車が西へ向つて通過した。 国府津でバスを乗換へて、二の宮へ行く。途中で ...天気晴朗
一つの出来事 - 青空文庫 *これは天気以外で使われている模様・・・誤植かも知れないし不明
疑い合い、索(さぐ)り合い要心し合って暮す人生が、どうして歓びへの第一歩であろう、そう偽されても正直者の方がよい――がしかし、私の心持は平静ではない。晴朗さが ...晴朗さ
井上円了 妖怪報告 - 青空文庫 *これは“天気”でなく、“天”に対して使っているがどうなのかな・・・「清朗」が使われる“空”ではなく、“天”なので、この場合は“天気”に通じるということで“晴朗”で良いのかも知れない・・・
しかれども、予や元来、夢想に感じ、空想を 惹起するがごとき情感なく、ことに夢境は某川暴漲せりと覚ゆれども、あたかも天晴朗、降雨の兆しもなし。かつ、はじめ家を去るとき、父平素にたがわず健康なれば、これを煙消霧散に付し、 ...あたかも天晴朗
久生十蘭 ノンシャラン道中記 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
ここに一念発起したコン吉が、 詩神(アポロン) の大威業力に依願し、前掲の拙劣なる短詩をコントラ・バスの伴奏にのせ、日ごと毎日わびしげに独唱するところ、凡夫の悲願、タヌキ菩薩もあわれと 思召 ( おぼしめ ) し給いけむ二月上旬のとある天気晴朗の朝、 ...天気晴朗
豊島与志雄 或る作家の厄日 - 青空文庫 *これはおかしくないか?夜が“晴朗”とは・・・これは“清朗”の方が適していると思われるが・・・
考えることがあるのだ。重大な考えごとがあるのだ。少しぬる加減の酒を、思惟の速度に合して、口にふくむだけで、眼を見据えていると、室の天井も四壁も消失して、心気は天地と合体する。微風が音もなく流れ、露が静かに結ぼれてる、晴朗な夜である。 「先生。・・・晴朗な夜
豊島与志雄 風景 - 青空文庫 *これはよくわからないが、“清朗”でも“晴朗”でも通用しそうではあるが、やはり“晴朗な・・・光”のほうが適していると思うが・・・
美しい木立、柔かな草原、青い大空、晴朗な日の光、つまり豊かなる自然――なぜなら、自然は常に豊かだから。そして夢みるような街道――なぜなら、街道は旅の象徴であり、旅は夢想だから。そして二人の恋人か或は仲間――なぜなら、一人で道を進み得る ...晴朗な日の光
岡本綺堂 半七捕物帳 海坊主 - 青空文庫
天気晴朗の日でも品川の海には突然颶風を吹き起すことがある。船頭たちは無論それを知っているので、この奇怪な男の警告を一概に笑って聞き流すわけにも行かなかったが、そうした恐ろしい魔風を運び出して来るらしい雲の影はどこにも見えないので、かれ ...天気晴朗の日
芥川龍之介 追憶 - 青空文庫
が、「今日晴朗なれども 浪高し」の号外は出ても、勝敗は容易にわからなかった。するとある日の午飯(ひるめし) の時間に僕の組の先生が一人、号外を持って教室へかけこみ、「おい、みんな喜べ。大勝利だぞ」と声をかけた。この時の僕らの感激は ...今日晴朗なれども
正岡子規 雲の日記 - 青空文庫
少量の麻酔剤を服したるが如し。 廿八日 雨晴れ雲なし。朝、眼ざめて聞けば、鴨逃げて隣の庭に行きたりとてののしる。 廿九日. 卅日. 卅一日 毎夜、夜を 更かして頭痛み雲 掩ふ。窓外の天気常に晴朗。 〔『ホトトギス』第二巻第 ...天気常に晴朗
押川春浪 南極の怪事 - 青空文庫
もとより客室など云う気のきいたものはなければ、余は船の最も底の倉庫のごとき処に毛布を敷き、そこを居室兼寝室と定めしも、天気晴朗なる日はそのような薄暗き処に閉じこもる必要なし、余は航海中の多くを風清き甲板上に暮すつもりにて、一日も早く世人の ...天気晴朗
中里介山 大菩薩峠 みちりやの巻 - 青空文庫
朝は小河内を早立ちだったものですから、足の達者な上に、気を負う武者修行のことで、ここを通りかかった時分が日盛りで、ことにその日は天気晴朗、高山の上にありがちな水蒸気の邪魔物というのがふきとったように、白根、赤石の連山までが手に取るように ...その日は天気晴朗
豊島与志雄 幻覚記 - 青空文庫 *“(天気が)晴朗な午後”という意味だと思うが、これだけの文だと“清朗”でも通じると思われるが・・・
その叔母さんと、小学生の娘と、私の母と、四人で、晴朗な午後、自然の中を歩くのである。先ず八幡様と地蔵様とにお詣りをし、それから広い河原に行く。清い流れには小鮎 ...晴朗な午後
中井正一 探偵小説の芸術性 ――文学のメカニズム―― - 青空文庫 *これは明らかに天気以外で使われているけどミスか誤植ではないか???
