大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

英保守党、圧勝

2019年12月13日 | 政治

 2019年12月12日(木)、イギリスで総選挙がおこなわれた。

 BBCによる出口調査の結果は(過半数は326)、

 保守党368

 労働党191

 自由民主党13

 選挙終盤、労働党が追い上げているという世論調査の結果もあったが、結果は保守党がほとんどすべての事前予想を上回って圧勝した。

 これで来年1月末でのEU離脱がほぼ確定した。

 私の専門である労働についていうと、イギリスはこれまでEUのルールにしばられていた(労働時間などは例外処置をうけてはいたが)。

 EU離脱後は、イギリスの競争力を高めるという名目で、労働規制の柔軟化が推し進められる可能性が高いと思われる(ただしそのタイミングは不明)。

 ほかにも環境規制などさまざま分野で変化がおこる可能性がある。

 離脱後のイギリスの変化を注意してみていきたい。

 なお大敗した労働党についてはコービン党首が辞任を表明した。

 労働党のゆくえも注意してみていきたい。

 

2019/12/14追記

 最終結果

 保守党 365(+47) ( )内は選挙前からの増減

 労働党 203(-59)

 スコットランド国民党 48(+13)

 自由民主党 11(-1)

 民主統一党 8(-2)

 保守党はサッチャー首相登場いらいの歴史的な大勝をおさめた。

 

 

英総選挙、保守党のリードが半減: 野党の選挙協力で保守党の過半数割れも 2019/12/8

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ドイツ社会民主党、連立維持へ

2019年12月10日 | 政治

 2019年11月30日(土)、ドイツ社会民主党(SPD)党首選がおこなわれ、連立懐疑派のワルターボーヤンス氏とエスケン氏が共同党首に選出された。

 これにより連立離脱の動きが強まるかと思われたが、2019年12月6日、SPDは党大会において連立維持を決定した。

 ちなみにウォールストリートジャーナルによれば、SPDは以下の政策を要求している

(1)2020年1月から10ユーロ(1200円:1ユーロ=120円)になる最低賃金を12ユーロ(1440円)に引き上げる

(2)気候温暖化対策を飛躍的に強化する

(3)均衡財政の原則を放棄してインフラ、福祉拡充のため60兆円規模の財政出動をおこなう

 しかし、メルケル首相ひきいるキリスト教民主同盟(CDU)が、均衡財政の放棄を受け入れると考える人はいまのところ少数である(ただ一部に政策転換を予想するむきもある)。

 SPDは州によっては緑の党より支持率が低くなっているが、今回の連立維持の決定により党勢にどのような影響があるか(支持率低下がどこまで続くか)注意してみていきたい。


英総選挙、保守党のリードが半減: 野党の選挙協力で保守党の過半数割れも

2019年12月08日 | 政治

 2019年12月12日(木)に英総選挙がおこなわれる。

 2週間前にはEU離脱をうったえる保守党の圧勝が予想されていたが、ここにきて保守党のリードが半減しているとする調査結果がでてきた。

 BMG調査は11月19-20日から11月11-27日にかけて保守党と労働党の支持率の差が13%から6%に半減したとする結果を公表。

 Savanta/ComResも、12月2日から7日にかけて両党の差が10%から6%に縮小したとする調査結果を公表している。

 もっとも、英国に住む人々の投票行動は予想が難しく、最近の選挙で世論調査はことごとく予想をはずしているので、この結果をどこまで信用できるかはわからない。

 実際、Opinium調査は、この1週間、両党の支持率の差が15%でほとんどかわらないとするまったくことなった調査結果を公表している。

 ところで、こうした情勢の変化をうけ野党の間で、当選できそうな野党候補に投票を集中(tactical voting)しようとする動きがはじまった。

 ガーディアン紙は、野党の選挙協力がうまくいった場合、次のような選挙結果が予想されるとしている(過半数は326)。

 保守党 309

 労働党 255

 スコットランド国民党 49

 自由民主党 14

 つまり保守党は過半数をえられないという予想である。

 実際にそうなった場合、イギリスはEUとふたたび離脱案を協議しなおし、その案のうけいれ可否を国民投票で問うという流れになりそう。

 ちなみに前回選挙後、保守党に閣外協力してきた北アイルランドの民主統一党(現8議席)は、ジョンソン首相のEU離脱案に強く反対しており、選挙後の協力は困難とみられている。

 今回の選挙も、結果がでるまでまったく予想できない展開になってきた。

 12月12日(木)の選挙結果に注目したい。

 

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英保守党、圧勝のみこみ

2019年11月24日 | 政治

 イギリス議会選挙の投票日(2019年12月12日)がせまっている。

 そうしたなか、2019年11月24日(日)、英保守党選挙公約(マニュフェスト)を公表した。

 高額所得者への増税を公約にうちだしている労働党に対し、保守党は一切の増税をおこなわないと宣言。

 また労働党が、保守党をNHS(イギリスの医療保険制度)の民営化を進め、サービスの低下をまねいたと批判していることに対して保守党は、低所得者の医療保険負担の軽減、(米国との貿易交渉をうけて)民営化を進めることはない、といったことを公約している。

 このほかに保守党は、医療・教育予算の増額などをうちだしている。

 前回選挙時に圧勝すると予想されていたメイ首相は、突然、自宅介護が必要な人に自宅を売ることを義務化する政策をうちだし(あとから撤回)、過半数割れに追い込まれた

 みるかぎり今回の保守党の公約にとくに大きな問題はなく、予想どおりの選挙結果になる可能性が高まった。

 ちなみにフィナンシャルタイムズによれば、調査会社YouGovは、保守党349、労働党213、スコットランド国民党(残留派)49、自由民主党(残留派)14を予想している(過半数は326)。

 同紙は、あまり保守党のリードが広がると、ジョンソン首相にフリーハンドを与えることへの警戒感から保守党への投票が少なくなる可能性があるとも指摘している。

 保守党が圧勝した場合、年内に離脱法案の再審議開始、来年1月末でのEU離脱という可能性が高まる。

 その後は、最低でも2020年末までを猶予期間としてEUと自由貿易交渉をおこなう予定になっているが、1年で交渉がまとまる可能性はちいさいと考えられている(保守党は2020年末までに交渉をおわらせることを公約としているが)。

 

 

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ベルリンの壁崩壊から30年(1)

2019年11月09日 | 政治

 いまからちょうど30年前(1989年11月9日)、ベルリンの壁が崩壊した。

 何がおこっているのか知りたくて1990年2月からベルリン(東ドイツ)、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ユーゴスラビアを訪れた。

 西ドイツ側からみたブランデンブルグ門。壁がまだ大部分残っている。

 

 壁の穴をくぐって東ドイツ側にでる人々。 

 

 東ドイツ側からみたブランデンブルグ門。

 東側からみた壁。

 この壁を越えようとして多くの人が命を落とした。

 ベルリンのあと民主化運動の発祥地ライプチヒに行くつもりでいたが、当時はまだ東ドイツを自由に旅行することができず訪問を拒否された。

 

 1989年8月、ソ連に併合されていたバルト3国で独立、民主化を求める人間の鎖がおこなわれた。

 ソ連の国営通信社タスがこの出来事を報道していることに驚いて撮った写真(東ベルリンにて)。

 

 東ベルリンでみたトラバント。

 プラハ(チェコスロバキア当時)でみた民主化運動でなくなった方々の追悼。

 上段にある大きな写真は、民主化運動を中心的に担い、チェコの初代大統領に就任したハヴェル氏。