ゴールデンウィークを挟む前後2週間は、日本の新緑が最も美しい季節だと思う。
落葉樹であれ常緑濶葉樹であれ、瑞々しくつややかな若葉の表面が、陽の光を照り返して煌めくこの時期ほど、樹木が活き活きとして見えるときはない。他の生き物と同様に、木々も生命の充実に歓喜しているのだろう。人で謂えば、まさに青春期にあたる。
私たちが樹木に親しむときは、花の咲く頃、新緑の頃、結実の頃、そして紅葉の頃と、4つの時期に分けられる。
それらの中で、新緑だけはとりたてて観賞の目的にされない。自分の家の庭木に認めるか、たまの遠出のついでに眺めるくらいのものだ。
「緑滴る」とか「若葉の候」とか、季節の挨拶の常套句によく使ってはいても、現実の新緑の美しさを愛でることは少ない。
草木や樹木は最も手近な自然だが、新緑を行楽のバックグラウンドとしか見ないでいると、自然への理解は深まらならないだろう。
新緑には、全体としても個々の木々にあっても、紅葉に勝るとも劣らない自然美があり、じっくり観賞するほどの価値がある。
梅雨が近づくと、木々の若葉は緑濃く充実し、それまでの輝きは失せてしまう。輝きというものは、長く保たない。
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