現代人の晴朗と強靱性はこの深い憂欝の白冥を通っていると思われる。彼らの截断性は、かの思索の凝滞と晦渋を貫いてであると思われる。自分が醜いということすらが悪寒のごとき修飾であることを見透したるものの明かるき自嘲、そこには無限の反省の苦汁 ...現代人の晴朗と強靱性
永井荷風 断腸亭日乗 断腸亭日記巻之五大正十年歳次辛酉 - 青空文庫
三月二十日。 春分。天気晴朗。 三月廿二日。 風月堂にて夕餉をなし、有楽座に立寄る。久米氏風労にて顔面いがみ元気なし。 .... 四月廿九日。 天気晴朗。薫風爽颯。 四月三十日。 陰る。銀座街上青楓画伯に逢ふ。 五月朔。 風月堂にて偶然松莚子一家門弟を ...天気晴朗
大杉栄 新しき世界の為めの新しき芸術 - 青空文庫 *これも天気以外で使用されているが、ミスかも・・・
吾々が、吾々の晩年に吾々の任務を果たし、吾々の共同行為の義務を尽した後に、公平無私の芸術や、ゲエテの晴朗や、純粋の美を望むのは、善い事でもあり自然の事でもある。それは人生の旅の至上の理想であり究竟である。しかし、其処へ行くだけの功蹟 ...ゲエテの晴朗
白塔の歌 - 青空文庫 *これだけだと「清朗」でも✖にはできないのではないか・・・***
北京の秋は、夏を追い立てるように急にやって来て、そして晴朗な日が続きます。南海公園の小島の岸には、まだ釣りの遊びをしている人々が見られました。その側に、少し離れて、汪紹生はぼんやり欄杆にもたれていました。 釣りをしてるのは、二三の少年と、中 ...晴朗な日
👍👍👍 🐔 👍👍👍
<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
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☆☆☆今年のテーマ:①漢検1級199点以上 ②好きな古代史の研究深化(古田説の研究) ③(非公開) ☆☆☆
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●<熟語の読み(音・訓) -準1級以下->のカテゴリーで、「朗」の熟語を整理しようと思ったけど、大体わかるだろうということで中止。それよりも、「清朗」と「晴朗」の違いが気になって、かなり時間がかかった・・・彼是2~3時間は優に要した・・・
●この2熟語、文章題または書き問題で出題されたら、ちょっと厄介かも・・・書き問題の場合、同音異義語で並列して出題されれば、逆にわかりやすいと思うが、どちらか一方だけの書き問題とされると厄介だと思った・・・
●まずは<漢検2>の整理・・・
<朗:小学…ロウ 中学…ほが(らか) 準1…あき(らか)、たか(らか)>
意味①ほがらか。あきらか。明るい。「朗報」「明朗」 ②たからか。声が高くすむ。「朗詠」「朗読」
下つき:清朗(セイロウ)・晴朗(セイロウ)・明朗(メイロウ)
朗らか(ほが-らか) 朗詠(ロウエイ) 朗吟(ロウギン) 朗唱(ロウショウ) 朗誦(ロウショウ) 朗読(ロウドク) 朗報(ロウホウ) 朗朗(ロウロウ)
(漢検2)
清朗(セイロウ):①さわやかですがすがしいさま。「都会より空気が―だ」 ②空がよく晴れてさわやかなさま。
晴朗(セイロウ):空がよく晴れわたって明るいさま。「天気―」
(広辞苑)
清朗(セイロウ):晴れて明るいさま
晴朗(セイロウ):空が晴れてのどかなさま。うららかなさま。「天気・・・なれども波高し」
