道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

虚栄心

2019年11月07日 | 佐鳴湖公園
佐鳴湖を巡る公園は一周約6km。湖は三方原台地から流れ込む水を集め、水門を経て運河で浜名湖に繋がっている。
水面と台地面との比高が約30mあり、湖外周の斜面は起伏に富んで樹木が繁り、場所によっては里山の趣きを呈している。老若男女それぞれ、目的をもって訪れる人たちが多い。

ジョギング、ランニング、ウォーキング、バードウオッチング、プランツ・ハンティング、、、。昔のように単に散策したり、ベンチで語り合う若い男女はごく少ない。
何しろ耳も目も達者な老人たちが、周囲を休みなく徘徊しているので、おちおち恋など囁いてはいられないだろう。

ある時夫婦でウォーキングに出かけた。道のりの半ばまで来ると、20mほど先の藤棚の前で、ひとりの老人が湖面に向かいカウントの声を張り上げ、元気にスクワットをやっている。私よりは年上に見えた。

近づいて行くと、声が一段と大きくなった。姿を見かけた時はたしか「ヒャクニ、ヒャクサン、、」と聞こえていたのだが、近づいたら
サンビャクニジュゴ、サンビャクニジュロク、、」と叫んでいる?!?

彼の前を通り過ぎるとき、二人とも笑いを堪えるのに苦心した。もし彼の前に立ち止まったなら、500を数えてもなお止めないだろう。いや止められないだろう。

見栄を張る気持はヤル気の原動力かもしれない。老人は多少の虚栄心を残している方が健康にも好いようだ。若い頃は皆虚栄の塊だったのだから。枯れ切ってしまうのは、好ましくない

遠くなるカウントの声を聴きながら、内心で彼にエールを送った。

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