大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

日銀ETFの含み益、半年前から半減: ETFの損益分岐点は1万8,340円近辺か

2019年05月29日 | 日記

 2019年5月29日(水)、日銀は2019年度(3月決算)の決算を発表した。

 公表資料によれば、2019年3月31日時点における信託財産指数連動型上場投資信託(ETF)の時価総額は28兆9,136億円

 日経平均は半年前の2018年9月末に2万4,120円だったものが、2019年3月末には2万1,205円まで下落。

 この結果、2019年3月末時点での含み益は3兆9,124億円となり、半年前(2018年度上半期末)にくらべ3兆2,921億円の減少となった。

 ちなみに日銀はETFの損益分岐点を公表していないが、おおよその推測は可能である。

 日銀はさまざまなETFを購入しているが、仮にすべて日経平均連動型のETFだと仮定して計算すると1万8,340円という数字が出てくる。

 いまの日経平均の水準で、これまでどおりのペースでETFを買い続けると4年後にはETFの損益分岐点が2万円をこえる可能性が高い。

 ETF総額も50兆円をこえることになる。

 そのとき日経平均はいくらになっているのであろうか?

 

2020/3/10追記

 日銀の黒田総裁は参議院において、日銀が保有するETF の損益分岐点について「2019年9月末の保有状況を前提にすると、日経平均株価が1万9000円程度」と発言した。

 黒田総裁は、現在の損益分岐点は1万9500円程度とも述べている。

 

2019/12/02     2019年度上半期の日銀ETFの損益分岐点

2019/05/29     日銀ETFの含み益、半年前から半減: ETFの損益分岐点は1万8,340円近辺か

 


スペースX、60基のインターネット通信衛星打ち上げに成功

2019年05月24日 | 日記

 2019年5月23日(木)の午後10時30分(米東部時間:日本は24日(金)11時30分)、スペースXは低軌道上に60基のインターネット通信衛星を打ち上げることに成功。ロケット本体の再着陸にも成功した。

 今回の打ち上げの意味は、先日のブログに書いたとおり。

 ちなみにスペースXはホームページで、打ち上げの値段を公表している。

 今回打ち上げに使われたファルコン9の打ち上げ費用は標準で6.2千万ドル(約70億:1ドル=110円)。

 ここから、今回の衛星一基あたりの打ち上げ費用は1億円を大きく超えるものではないと推測できる(衛星本体のコストは除く)。

 これが正しければ地球をカバーするのに必要な2000基の衛星の打ち上げ費用は3千億円程度ですむことになる(ちなみに日本橋の1.8キロの高速を地下化する費用が3200億円)。

 マスク氏が立ち上げたもうひとつのテスラ社は、他社の急激な追い上げなどもあり厳しい見方がふえているが、衛星打ち上げはいまのところスペースXの独壇場。テスラとともにスペースXの動向を今後も注意してみていきたい。

Starlink Mission


ドイツ上院、eスクーターの公道使用を認める法案を可決

2019年05月22日 | 日記

 2019年5月20日(月)、ドイツの上院は公道でeスクーター(電動キックボード)を使用することを認める法案を採択した。

 eスクーターは、充電して自走するキックボード。日本でもアマゾンで3万円ぐらいで買うことができる。

 アメリカではこのeスクーターを使ったシェア・ビジネスが大きな注目を集めており、その代表格であるLime(ウーバーやグーグルが出資)Bird(フォードなどが出資)はIPO(株公開)すれば時価総額が2,000億円をこえるといわれている。

 オートモーティブ・ニュースによれば、今回、ドイツ上院は車道および自転車道路について、時速20キロ以下のeスクーターの使用を認める法案を可決した。利用者は14歳以上にかぎられるが免許は不要。

 現在、ドイツではFlash社がeスクーターの提供をおこなっているが、今回の法制化をうけ、スウェーデンのVoiテクノロジー社もドイツへの参入を表明した

 このほかVWも、先日のオートショーでCityskater(シティー・スケーター)というeスクーターを発表しており、その動向が注目される。

 ちなみに日本ではeスクーターで公道を走ることは許されていない。

 

日本では買えない最先端のものが多い:eスクーター (2018/11/25)


近江高島でゼミ合宿

2019年05月21日 | 日記

 この土日、琵琶湖畔の近江高島でゼミ合宿をおこなった。

 合宿でゼミ生は4つのグループにわかれ、就職活動の国際比較、労働時間、フリーター、ニートというテーマについてそれぞれ報告をおこなった。

 私は、ほかの国のことを知らなければ日本の特徴を本当に理解することはできないと考えていて、ゼミでも国際比較を重視している。

 それもあり、報告はそれぞれ日本とともにアメリカ、ヨーロッパ諸国、アジア諸国(韓国、中国)の実態や政策などについても詳しく調べているものが多く大変勉強になった。

 また来年の合宿が楽しみである。


スペースX、来週にインターネット通信衛星60基を宇宙に放出

2019年05月17日 | 日記

 2019年5月16日(木)、マスク氏が創設したスペースXは、衛星に搭載するソフトウェアのアップデートなどのため予定されていたインターネット通信衛星の打ち上げを来週以降に延期すると発表した。

 ニューヨークタイムズによれば、今回、スペースXはファルコン9をもちいて60基の小型衛星(各約250キロ)を地上300キロから1,100キロの低軌道上に投入する予定になっている。

 低軌道衛星には、地上からの距離が近いため通信の遅滞がほとんどおこらないメリットがある。

 その一方で、低軌道では衛星のスピードが速くなるため、(地上から見て)遠ざかる衛星から近づいてくる衛星に途切れることなく通信機能をリレーしていく技術の確立が求められている。

 スペースXによると、今回と同規模の打ち上げを12回おこなえばアメリカの大半をカバーでき、それが24回になれば世界の人口密集部をほぼカバーできる。さらに打ち上げが30回(約2000基)おこなわれれば、世界全体をカバーすることができるとされる。

 マスク氏は、衛星を使うことでこれまでインターネットが利用できなかった地域でも安価にインターネットが利用できるようになるとしている。

 またマスク氏はよく知られているように火星への移住を計画しているが、インターネット衛星事業はそれに不可欠でもある。すなわち、ロケット打ち上げの売り上げは30億ドル(3300億円:1ドル=1w10円)までの増加が見込まれるが、インターネット衛星事業の売り上げは300億ドル(3.3兆円)に達する見込みで、火星移住計画に必要な莫大な費用をうみだすことができると考えられている。

 以前のブログで述べたように、これまで試みられた衛星通信事業はどれも失敗してきた。衛星小型化など技術進歩を背景に、マスク氏が衛星事業を軌道にのせることができるかどうか引き続き注目していきたい。

 

2018/02/17 スペースX、低軌道に1万基の衛星打ち上げを計画: 地球を覆うインターネット網の構築めざす