中国で景気刺激のため地方債の発行が例年より前倒しでおこなわれるとともに、発行額も昨年より70%多くなることが予想されている。
フィナンシャルタイムズによれば、2019年第1四半期、中国の地方政府は1790億ドル(20兆円:1ドル=110円)の地方債を発行した(その半数は建設に使途がかぎられたもの)。
この数年は、全国人民代表会議(全人代)がおこなわれる3月に地方政府の発行枠がきまり、5、6月から実際の発行がはじまっていたが、景気刺激のため今年発行が早まったとみられている。
またムーディーズは、今年の地方債の発行額は昨年より70%増加して60兆円にたっする可能性が高いとしている。
ただその一方で、FT紙は、地方政府の財政悪化により、地方債で得られた資金の多くが景気刺激でなく債務返済などにつかわれる可能性があるとしている。
FT紙によると、中国で付加価値税(消費税)の半分は地方政府の税収となっている。しかし、今年、付加価値税の減税(30兆円相当)がおこなわれたため、地方政府は歳入減をよぎなくされている。
FT紙は、地方債の多くがこうした補填に使われ、実際の景気刺激効果は一般に考えられるほど大きなものにならない可能性があるとしている。
アメリカとともに世界経済の命運をにぎる中国の財政、経済動向をひきつづき注意してみていきたい。
追記
2019年4月18日(金)、習主席は「いきすぎた投機を改める」と発言し、中国のマーケットに弱気が広がった。中国政府は、景気のテコ入れを図りながら、土地取引や株取引の過熱を抑え込むという難しい課題に挑戦している。行方を見守りたい。
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