大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

トランプ大統領、輸入品に20%課税する共和党の税制改革案を支持

2017年01月27日 | 日記

 2017年1月26日(木)ニューヨーク・タイムズによると、ホワイト・ハウスのスパイサー報道官は、ホワイトハウスは全輸入品に20%を課税する共和党の税制案を支持し、その税収の一部をメキシコとの国境建設費200億ドル(約2.3兆円:1ドル=115円で計算-NYTの試算-)に充てることをひとつの案として検討しているとの趣旨の発言をおこなった。

 数日前、トランプ大統領は共和党の税制案を複雑すぎると批判していたが、その立場を変えたことになる。

 昨年トランプ氏とはまったく無関係に共和党のライアン下院議長が中心になってまとめた税制案は、キャッシュフロー志向地向け課税という理解が非常に難しいものであるがメディアでは、輸入した金額を会計上の費用に計上できない、輸入品への課税が年10兆円程度になる、といったことが伝えられている。

 もし輸入した金額が費用にならなければ、それを売った時、輸入にかかった費用がまるっきり利益となり、それに新たな法人税率20%がかかるという仕組みになるが、正直よくわからない。

 もし私の理解が正しいとすると、アメリカへの輸出は破壊的な打撃を受けることになる。

 そんな極端なことを共和党は考えているのであろうか?

 私の理解が間違っていることを祈るばかりである。


トランプ大統領、500万人の違法投票があったと主張。それを信じる大勢の人たち。

2017年01月26日 | 日記

 トランプ大統領が、大統領選挙で500万人が違法に(クリントン氏に)投票したと主張し、捜査を命じるとしている。

 トランプ大統領は具体的な根拠を一切示しておらず、主流メディアはトランプ大統領の主張にきわめて懐疑的である。

 多くの人は、トランプ大統領はなぜそんな疑わしい主張をするのかと不思議に思っているとおもう。

 しかしアメリカには、その主張を真実だと信じ、トランプ大統領を熱烈に支持するひとたちがいる。

 先にブログに書いたように、ブレイト・バートというニュース掲示板に集まる人々である。

 これをさきほど見たのだが、この問題についてすでに6千以上の書き込みがあり、読んだ限りでは圧倒的大多数はトランプ大統領の見方に賛同、支持する書き込みであった。

 反対意見も載っているが、圧倒的な少数派である。ブレイト・バートではトランプ大統領に対する批判はトロール(荒らし)とみなされ徹底的な批判にあう。

 私を含め日本では(たぶんアメリカでも)、トランプ大統領はどうしてそんな「バカげ」た主張をするのかと不思議に思っている人が多いと思うが、そうした主張を望んでいる多くの人がいて、「バカげ」てみえる発言はそうした人たちの期待に応えている面もある。

 これからも同じような発言が続くに違いない。


トランプ大統領とネトウヨ(アルト・ライト)の蜜月

2017年01月23日 | 日記

 先日の大統領就任演説により、アメリカ・ファーストが「アメリカ人を雇い、アメリカ製品を買え」(演説)だということがますますはっきりしてきた。その内容に世界が大きく揺れている。

 ところで私がそれより驚いたのはウォール・ストリート・ジャーナルによれば、その演説を書いたひとりがアメリカのネトウヨの親玉といわれるスティーブ・バノン氏だったということである(もうひとりはステファン・ミラー大統領上級顧問)。

 アメリカには、日本の2チャンネルをまねた4チャンと8チャンという掲示板がある。ただ、この利用者は(とくに性的な)アニメやゲームの愛好者で、政治的な議論はあまりされていない。利用者も少なく、これらは社会への影響力はあまりもっていない。

 社会に大きな影響力をもっているのはブレイト・バートというニュース掲示板である(アメリカでは白人至上主義の極右サイトと紹介されることが多い)。このサイトは、ニューヨーク・タイムズ(NYT)やCNNといった主流派メディアのニュースを、偏向している、嘘つき(フェイク)、言葉狩り(ポリティカル・コレクトネス)と激しく攻撃し、記事がでると短時間で数千からときに1万をこえる賛同のコメント(差別的な内容をふんだんに含む)を集めている。

