道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

おめでとうございます

2023年01月01日 | 健康管理
新しい年を迎えました。日々の暮らしを希望に繋いでゆきたいと念じました。
今年もよろしくお願いします。

【免疫力の保全】

昨年の暮れには「体熱の倹約」の記事で、免疫力と体熱の関係に関心が向かった。免疫力を落とさないということは、免疫力に負担をかけない生活をすることで、身体(内臓)を冷やさない、体熱を浪費しない、ということに尽きる。体熱の産生が放出を下回れば、免疫力も低下することを、老人は忘れないようにしたい。

①汗をかかない
②寒気に皮膚を直接晒さない(頭・首)
就寝中の保温(遮熱)に留意する
この3つが免疫力保全の要諦と考えている。

①筋肉を動かして熱を産生しても、汗をかくほどにはしないこと。高齢者はスロー筋トレとスロー歩行が理に適っている。汗をかくのは運動量が過大で、体熱の浪費に繋がる。
②下着に常時吸収されている凝固水の蒸散に因る体熱低下を防ぐこと。適切な防風・防寒・保温の衣料を活用したい。
③は以下に説明を加えさせていただく。

誰でも暖かいベッドまたは布団で就寝しているはずだが、熱の移動には、対流・伝導・輻射の3つがあるのはご承知のとおり。
これらのうち、私たちは輻射に因る体熱の損失に甚だ迂闊である。盲点と言えるかも知れない。

自分の体より温度が低くかつ比重の大きい(=密度の高い)物体に近接していると、体熱は輻射によりその物体に移行し、体温を奪われる。
物質にはそれぞれの密度に比例する単位体積当たりの熱容量=比熱というものがある。密度が高く熱容量が大きい物体は、絶え間なく体熱を吸収し続ける存在だ。輻射の強度は、体と物体との距離の自乗に反比例する。
山で悪天候に遭い、雨や風を避けようと岩塊に身を寄せて寝れば、冬なら確実に、季節が好くても低体温症になる可能性がある。

密度と熱伝導性の高い鉄のスプリングでできたベッドのマットレスは、就寝中の人の体熱を奪い続ける元凶である。伝導の遮断(=断熱)は完璧でも、輻射の遮断(=遮熱)は難しく、体熱はマットレスの鉄部に移行する。したがってマットの上に敷くベッドパッドには、断熱と共に遮熱の性能が重要である。ベッドの保温性は、パッドに依存すると言っても言い過ぎではない。

余談になるが、江戸時代の映画などを観ると、殿様身分の寝具は分厚い敷布団が2枚。畳という熱容量の小さい床の上に2段の敷布団なら、輻射による熱損失は少ない。もちろん真綿の掛布団は軽く厚い。 頗る快適だろう。
対する一般庶民の寝具は、薄く固くなった煎餅布団がたった一枚、掛け布団も薄く、伝導・輻射の遮断性は低く、体熱は布団の上下に逃げ放題、快適性は頗る劣る。

ベッドは、パッドの遮熱性が重要である。天然の羊毛が最適だが、繊維の密度と厚みが性能を決める。欧米の製品の性能に、一日の長があるようだ。
ベッドの保温性は、羽毛掛け布団の羽毛量よりも、パッドの性能で決まる。体熱はベッドの上には殆ど逃げない。空気は最善の断熱材である。

体の腰部両脇には腎臓や副腎という重要な器官があって、最も冷やしてはならない臓器とされている。体熱を体の下方に輻射させないことが重要である。8時間もの就寝中の保温性則ち快適性を保つことは、免疫力に負担をかけない生活の基本であるように思う。

この老生の問題提起は、ふた昔も前の山歩きの幕営で、テント内に銀マット・エアマットを敷いて寝袋に潜る度に痛感していたことから来ている。
熱容量が大きい地面は、体熱を間断なく奪い、就寝中の体は冷える一方だった。

寝袋の性能は保温性(断熱性と遮熱性)の高低で比較されるものだが、遮熱性は、薄いテントのグランドシートとエアマットの上に寝袋を敷く通常の使い方では、優劣に差異は出ない。ダウンの量が多く仕様的には高性能のはずの寝袋でも、体重がかかり圧縮された身体の下側の空気層は薄く、意外に暖かくないことを、多くの登山者が体験している。
私は寒中の山で、好い睡眠がとれた験しがないが、原因は輻射による熱損失にあったと思っている。

もし老生が今日、雪の無い冬の山でビバークすることになったなら、樹間にタープを張ってその下にハンモックを吊り、それに寝袋(ゴアカバー付)を敷き中に納まる。更に寝袋の上からハンモックごとツェルトを被るだろう。
とにかく地球から体を1m以上離して寝てみたいきっとテント内で寝るより、暖かく快眠できることだろう。






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