*この「晴朗」は、日本海海戦で秋山真之が打電した「本日天気晴朗(せいろう)ナレドモ浪高シ」であまりにも有名・・・
(大字源)
清朗(セイロウ):きよく、ほがらか。すがすがしく晴れている。
晴朗(セイロウ):空が晴れてのどかなこと。
(注)(余談だが)「朗」に“のどかな”という意味は大字源にも見当たらないのだが、広辞苑や大字源では“のどかな”と説明している・・・
で、もう少し調べた・・・
デジタル大辞泉:清朗:①すがすがしくて気持ちがよいさま。「東京よりは…空気の―な事」〈漱石・門〉
②空が晴れてさわやかなさま。「清朗な秋天」
デジタル大辞泉:晴朗:空が晴れ渡ってのどかなさま。「天気晴朗なれども波高し」
大辞林 第三版:清朗:きよくすがすがしいさま。 「東京よりは余程暖かい事、空気の-な事/門 漱石」
大辞林 第三版:晴朗:空が晴れて、うらうらとしているさま。 「或-なる夏日なつのひに/思出の記 蘆花」
*どうも、「清朗」の場合は“天気”以外のことにも使われていて、「晴朗」は天気に関する場合の用語のようだが・・・「天気晴朗」なら成句的なのでわかりやすいのだが・・・
*ただ、確信がもてないので、青空文庫で、使用されている「清朗」と「晴朗」の文例を調べた・・・文例をみる限り、明らかに誤用かミスと思われるものもあるが、どちらの熟語でも通用しそうな表現もあったりして、なんとなくしか違いがわからないものもあった・・・各自、読んでみて“体感”していただいたほうが良いと思って、以下、それぞれの熟語が使用されている文例を列挙しておいた・・・
(青空文庫の検索)
①<清朗>の文例 ・・・以下、全文例中、「天気“清”朗」としているものが3つほどあった・・・
これらが間違いなのか、作者のミスなのか、青空文庫の誤植なのかどうかは不明(というか不詳)・・・が、大体、天気以外のことで使われているものが多いようである・・・
和辻哲郎 『劉生画集及芸術観』について - 青空文庫
そうしてこの成長、突破が年ごとに迫り行くところは、ただ偉大な古典的作品にのみ見られる無限の深さ、底知れぬ神秘感、崇高な気品、清朗な自由、荘重な落ちつきである。自分は正直に白状するが去年美術院の展覧会で初めてルノアルの原画を見たときに ...清朗な自由
夢野久作 良心・第一義 - 青空文庫
良心 財産を私有する勿れ心念を私有する勿れ汝の全霊を万有進化の流れと共鳴一致せしめよ常に無限なれ万古に清朗なれ良心は一切の本能が互いに統制し、自他の共鳴を完全にして、人文の進化を極致に導き来り、導きつつあり、導き行かんとする人類共通 ...万古に清朗なれ
長谷川時雨 大橋須磨子 - 青空文庫
それにつれて清朗な笛の音も聞える。そして、湿やかに、なつかしみのある三味線の音もあった。 ごしゃごしゃと、乱れた 想いで一ぱいだったと思った頭のなかは、案外からっぽだったと見えて、わたしは 何時かよい気持ちになって、ある年のある ...清朗な笛の音
高村光太郎 智恵子の半生 - 青空文庫
いつも清朗でおだやかであった。悲しい時には涙を流して泣いたが、又じきに直った。 昭和六年私が三陸地方へ旅行している頃、彼女に最初の精神変調が来たらしかった。私は彼女を家に一人残して二週間と旅行をつづけた事はなかったのに、此の時は一箇月 ...いつも清朗でおだやか
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 レ・ミゼラブル LES ...
