大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

フォード、グーグルの次世代自動運転車を生産か

2015年12月22日 | 日記

  2015年12月21日のAutomotive Newsは、グーグルとフォード合弁企業を立ち上げ、グーグルの次世代自動運転車を製造することについて交渉を進めていると報じた。来年あけにも正式な発表があるとの関係者の発言も紹介している。真偽は不明。


ハイイールド債ファンド、換金停止、清算が続く

2015年12月20日 | 日記

 米サードアベニューに続き、2つのハイイールド債ファンドが清算、換金停止に入った。

 2つのファンドとは、英国に本拠を置き約9億ドル(約1.1千億円;1ドル=120円)の資産規模をほこるLucidus Capital Partnersと資産約4億ドル(約500億円)のStone Lion Capital Partner

  前者は、顧客からの換金要求が増え続けているため、資産を清算して顧客への返金をおこなうとしている。ブルームバーグは、10月に大きな顧客から換金要求があったことが、清算を考えるきっかけになったと指摘している。

 また後者は、顧客からの換金要求が続いているため、換金を停止すると発表した。12月11日付のWSJは、同ファンドは、いつから顧客への返金をおこなうかタイムスケジュールを明らかにしていないとしている。

 日本では、これまでハイイールド債の問題についてはマスコミであまり大きく取り上げられず、10月にはGPIFがハイイールド債を運用対象に組み入れるといった世界とは逆行する動きも生じている。しかしアメリカやイギリスのメディアでは1年以上前から、ことあるごとにハイイールド債の問題が指摘されており、ずっと気にかかってきた。それが今回の一連の出来事である。日本の経済に直結する問題なので、これからの動きが気にかかる。

★ 上の記載内容については吟味しているつもりですが、引用元の誤りを含め、記述内容、数値に誤りがないことを保証するものではありません。

<ハイイールド債にかんする以前のブログ>

2015年12月12日 大手ハイイールド債ファンドが清算へ

2015年12月11日 ハイイールド債のデフォルト増加

2015年12月6日 アメリカでデフォルトが増加:最近の気になる経済記事


大手ハイイールド債ファンドが清算へ

2015年12月12日 | 日記

 2015年12月9日、米大手ファンドサードアベニュー(Third Avenue Management Fund)は、ハイイールド債ファンドを清算すると発表した。発表によれば、同ファンドでは顧客による換金要求が増えているが、それに応じると安値で資産をたたき売りしなければならないため、資産保全の観点から顧客による換金を停止するとされている。米メディアは12月11日(金)になって相次いでこの事実を報道。波紋が広がっている。 

 12月11日付のニューヨークタイムズ等によれば、サードアベニューは80億ドル(約1兆円:1ドル=120円)の資産を運用する大手ファンド。今回清算されるのは、Third Avenue Focused Credit Fundと名付けられたハイイールド債ファンド。過去1年間の運用成績は-20.52%(U.S. Newsのデータによる)。こうしたことから、同ファンドでは資金流出が続き、かつては25億ドル(3千億円)の運用資産が最近では7.88億ドル(950億円)まで減少していた。

 これまでハイイールド債などに対し、流動性が低く、売りが殺到すると市場がそれを吸収できず金融市場に大きな混乱が生じる可能性が指摘されてきた。今回の出来事は、そのことを思い出させてくれるものだった。

★ 上の記載内容については吟味しているつもりですが、引用元の誤りを含め、上記の記述内容、数値に誤りがないことを保証するものではありません。


サギノー工場、短いストライキの後、職場復帰

2015年12月11日 | 日記

 Automotive Newsなどによれば、Nexteer社のサギノー工場(ミシガン州)の労働者約3,000人(UAW Local699)は、先に労使間で合意された労働協約案を不十分だとして否決。2015年12月7日(月)からストライキに突入した。しかし20時間のストライキの後、12月8日(火)に労使間で新しい労働協約について暫定合意が成立。同日の夜シフトから生産が再開された模様。 

 前回否決された労働協約の内容は、1)4年かけて初任給を現在の時給13ドル(1560円:1ドル=120円)から15.35ドル(1840円)に引き上げる、2)(入った当初の労働者を除く)労働者の賃金を15.85-17.25ドル(1900円-2070円)の間に引き上げる、というもの。しかし多くの労働者は、この賃上げ額を不満として、あるいは医療保険の一部で負担増が生じることに反発して、当初の労働協約を否決。今回のストライキに至った。

 来週、新たに合意された労働協約について再び組合員投票がおこなわれる予定。いまのところ、新たに合意された労働協約の内容は明らかにされていない。新しい労働協約が多数の賛成を得ることができない場合、ストライキが再開される可能性が残っている。

  リーマンショック後、米製造業では賃金の停滞が続いていたが、ここにきて上記のような大幅な賃上げ事例が出始めておりマクロ指標への好影響が期待される。 

Nexteer社のサギノー工場(UAW Local 699)、新労働協約案を圧倒的多数で否決 (以前のブログ)

2015/12/24追記

 サギノー工場の組合員は、12月18日、新しい労働協約(5年間)を過半数の賛成で承認した。

 


ハイイールド債のデフォルト増加

2015年12月11日 | 日記

 海外で、ハイイールド債またはジャンク債(低格付け企業の発行する高利回り債)のデフォルト(債務不履行)増加を懸念する記事が増えている。12月8日のウォールストリートジャーナル(WSJ)は具体的に次のような数値をあげている。

 「米国のジャンク債発行残高は12月4日時点で1兆3000億ドルと、2007年の7090億ドルから急増」

 「バークレイズによると、新興国では高利回り社債のデフォルト率がこの1年間で3.8%となり、米国の2.5%を上回る。4年前は0.7%と、米国の2.1%を大きく下回っていた」

 同日付の別の記事でも以下のような数字があげられている。

 「エドワード・アルトマン教授によると。ジャンク債のデフォルト率は今年2.1%から2.6%に上昇し、2016年には09年以降で初めて過去30年間の平均3.8%を突破して4.6%に跳ね上がる可能性が高い」

 どちらの記事も、来年以降、ハイイールド債を発行している企業の借り換えがますます困難になり(借り換えコストが大幅に上昇し)、デフォルトが急増する可能性を示唆している。大きな混乱にならないことを祈るばかりだ。