今週、アメリカ株が急落した。
その背景としては、米金利の上昇、米中貿易摩擦の激化、中国の景気減速懸念、イタリアの財政問題などいろいろな問題が指摘されているが、とくに気になるのはアメリカにおける企業業績の増加のいきおいがピークをむかえ、これから鈍化するという見方である。
それを端的にあらわしたのがアマゾン株の急落である。
2018年10月25日(木)、アメリカ株式市場の引け後にアマゾンが第3四半期の決算を発表した。
決算内容は、去年の第3四半期にくらべ総売り上げが437億ドル(4.8兆円:1ドル=110えん)から566億ドル(6.2兆円)に29%の増加。
営業利益は、3.47億ドル(380億円)から37億ドル(4070億円)へ増加。
純利益は、2.56億ドル(280億円)から29億ドル(3200億円)へ増加。純利益は、市場予想を大きく上回った。
しかし、決算発表後、アマゾン株は8%急落し、それが翌金曜日、世界に波及していった。
その大きな原因は、第4四半期の業績見通しが予想外に低かったからである。
アマゾンは、第4四半期の総売り上げが665億ドル(7.3兆円)から725億ドル(8兆円)、1年前からの伸びが10-20%になるとの見通しをしめしたが、これは市場予想を下回るものであった。このとおりだとすると、第4四半期の総売り上げの伸びは2016年以降でもっとも低いものとなる。
またアマゾンは、第4四半期の営業利益が21億ドル(2300億円)から36億ドル(4千億円)、1年前からの伸びが0-70%になるとの見通しも示しているが、これもまた市場予想を下回るものであった。
アマゾンの株価は、高い成長が続くことを前提に株価収益率(PER)が100倍を大きく超える高い水準にある。この前提に疑問がなげかけられたことが、今回の株価急落につながった(との見たてが多い)。
来年は減税による利益の底上げもなくなる。はたして、これからも高い成長を期待し続けることができるのであろうか。
アメリカ経済の重要な先行指標として米株式市場の行方を注視していきたい。