あの最期の瞬間の激越な清朗さは消え 失(う) せ、社会的正義の幻が彼につきまとった。あらゆる仕事から常に輝きに満ちた満足の意をもって帰ってきていた彼は、今や自らおのれを咎めてるもののようであった。時々彼は自分自身に話しかけ、半ば口の中で ...激越な清朗さ
和辻哲郎 月夜の東大寺南大門 - 青空文庫
清朗で軽妙なあの屋根はほのかな銀色に光つてゐた。その銀色の面を区ぎる軒の線の美しさ。左半分が天平時代の線で、右半分が鎌倉時代の線であるが、その相違も今は調和のある変化に感じられる。その線をうける軒端には古色のなつかしい灰ばむだ朱 ...清朗で軽妙なあの屋根
楚囚之詩 - 青空文庫
又た不羈に清朗の天を旅し、 ひとたびは山野に威を振ひ、 剽悍なる熊をおそれしめ、 湖上の毒蛇の巣を襲ひ世に畏れられたる者なるに 今は此籠中に憂き棲ひ! 四人は一室(ひとま)にありながら 物語り ...清朗の天
正宗白鳥 花より団子 - 青空文庫 ***これは誤用とおもわれるのだが・・・***
日の丸の旗が村のどの家にも立てられた」とか、「天気清朗にして海も静かなり」とか、どうにか自分の頭を働かせて書くと、それで、何か珍らしいえらい事をしたやうな気がした。国旗の出されてゐる家は極めて少くてもさう書いたのだ。あの頃の作文はそれでよ ...天気清朗にして
和辻哲郎 夏目先生の追憶 - 青空文庫
肉体の苦しみよりもむしろ虚偽と不誠実との刺激に苦しみもがいていた病人が、その瞬間に宿命を覚悟し、心の平静と清朗とを取り返すのを見た時、私の心はいかに異様な感情に慄えたろう。……私は感謝し喜び、そうして初めてまじり気のない感情で ...心の平静と清朗
夏目漱石 門 - 青空文庫
まずここの閑静な事、海に近いせいか、東京よりはよほど暖かい事、空気の清朗な事、紹介された坊さんの親切な事、食事の不味い事、 夜具蒲団の綺麗に行かない事、などを書き連ねているうちに、はや三尺余りの長さに ...空気の清朗な事
泉鏡花 栃の実 - 青空文庫 ***これは“晴朗”でも通じそうではあるが・・・***
巒々相迫った、かすかな空は、清朗にして、明碧である。山気の中に優しい声して、「お掛けなさいましな。」軒は巌を削れる如く、棟広く柱黒き峯の茶屋に、木の根のくりぬきの火鉢を据えて、 ...かすかな空は、清朗にして
久生十蘭 顎十郎捕物帳 紙凧 - 青空文庫
どちらの空を見ても、清朗和順の気がただよっているのに、金座の上だけに、なにやら 悪湿の気が 靉(たなび )いている。……なるほど、このなかには、二百人からの人間が籠の鳥同然に押しこめられ、他人のため ...空を見ても、清朗和順の気
林芙美子 清貧の書 - 青空文庫
清朗な日が続いた。 井戸端に植えておいた三ツ葉の根から、薄い小米のような白い花が咲いた。 壁のモジリアニも、ユトリオもディフィも、おそろしく退屈な色に 褪めてしまって、私は、与一が毎朝出掛けて行くと、一日中呆んやり庭で暮らした。・・・清朗な日
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 レ・ミゼラブル LES - 青空文庫
彼は堅実で、清朗で、温和で、平和で、注意深く、まじめで、僅少に満足し、親切である。そして彼は、多くの富者に欠けてる二つの財宝を恵まれたことを神に謝する、すなわち、自分を自由ならしむる仕事と自分を価値あらしむる思念とを。 マリユスの ...彼は堅実で、清朗
小熊秀雄 小熊秀雄全集-2 詩集(1)初期詩篇 - 青空文庫
四季の蒼穹偉大なる顔の中の眼だそこに闘ふ男は血である 頭脳は棍棒のやうに重み心臓は石斧の閃きああ我等北方人の頭上には砧のやうに澄んだ蒼穹がある 或日は砂金を含むだ嵐或日は霜花と濃霧の日或日は野火の草木は炎上し或日は清朗とした盆花 ...或日は清朗とした
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 レ・ミゼラブル LES - 青空文庫
清朗なる高峰の上には純なる精神の光明がひらめくのが見られた。それこそ壮大なる有益なるかつ魅力ある光景であった。十五年の間、平和のうちに、戸外の巷に、偉大なる主義が働くのが見られた。それらの主義は、思想家にとってはいかにも陳腐 ...清朗なる高峰
上田敏 上田敏訳 海潮音 - 青空文庫
