これは 小学校低学年の頃の思い出。
その頃、私たちの家族は大家族で住んでいました。一番年上はひいおばあさん。
いつもは、自分の部屋で座布団にチョコンと丸くなって座っていました。そして今回紹介するとき以外はにこにこ笑っていました。
子供達2人で、川で遊んでいたときに地震に遭遇した。
ちょうどそこは、家から20m離れたコンクリート橋の下で、川上に1m高さの水を止めている堰があった。
僕たちはちょっと揺れたねと言い合いながら、遊びつづけようとした。
しかし ひいおばあさんが、ものすごく大声を出しながら、曲がった腰を伸ばし、手を振り降り、身体をよろよろ揺らして走ってきた。
そして、すぐ僕たちを岸にあげた。
「地震のときは、壊れるかもしれないものの下にいてはいけない。そして川は堰が壊れ、鉄砲水が走ることがある。」といって・・・。
いつもは無口のひいおばあさんが、大声を出して怒ったので、僕たちはびっくりして泣き出した。
鉄砲水という言葉だってわからなかったのだけれども。
おばあさんは小さい頃、畳が浮いて踊りだすほどの地震を経験したのだと、後で父から聞いた。
ひいおばあさんは、私たちが別の家に引っ越した後、いつなくなったのか思いさせない。