2019年10月25日(金)、GMのUAW組合員は過半数の支持で4年間の労働協約を承認した(技能労働者56%、専門労働者66%が賛成)。これにより40日間続いたストライキは終結した。
労働協約の内容は、先のブログで書いたとおり。
ニューヨークタイムズによれば、この労働協約によりGMの労働コストは1年あたり1億ドル(110億円:1ドル=110円)増加するが、数千億円という純利益の規模からみれば小さな変化である。
一方で、ストライキによるGMの損失は約2千億円とされている。
ところでオートモーティブニュースによれば、日系を中心とした移転工場の労働コストは時間当たり約50ドル(5500円)。
これに対しGMの時間当たり労働コストは63ドル(7千円)に上昇するとみられている。
コスト競争上、GMは日系メーカーより不利な立場におかれることになる。
この点を危惧する米メディアは多いが、私は大型車ブームが続く限り経営への影響は小さいと考えている。
現在アメリカでは、低価格で利幅の小さい小型車市場はおもに日本と韓国メーカーが支配し、米メーカーの撤退が進んでいる。
一方、米メーカーは利幅の大きい大型車市場に資本を集中し、利益のほとんどをそこから得ている。
日本や韓国メーカーも大型車を投入しているが、米メーカーのブランド力は強くRAV4など一部車種を除き苦戦をしいられている。大型車市場では、低い労働コスト(価格)よりもブランド力の方がはるかに重要なのである。しかも、大型車市場は拡大をつづけ、小型車市場の3倍の規模になろうとしている。
この状態が続く限り、ビッグ3の経営がゆらぐことはないと思われる。
GMの次はフォードで労使交渉がおこなわれることがきまった。
ふつうであればこの後、フォード、FCAでGMと同じ内容の労働協約が締結、承認されることになる。
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