私の居住地では、晴天が続いて冬の季節風が吹く冬至の頃からが燻製づくりに適している。気温が低いことと天日乾燥を充分にできることが、この作業には重要な条件だ。
高温多湿の夏は論外だが、涼しい春秋も適期とは言えない。天候が変わりやすく長雨もあり、そのうえ行楽その他の行事も多く催されるので、数日間にわたり一連の作業が続く燻製作業には向かない。したがって燻製づくりをやるのは年に一回、今頃ということになる。クリスマスや正月を目前にして需要?が高いことも動機のひとつである。
今回は、比較的手間のかからないビーフジャーキーを作った。これは登山の携行食に好適だ。軽くて傷みにくく、栄養価が高い。何よりも優れていることは食べて旨い。これと較べると、カロリーナントカなんぞは非常食として甚だ心許く感じる。カロリーはともかく、あの味はどうにも我慢できない。非常事態は旨いモノを食べて切り抜ける、というのが、私の対処法だ。(当ブログ「被災者用レーション」をご参照下さい)
本題から逸れるが、ビーフジャーキーというものはもとネイティブアメリカン(特に平原インディアン)の携行食糧で、長期平原を移動するカウボーイたちも、それに倣って携行したようだ。インディアンたちが食べていたものは、現在我々が見る市販のものとは形状からして違っていたらしい。市販されているモノは、冷凍肉を浸漬・乾燥・包装まで一貫して機械で製造するため薄板状の成品が多い。オリジナルの製法(単なる手仕事)では、肉を機械のように薄く切れないので断面が正方形に近い角棒状になる。これを乾燥させ仕上げた成品はスティック状を呈す。板状ほど内部か乾燥しないから口当たりがよい。
本来は登山用に備蓄しようと思って作り始めたこの手づくりビーフジャキー、冷蔵庫に蓄えておくといつの間にか無くなっている。山行の前夜、冷蔵庫を開けて在庫の払底を知り、狼狽することがしばしばある。作った当人が、ビールの肴としてつまみ食いしてしまうからだ。
燻製品のワンロットのサイズは、素材を塩漬(塩そのものをすり込んだり、香辛料を煮出した塩の溶液に漬けて数日保存)容器を容れる冷蔵庫の空きスペースで決まる。私の家では、素材7kgを冷蔵するのがリミットだ。
今回は素材6Kgを仕込んで成品1.1Kgができた。これをPP袋に100gづつ、脱酸素材と共に容れてたったの11袋、出来上がりはまったく僅かな量でしかない。素材仕込みから完成まで5日ほどかかるから、この冬、あと1回か2回できれば良い方だろう。
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