讀者の眼頭に彷彿として展開するものは、豪壯悲慘なる北歐思想、明暢清朗なる希臘田野の夢、または銀光の朧々たること、其聖十字架を思はしむる基督教法の冥想、特に印度大幻夢涅槃の妙説なりけり。 * 黒檀の森茂げき此世の涯の老國より來て、彼は ...明暢清朗なる希臘田野
新渡戸稲造 自警録 - 青空文庫 ***これも誤用と思われるのだが・・・***
如何となれば僕のその日の心持ちを知らんから、その日ことさら気分がよかった、天気が清朗であったなどということは 考えの内に入れてくれぬから、同じく成功とみなしても、僕が思う程度に成功と思ってくれる人ははなはだ少ない。・・・天気が清朗
和辻哲郎 古寺巡礼 - 青空文庫
しかもその力強さと自由と清朗の気とにおいてははるかに優っている。藤原時代の絵巻に現われた女の服装と、この吉祥天の服装とを比較して見ても、単に趣味の相違のみならず、心情全体の相違が感ぜられる。そうしてその相違は、同じように、和歌にも、造形 ...自由と清朗の気
種田山頭火 松山日記 - 青空文庫
清朗を感じる、書債を果したので身心軽快。 東亜新建設の第一歩、新支那中央政府の誕生、王精衛さつさうとして登場、日支がつちり握手せよ。 そこらで鶏がしきりに啼く、お前も孤独の鳥だね。 朝から狼火が鳴る、道後の温泉祭だ。 けさも郵便は――やつと来 ...清朗を感じる
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
清朗な心で人生をながめ得る者にとっては、社会の胸の中に、皮相な文明の極度の精練と深い動物性との間に、常に存在する矛盾は、大なる興味を含んでるものである。化石や化石された魂などでいっぱいになっていないあらゆる客間は、あたかも二つの地層の ...清朗な心
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
音楽よ、清朗なる友よ、下界の太陽の荒々しい光に疲れた眼には、月光のごとき汝の光がいかに快いことであろう! 万人が水を飲まんとて足を踏み込み濁らしてる共同水飲み場から、顔をそむけた魂は、汝の胸に取りすがって、汝の乳房から夢想の乳の流れを ...清朗なる友
斎藤茂吉 万葉秀歌 - 青空文庫
全体がむつかしくない、赤人的な清朗な調べの歌であるが、菫咲く野に対する一つの係恋といったような情調を感じさせる歌である。即ち極く広義の恋愛情調であるから、説く人によっては、恋人のことを歌ったのではないかと 詮議する ...清朗な調べ
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
それは勇壮なる交響曲であって、たがいに衝突し入り乱れる不協和音までが、一つの清朗な協奏をなしている。静寂のうちに奮闘してる ※(「木+無」、第3水準1-86-12 ( ぶな ) の森のように、生は永遠の平和のうちに戦っている。 その戦いと平和とが、クリストフ ...清朗な協奏
宮本百合子 獄中への手紙 一九四五年(昭和二十年) - 青空文庫
今年の正月は、全くわたしもすがすがしい気分が主潮をなしていて、清朗であり、そこに光りもとおして居りますけれど、思えば思えば御苦労さま、というところもひとしおで、そのすがすがしい清朗さに、云うに云えないニュアンスを優しく愁わしく添えて居ります。・・・気分が主潮をなしていて、清朗
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 レ・ミゼラブル LES - 青空文庫
ジャン・ヴァルジャンはしばらくの間、そのおごそかなまたやさしい清朗の気にまったく打たれてしまった。かく我を忘れさせる瞬間もよくあるものである。そういう時、苦悩は不幸なる者をわずらわすのをやめる。すべては思念の中に姿を潜める。平和の気は夢想する ...やさしい清朗の気
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
かくてクリストフは、ゲーテの偉大な言葉を、まだその尊大なる清朗さには到達していなかったけれども、みずから知らずして注釈したのであった。 民衆は崇高なるものをもてあそぶ。されどもしその真相を知らば、あえてながめ得るの力を有せざるべし。 クリストフ ...尊大なる清朗さ
吉川英治 三国志 孔明の巻 - 青空文庫
