昨年末から、学生の論文指導に学内業務、介護が重なりブログを書く時間がなかなかとれない。
そんななか、最近気になった動きを急ぎ書き留めておく。
昨年末から年初にかけて世界同時に株の大幅下落がおこった。
その背景にあったのが、(1)アメリカの金利上昇、(2)米中貿易摩擦の激化、(3)原油価格の低下(アメリカ含む産油国にマイナス)、などであった。
しかし、現在、世界的な株価の反転がおこっている。
その原因のひとつは、2019年1月4日にパウエルFRB議長が「利上げは既定路線ではない」と発言したことにある。
それをきっかけに、アメリカで金利上昇期待が急速に低下。ウォールストリートジャーナル(2019/1/9)によれば、ゴールドマンとバンカメはともに、2019年末の長期金利を3%と予測するにいたっている(つまり今年1年ほとんど金利が上昇しないと予想)。
原油価格も、昨年末にOPECとロシアで協調減産が実施され、それ以降上昇基調が続いている。
米中貿易摩擦は、昨日、アメリカが中国との予備交渉を急にキャンセルしたというニュースが入ってきたが、今年にはいって昨日までは楽観論が広がっていた。
こうしたなか、ふたたび時計の針を巻き戻すような動きがおこっている。
ひとつは、米高金利をみこして新興国から流出していた資金が、ふたたび新興国に戻りつつあるということである。
たとえばフィナンシャルタイムズ(2019/1/18)は、新興国の株などに投資するファンドに、先週1週間だけで33億ドル(3,600億円:1ドル=110円)が集まったとしている。
もうひとつは、信用度の低い企業向けのハイ・イールド債にふたたび資金が集まりはじめているということである。
米金利上昇期待が高まる中、昨年11月から40日間にわたってハイ・イールド債の新規発行がないという状態が続いていた(発行しようとすると十分なお金が集まらず、金利も高くなってしまうため)。ウォールストリートジャーナル(2019/1/10)によれば、これは1995年以来の出来事だという。
しかしこれも今年に入ると風向きがかわり、1月10日以降、低格付け企業によるハイイールド債の発行があいついでいる。
フィナンシャルタイムズ(2019/1/23)は、最近では、企業の見込みよりハイイールド債に資金が多く集まり、発行金利も低下傾向にあるとしている。
こうした動きが一時的なものにすぎないのかどうか、注意してみていきたい。