大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米で2基の原発建設が中止

2017年08月27日 | 日記

 ウォールストリートジャーナルによれば、米デューク電力は2017年8月25日(金)、サウスカロライナ州で計画していた原子力発電所建設計画を中止すると発表した。

 同社はウェスティング・ハウス社が開発中のAP1000型原子炉を2基設置する計画で、これまで土地取得費など5.42億ドル(約600億円:1ドル=110円)を投じてきた。 

 しかし建設費高騰が見込まれることから、今回の計画中止にいたった。

 先月2017年7月には、同じくAP1000型原子炉を建設途上だったスキャナ電力が、建設費用が当初見込みの140億ドル(1.5兆円)から257千億ドル(2.8兆円)に膨らむことから建設中止を決定したばかり。

 ちなみに、この建設費高騰にともなう損失をしっかり会計処理していなかったのが東芝の不正会計問題であり、ここから現在の東芝の経営危機が生じている。 

 AP1000型原子炉は設備の簡素設計などにより従来より安価に建設できるとされてきたが、実際には現場での建設が難航し、建設費が高騰している。


アメリカでローンを払えず差し押さえられる車が増加

2017年08月24日 | 日記

 2017年8月21日のブルームバーグは、年500万台の中古車を販売するKAR Auction Services Inc.の予想として、ローンの支払いが滞り没収される車の台数が今年200万台近くになると報じた。

 2007年リーマンショック直前の没収のピークは約110万台

 リーマンショック後、アメリカでは信用の低い人向けの自動車ローン(サブプライムローン)が急増しており、そのリスクが関心を集めている。

 なお自動車ローン以外のローン返済は安定しており、ウォール・ストリートジャーナル(2017/8/22)によれば、90日以上支払いが遅れている問題債権は1年前より6.7%減少している。

 


電気自動車によって自動車産業の分業構造が激変

2017年08月22日 | 日記

 電気自動車が自動車産業の分業構造を大きく変えつつある。

 ガソリン自動車一台に使われる部品は2-3万点

 これに対し、電気モーターを使うことで変速ギアなどが不要となる電気自動車の部品は少なく、テスラのモデル3で7千点ほどとされている。

 そのなかでとくに重要なのは電気モーター、リチウム電池、モーターなどを制御する情報システムだが、GMの電気自動車シボレー・ボルトEVは、それら中枢部品の87%を韓国のLG化学とLG電機から外部調達している。

 自動車生産で汎用化(特別に設計された部品でなく一般に売られている規格部品によって生産できるようになる)が進むと、家電と同じようなこと-完成品を作るメーカーでなく汎用部品を安価・大量に生産できる国、企業に生産の主導権が移る-がおこると心配されているが、GMのボルトEVはまさにその先駆けとなりそう。

 GMのボルトEVでは、LGグループから調達する部品の知的所有権はGMが保持することになっているが、いずれLGや独コンチネンタルなど外部のメーカーが独自のシステム一式を供給するようになっていくのは避けられない流れのように思う。

 電機産業では2-3年で業界地図がオセロのように激変する状況のなか、多くの日本企業はそれにうまく適応することができないでいるが、日本の自動車メーカーは電機メーカーの轍を踏まずにすむのであろうか?

 

2019/3/22追記

 2019年1月31日、VWは電気自動車のモジュラーであるMEBを他社に提供すると発表。

  VWは2019年3月には、電気自動車生産のスタートアップ企業e.GO Mobile にMEBを提供すると発表。MEB提供先としては同社がはじめてとなる。VWの計画では、このMEBを利用して1千万台の自動車が生産される見込みとなっている。


米ハイテク株はバブルか?

2017年08月19日 | 日記

 米ハイテク株について、現在の株価水準を合理的と考える人と持続可能でないと考える人がいる。

 アメリカでは前者の考えの方が主流のようだが、本当はどうなのだろうか?

 今後、何かの記念になるかもしれないので2017年8月14日時点での業績をメモしておく(出典はyahoo finance)。

 ちなみに計算間違い、書き間違いなどがありえます。以下の数値の正しさは保証しません

        PER  時価総額(1ドル=110円で計算)

アップル    18.75   91兆円

アマゾン    185.18  52兆円

Facebook   43.41   55兆円

Alphabet   43.94   31兆円

Netflix    221.22   8兆円

NVIDIA    56.53   11兆円

テスラ    -76.28   7兆円

Snap     -4.13   1.6兆円

Twitter    -26.04   1.3兆円

インテル    15.73   19兆円

Microsoft   32.48   62兆円    

 ちなみに日本の時価総額トップはトヨタで約20兆円、2位はNTTの11兆円。

 アメリカの巨大企業の時価総額はもともと日本企業より大きいが、50兆円(ハーフ・トリリオン・ダラーズ)を超える企業がこれほどそろったことはない。

 これまでの成長が持続していくか見守っていきたい。


トランプ大統領、南軍関連の銅像撤去を批判: 白人至上主義者に寄り添う主張に批判高まる

2017年08月18日 | 日記

 ヴァージニア州シャーロッツビル市で白人至上主義者とその抗議者の間で大きな衝突がおこった後、アメリカ各地で南軍関連の銅像を撤去する動きが強まっている。

 ボルチモア市(メリーランド州)では8月16日(水)、混乱を避けて深夜、関連する4つの銅像の撤去がおこなわれたほか、ダラム、ニューオリンズ、オランドなど各地で銅像撤去の決定、実行が進んでいる。(NYT 2017/8/17)

 こうした中2017年8月17日(木)、トランプ大統領はツイッターで「美しい銅像や記念碑が撤去され、わが偉大な国の歴史と文化が引き裂かれるのを見るのは悲しい」「ばかげている」と銅像撤去を批判

 銅像撤去に反対する白人至上主義者の主張を支持するかのような書き込みに、アメリカの政財界、メディアではトランプ政権への批判がさらに強まっている。

 2017年8月16日(水)には、大手企業CEOで作る2つの大統領の諮問会議が辞任者多数のため解散を余儀なくされるほか、ウォルマートCEOをはじめとして多くのCEOから異例ともいえる大統領発言への批判がでている。

 その一方、シャーロッツビル市の衝突後もトランプ氏の支持率は大きく変化していない

 8月14-16日におこなわれたCBSによる世論調査によると、トランプ大統領の事件への対応を支持する者は34%と低いが、共和党支持者にかぎると支持率は67%と高率を維持している(民主党支持者と支持政党なしの支持率はそれぞれ10%と32%)。

 こうした身内の高支持率が続く限り、トランプ氏の挑発的な発言はまだまだ続いていくと思われる。