タカ長の山ときどきタカ見

「タカ長のタカの渡り観察」の別室です。八十路の坂を登りながら更新してゆくつもりです。

鳥友のコラム記事

2021-11-26 08:31:19 | 日々雑感
終活らしきことをしていたら鳥友からの 封書が出てきました。

その中から出てきたのは地元紙のコピー。

生まれて初めて8000円の原稿料をもらったと添え書きがついていました。本人の了解をもらおうにも彼は鬼籍に入っているので不可能、タカ長の独断で全文を紹介します。

読みやすくするため適当に行間を広げています。中国新聞夕刊1993年1月16日のコラム記事です。



山の鳥たちと        

 廿日市の北の山頂六百メートルに、極楽寺という古刹がある。樹齢三百年のアカカシなどの原生林が残る聖地で、野鳥の宝庫でもある。鳥の好きな私は、毎年何回か訪ねる。愛鳥家の住職さんご夫妻が歓待して下さる。年二回、鳥仲間と庫裏での一泊をお願いする。若葉のころ、冷気の中で目覚めると、巨木の樹間に光があふれ、キビタキ、アオバト、ヒガラ等の、この世のものかと思うほどのコーラスを聞くことができる。

    

 この廿日市の北西、佐伯町に住む私は、野鳥調査のため町の北にある大峰山(1040メートル)へ、昨年も三十数回登った。ブナ、ミズナラの枝先も凍る大寒の朝、シロモジが咲き、登り道が真っ黄色の花すだれとなる四月、新緑や錦秋のころも、諸方からの多くの登山者と山頂で言葉を交わす。今鳴く鳥の名前を話すと、山野に咲く草花や木々のことにも話題は移り、楽しさ無比の会話が弾む。

    

 登る途中に、イノシシと出合うこともある。十五年程前のテレビ特集、千日回峰(地球を一周するほど歩き続ける比叡山の荒行)を遂げられ生き仏となられた酒井さんというおかたを思い出したりもした。「山頂で毎日、イノシシ、ヤマドリなどに出合います。何年か先、この山の木々の露の一滴ともなり、谷の木を潤したい」と、その番組で語られていた。

    

 昨年十一月末の小春日和の日、既に冬姿となった大峰山の山頂で、広島市から来られた山の好きな四名のご婦人にコーヒーをごちそうになった。暑いコップを両手で持ち、眼下はるか南の極楽寺山を見ながら「住職さんはお元気だろうか」と思った。



この鳥友はベテランのバーダーで地元高校の生物関係の部活の顧問をしていたようです。タカ長も色々なところでお世話になりましたが、冬ソナブームのころ韓国の冬鳥を見に行った旅が最高の思い出です。
コメント
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