一日たりとも、 家兄(このかみ)のそばを離れているのは、一日の不幸だ。おれも行く」 と、後から追いかけて、供のうちに加わった。 春は浅く、残んの雪に、まだ風は冷たかったが、清朗の空の下、道は快くはかどった。 やがて、臥龍の岡につく。・・・清朗の空
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
同じあたたかさが二人の身体を流れていた。彼は夢想にふけり始めた。血潮は穏かな大きい波をなして流れていた。清朗な感覚は微妙な清新さでごくわずかな印象をも感じていた。彼は自分の力と青春とを楽しんだ。男子たるの誇りを感じた。自分の幸福に 微笑 ...清朗な感覚
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 ジャン ... - 青空文庫
オリヴィエは清朗な精神と病弱な身体とをもっていた。クリストフは強力と落ち着きのない魂とをもっていた。二人は盲者と中風患者とであった。そして今二人いっしょにいると 豊饒な気がした。クリストフの影に身を置いて、オリヴィエは光にたいする ...清朗な精神
井上円了 南半球五万哩 - 青空文庫 ***これも誤用か?ミスか?
一天片雲なく、天気清朗、極めて爽快を覚ゆ。わが十一月ごろの快晴に同じ。しかして気候はわれよりも温暖なり。午前、植物園を通観す。園内広闊にして、地形高低あり。かつ海湾に浜し、内外の風致、自然の美を呈す。ときに秋芳色を競い、なかんずく菊花全盛 ...天気清朗
佐藤惣之助 季節の馬車 - 青空文庫
清朗 古き寺の庭のまはりにひびく雜木の濤をほんのりと吹きとほらせる風のいろは午前の黄金とあたらしい影をはつきりとはなち花もつ梢の片面をうすもも色に照らして青みゆく影の動き多き西邊の丘の方へとそのいきながらの羽とほのほをなびかせひそかにちる ...清朗 古き寺
阿部次郎 三太郎の日記 第二 - 青空文庫
俺は未だ究竟の意味に於いて關門を突破した時の爽快と清朗との味を知つてゐるとは云ひ難い。第一義の生活に於いて、俺のやうに鈍根な、俺のやうに迷執の多い人間は他にあるまいと思はれるほど、俺は惑つて、困つて、ひつかゝつて、進み兼てゐる。併し俺 ...時の爽快と清朗
野村胡堂 楽聖物語 - 青空文庫
そこには 深沈たるものも、苦渋なものもないが、その代り、春の光のような和やかな明るさと、滴るような情愛とがあり、高貴な 整頓と、清朗な美しきとがある。 レコードは必ずしも多くなく、有名なシンフォニーや有名 ...清朗な美しき
豊島与志雄 反抗 - 青空文庫
然し精神は清朗明晰を極めてるがように感ぜらるる。 母がしきりにこちらを窺ってるのが分る。俺は真正面から母の顔を見返してやる。その白い額から小皺を刻んだ頬へかけて、石のような感じがする。不思議だ。隆吉を抱いてる彼女の姿は、 ...精神は清朗明晰
②<晴朗>の文例・・・他にもたくさん<晴朗>の文例はあるも略・・・以下、ほとんどが“天気晴朗”“(天気)晴朗な日”とかの表現で、天気に関するものだが、こちらもやはり、一部、<晴朗>ではないのではないかと思えるもの(あきらかに“清朗”のほうが適していると思われるもの)もある・・・これも誤用なのか青空文庫のミスなのか不詳・・・また、一部は、“清朗”でも“晴朗”でも通じるようなものもある・・・
豊島与志雄 情意の干満 - 青空文庫
本日天気晴朗なれども波高し、というのが日本海軍の海戦記の常套語だと聞く。私の心中も、本日天気晴朗なれども波高し。こういう時私は、批評家ではない。珠玉をも瓦礫 ...天気晴朗
井上円了 妖怪学一斑 - 青空文庫
また、今まで晴朗であった天気が、にわかにかき曇ったというように、気候の上に変動をきたしたときには、多く病人は生命を失うものである。ゆえに、烏は気候に鳴き、人はその気候に死するも、烏は人の死を知るものなりといって、ただちにこれを人に結ぶことは ...晴朗であった天気
種田山頭火 行乞記 仙崎 - 青空文庫
晴朗、新秋清涼の気天地に満つ、身辺整理、心境平安、澄んで沈むのか、沈んで澄むのか、とにかく落ちついた。 明日から福岡地方へ行乞に出かけるので、畑の手入をして置く、広島菜を一うね、時知らず大根を半うね播いて置く。 トマトはうまいな、いつ食べて ...晴朗、新秋清涼の気
豊島与志雄 豊島与志雄訳 ジャン・クリストフ JEAN CHRISTOPHE 改訳 ...
