アルゼンチンで金融危機の再来が心配されている。
きっかけは2019年8月11日におこなわれたアルゼンチンの大統領予備選挙で、これまで緊縮財政を進めてきたマクリ大統領の敗北がはっきりしたことだった。
その後、通貨ペソが急落。アルゼンチン政府の発行する短期債に買い手が集まらなくなり、政府は資金難におちいった。
そして8月28日(水)、アルゼンチン政府は、(1)国内向けの70億ドル(7350億円:1ドル=105円)の短期債の償還を最大6か月延期するとともに、(2)おもに海外投資家が保有する500億ドル(5.2兆円)の長期債について再プロファイルを追求すると発表した。
ちなみに、再プロファイルとは、返済条件などを変更することを意味するが、これが具体的にどのようなことをさすのか(償還期限の延長など)は明らかになっていない。
そしてさらにアルゼンチン政府は、IMFから借りている440億ドル(4.6兆円)の返済についても延期を計画(要請)しているとしている。
アルゼンチン政府は、こうした一連の措置をデフォルト(債務不履行)ではないとしているが、8月29日(木)、格付け会社スタンダード&プアーズはアルゼンチン政府の1010億ドル(10.6兆円)の債務について「部分的債務不履行」との判断をおこなった。
フィナンシャルタイムズによれば、アルゼンチン政府はこれまで7回の債務不履行を経験しているが、うち2回は21世紀にはいってからおこっている。
なお同紙によれば現在、2021年に償還をむかえるアルゼンチン国債は額面の42%で取引されており、信用不安はかなりおりこみが進んでいる。
いまのところアルゼンチン政府のデフォルトが、他の新興国などを巻き込み世界に大きな影響を与える可能性はあまりないと思われるが、10月の大統領選挙による影響を引き続き注意してみていきたい。
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