2016年10月17日、財務省は国債の在り方について各界から意見を聞く懇談会を開いた。
財務省は懇談会に提出した資料で、驚くべき数字を明らかにしている。
それは、日本の国債利回りが1%変化した時、現在流通している国債の価格変動の総額がGDP比で13.5%になるとの試算である。
2015年度の名目GDPは約500兆円。国債利回りが1%上昇すると、国債価格は(満期までの通算で)67兆円減少することになる。私の理解では、これは帳簿上に発生する実際の損失額ではないが(実際の損失処理は一回だけで、毎年累積しない)、それにしても大きな数字である。
期間が長い国債ほど利回り変化の影響を受けやすいが(長い間にわたって価格低下の影響が続くため)、日本は他の先進国とくらべると10年を超える超長期債の発行額が多い(GDP比で)。財務省は、このためこうした結果が出たと驚愕の数字について説明している。
こうした数字が出てきた背景としては、財務省が超長期債の増加(財政規律の弛緩)に危機感を有していることがあると推測される。世界中が国債バブルの状況になっているが、これから10年の間に国債市場で何がおこるか気がかりである。