最後に第四編(燃ゆる荊、新らしき日)は、人生のさなかにおける大試錬であり、懐疑と暴虐な情熱の突風であり、魂の暴風雨であって、それはすべてを破壊しつくす恐れがあるが、しかし超自然的な曙の初光を受けて、最後の晴朗に終る ...最後の晴朗 *これは天気のことをいっているようだから、「晴朗(な天気)」という意味だと思われるが・・・
坂口安吾 真珠 - 青空文庫
相模湾は沖一面に白牙を騒がせ、天気晴朗なれども波高し、である。だから、この日は漁ができず、国府津にも、二の宮にも、地の魚はなかつた。国府津では、兵隊を満載した軍用列車が西へ向つて通過した。 国府津でバスを乗換へて、二の宮へ行く。途中で ...天気晴朗
一つの出来事 - 青空文庫 *これは天気以外で使われている模様・・・誤植かも知れないし不明
疑い合い、索(さぐ)り合い要心し合って暮す人生が、どうして歓びへの第一歩であろう、そう偽されても正直者の方がよい――がしかし、私の心持は平静ではない。晴朗さが ...晴朗さ
井上円了 妖怪報告 - 青空文庫 *これは“天気”でなく、“天”に対して使っているがどうなのかな・・・「清朗」が使われる“空”ではなく、“天”なので、この場合は“天気”に通じるということで“晴朗”で良いのかも知れない・・・
しかれども、予や元来、夢想に感じ、空想を 惹起するがごとき情感なく、ことに夢境は某川暴漲せりと覚ゆれども、あたかも天晴朗、降雨の兆しもなし。かつ、はじめ家を去るとき、父平素にたがわず健康なれば、これを煙消霧散に付し、 ...あたかも天晴朗
久生十蘭 ノンシャラン道中記 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
ここに一念発起したコン吉が、 詩神(アポロン) の大威業力に依願し、前掲の拙劣なる短詩をコントラ・バスの伴奏にのせ、日ごと毎日わびしげに独唱するところ、凡夫の悲願、タヌキ菩薩もあわれと 思召 ( おぼしめ ) し給いけむ二月上旬のとある天気晴朗の朝、 ...天気晴朗
豊島与志雄 或る作家の厄日 - 青空文庫 *これはおかしくないか?夜が“晴朗”とは・・・これは“清朗”の方が適していると思われるが・・・
考えることがあるのだ。重大な考えごとがあるのだ。少しぬる加減の酒を、思惟の速度に合して、口にふくむだけで、眼を見据えていると、室の天井も四壁も消失して、心気は天地と合体する。微風が音もなく流れ、露が静かに結ぼれてる、晴朗な夜である。 「先生。・・・晴朗な夜
豊島与志雄 風景 - 青空文庫 *これはよくわからないが、“清朗”でも“晴朗”でも通用しそうではあるが、やはり“晴朗な・・・光”のほうが適していると思うが・・・
美しい木立、柔かな草原、青い大空、晴朗な日の光、つまり豊かなる自然――なぜなら、自然は常に豊かだから。そして夢みるような街道――なぜなら、街道は旅の象徴であり、旅は夢想だから。そして二人の恋人か或は仲間――なぜなら、一人で道を進み得る ...晴朗な日の光
岡本綺堂 半七捕物帳 海坊主 - 青空文庫
天気晴朗の日でも品川の海には突然颶風を吹き起すことがある。船頭たちは無論それを知っているので、この奇怪な男の警告を一概に笑って聞き流すわけにも行かなかったが、そうした恐ろしい魔風を運び出して来るらしい雲の影はどこにも見えないので、かれ ...天気晴朗の日
芥川龍之介 追憶 - 青空文庫
