たった今の事です。
キーボードに向かっていると視界の端に黒いものが入ってきました。
その分量がちょっと大きかったのでふと目を向けると
二十センチくらいの所に大きな蜘蛛が見えました。
イエグモだから危険はないけど何せ大きいのであまり接近したくありません。
なのにその大きな雲が真っ直ぐこちらに向かって来るじゃないですか。
蜘蛛と接触したく無いと思う気持ちが私を闇雲に突きげたように
必死の形相で立ち上がりました。
立ち上がるとそこに蜘蛛の姿が見えません。
もしかしてスカートの中に入り込んでしまったかと思って
気狂いみたいにスカートをバタバタさせたけれど、
蜘蛛が落ちてくる事はありませんでした。
では蜘蛛はどこに逃げたのか?
座布団の下を覗いてみたり、膝掛けを振ってみたりしても
居ないので辺りを見回すと蜘蛛は自分が元来た方向へ戻って居ました。
どうやら脚を負傷しています。
私と接触した際に傷ついたのでしょう。
ビックリして元来た方向へ戻ったものの足を痛めて歩けないと言った風情です。
それを見て申し訳ない気持ちになりました。
私がもっと冷静に行動していたら事故は避けられた筈なのに
馬鹿みたいにパニックになって、無意識の行動をするから
相手を傷つけてしまったのです。
そんな反省の気持ちを持って蜘蛛を見ていると
蜘蛛は脚を引き摺りながら私から逃れようとするかの様に
ヨロヨロと数センチ移動すると
そこでくるりと転がるように脚を上げると
何回か宙を掻くように動かして
そして次の瞬間体が硬直したのです。
傷とショックが蜘蛛の命を奪ってしまったその瞬間を目の当たりにして
少なからずショックを受けました。
私の無意識の行動が蜘蛛の命を奪ったことになります。
一寸の虫にも五分の魂という言葉がありますが、
実際この様な事故の当事者になると
色々と考えてみるものなのです。
家人がガンで死にかけていた時、彼を知る多くの人が言いました。
あんなに小さな命を助けた人を見たことがない、
きっとその恩が返ってくるから死にはしないよって。
家人だったら自分が飛び上がる代わりに
蜘蛛の目の前に棒でも差し出して
向こうへ行けと言っただろうと思うと
自分もそうすれば良かったと思うのです。
あーあ、一匹の蜘蛛の死で
ちょっとため息の昼下がりです☆
蜘蛛はあっという間に死んでそして縮んでしまいました。
写真は撮らずにおきましょう。
蜘蛛の冥福を祈ります。