 ブレイト・バートの利用者は基本的に熱烈なトランプ大統領の支持者で、その主張(たとえば特定宗教や移民の危険視など)は似通っている。

 このブレイト・バートの共同創設者で会長だったのがバノン氏である。

 トランプ氏はこのバノン氏を大統領選挙の最高責任者に選び、その戦略にのって大統領に当選した。

 そして大統領当選後、トランプ氏はバノン氏をホワイトハウスの主席戦略官に任命した。

 主席戦略官とは何だろう?(選挙に勝ったご褒美で実質的な仕事はない名誉職のようなものかな?)と思っていたのだが、バノン氏が大統領就任演説の原稿を書いたということで、選挙戦だけでなくトランプ氏のこれからの政策や発言内容にもバノン氏が大きな影響力を行使していくということがあきらかになった。私が驚いたのはそのことである。

 2017年1月23日にホワイトハウスでおこなわれたトランプ大統領と企業トップとの会談でも、バノン氏は書記席?(トランプ大統領の4人左、テスラCEOのマスク氏の2人左)に座っており、トランプ政権で大きな役割をはたしていることをうかがわせている。

 ところで、ブレイト・バートに集まる人たちは日本の首相にはあまり関心がないようで、安倍氏がトランプタワーに行った時には、ニュースになったもののほとんど書き込みがなかった。

 しかしその後、九州のスケートリンクで本物の魚を氷に閉じ込めたということがニュースになったときはかなりの書き込みがあった。私がみたときは、戦前の日本軍の残虐行為にからめて日本人は残虐な民族だとする主張をめぐって熱い議論がかわされていた。議論では、ジャッ〇という用語が飛び交っていた。そのような言論の「自由」を保障するのがブレイト・バートなのである。

 そんなサイトを運営していた人物が、いまやトランプ氏の政策を大きく左右する地位についている(ブッシュ大統領のとき影の大統領といわれた選挙参謀カール・ローブ氏のようになるのではないかと思われる)。

 これまでの常識がつうじない時代が来たようだ。


アメリカのインフレ率が2%突破

2017年01月20日 | 経済

 FRB(連邦準備制度理事会)は、2%をインフレターゲットにしている。

 ところで2017年1月18日(水)、昨年12月のアメリカの消費者物価(CPI-U)が2%を突破したことが明らかになった。

 1年前にくらべるとガソリン価格が上昇しており、FRBが重視するPCEも数か月内に2%を突破する可能性が高まってきた。

 これをうけ米英の経済メディアでは、アメリカの低価格(デフレ)時代は終わったとの論調が目立つ。

 ヨーロッパでも12月の消費者物価が年率1.1%上昇している。

 ちなみに日本の11月の消費者物価は年率0.5%の上昇。

 これからの長期金利の推移とFRBの判断が注目される。

 ★  アメリカの最新の消費者物価のグラフはこちら

 ★ 2017年4月3日追記

  2017年2月のPCEは2.1%となり、2%を突破した。


共和党の税制改革で、輸入への課税が年10兆円増加

2017年01月19日 | 日記

 2017年1月16日(月)のウォール・ストリート・ジャーナリスト(WSJ)は、同紙とのインタビューにおいてトランプ氏が輸入品への課税方法について共和党案を批判したと報じた。

 昨年、共和党はライアン下院議長が中心になって今のように生産地や本社所在地でなく最終消費地で課税する税制改革案を作成した。WSJによると、これが実現するとアメリカへの輸入品への課税が10年で1兆ドル(115兆円:1ドル=115円で計算)増加するとされている。共和党は、これで法人税の35%から20%への引き下げ分を補うことができるとしている。

 アメリカではこの共和党案が、トランプ新政権のたたき台になるとする見方が多いが、今回、トランプ氏はこの方式を複雑すぎると批判した。

 トランプ氏は、高率の国境税(関税)や法人税の15%への引き下げなどを主張している。

 いまだに日本では共和党は自由貿易主義が原則なので、トランプ氏の保護的主張は実現しないという主張がみられる。しかし、共和党はすでに昨年の時点でトランプ氏とは関係なく、うえのような自国への生産回帰(輸入抑制)をめざした税制改革案をまとめている。

 トランプ案、共和党案どちらが実現しても、各国のアメリカへの輸出は大きな影響を受けることになりそう。

★ 2017年1月27日追記

 2017年1月26日(木)ニューヨーク・タイムズなどが伝えるところによると、ホワイト・ハウスのスパイサー報道官は、ホワイトハウスは輸入品に20%を課税する共和党の税制案を支持し、その税収の一部はメキシコとの国境建設に充てられると述べた。