が、「今日晴朗なれども 浪高し」の号外は出ても、勝敗は容易にわからなかった。するとある日の午飯(ひるめし) の時間に僕の組の先生が一人、号外を持って教室へかけこみ、「おい、みんな喜べ。大勝利だぞ」と声をかけた。この時の僕らの感激は ...今日晴朗なれども
正岡子規 雲の日記 - 青空文庫
少量の麻酔剤を服したるが如し。 廿八日 雨晴れ雲なし。朝、眼ざめて聞けば、鴨逃げて隣の庭に行きたりとてののしる。 廿九日. 卅日. 卅一日 毎夜、夜を 更かして頭痛み雲 掩ふ。窓外の天気常に晴朗。 〔『ホトトギス』第二巻第 ...天気常に晴朗
押川春浪 南極の怪事 - 青空文庫
もとより客室など云う気のきいたものはなければ、余は船の最も底の倉庫のごとき処に毛布を敷き、そこを居室兼寝室と定めしも、天気晴朗なる日はそのような薄暗き処に閉じこもる必要なし、余は航海中の多くを風清き甲板上に暮すつもりにて、一日も早く世人の ...天気晴朗
中里介山 大菩薩峠 みちりやの巻 - 青空文庫
朝は小河内を早立ちだったものですから、足の達者な上に、気を負う武者修行のことで、ここを通りかかった時分が日盛りで、ことにその日は天気晴朗、高山の上にありがちな水蒸気の邪魔物というのがふきとったように、白根、赤石の連山までが手に取るように ...その日は天気晴朗
豊島与志雄 幻覚記 - 青空文庫 *“(天気が)晴朗な午後”という意味だと思うが、これだけの文だと“清朗”でも通じると思われるが・・・
その叔母さんと、小学生の娘と、私の母と、四人で、晴朗な午後、自然の中を歩くのである。先ず八幡様と地蔵様とにお詣りをし、それから広い河原に行く。清い流れには小鮎 ...晴朗な午後
中井正一 探偵小説の芸術性 ――文学のメカニズム―― - 青空文庫 *これは明らかに天気以外で使われているけどミスか誤植ではないか???
現代人の晴朗と強靱性はこの深い憂欝の白冥を通っていると思われる。彼らの截断性は、かの思索の凝滞と晦渋を貫いてであると思われる。自分が醜いということすらが悪寒のごとき修飾であることを見透したるものの明かるき自嘲、そこには無限の反省の苦汁 ...現代人の晴朗と強靱性
永井荷風 断腸亭日乗 断腸亭日記巻之五大正十年歳次辛酉 - 青空文庫
三月二十日。 春分。天気晴朗。 三月廿二日。 風月堂にて夕餉をなし、有楽座に立寄る。久米氏風労にて顔面いがみ元気なし。 .... 四月廿九日。 天気晴朗。薫風爽颯。 四月三十日。 陰る。銀座街上青楓画伯に逢ふ。 五月朔。 風月堂にて偶然松莚子一家門弟を ...天気晴朗
大杉栄 新しき世界の為めの新しき芸術 - 青空文庫 *これも天気以外で使用されているが、ミスかも・・・
吾々が、吾々の晩年に吾々の任務を果たし、吾々の共同行為の義務を尽した後に、公平無私の芸術や、ゲエテの晴朗や、純粋の美を望むのは、善い事でもあり自然の事でもある。それは人生の旅の至上の理想であり究竟である。しかし、其処へ行くだけの功蹟 ...ゲエテの晴朗
白塔の歌 - 青空文庫 *これだけだと「清朗」でも✖にはできないのではないか・・・***
北京の秋は、夏を追い立てるように急にやって来て、そして晴朗な日が続きます。南海公園の小島の岸には、まだ釣りの遊びをしている人々が見られました。その側に、少し離れて、汪紹生はぼんやり欄杆にもたれていました。 釣りをしてるのは、二三の少年と、中 ...晴朗な日
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