大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

日本のGDPが世界第4位に転落

2014年04月30日 | 日記

 2014年4月29日(火)、世界銀行は購買力平価(買える物、サービスの量が同じになるように調整した通貨の交換レート)をもちいた2011年の各国のGDPを公表した(要約はこちら)。

 

 今回公表されたデータによれば、日本のGDPは米国、中国、インドに次いで第4位となる。為替レートを使えば日本のGDPは、米国、中国に次いで世界第3位となるが、購買力平価の方が各国の経済力の比較には適していると考えられる(実際に買える物、サービスの量を使った比較となる)。

 

 なおフィナンシャル・タイムズ(4月30日)は、このデータを基にして今年(2014年)に中国のGDP(購買力平価)が米国を抜いて世界第一位になる可能性が高いとしている。FT紙は、多くの経済学者は中国のGDPが米国を抜くのは2019年とみていたが、それが早まったと述べている。

 

 ちなみに一人当たりのGDP(購買力平価)でみると日本は世界第33位(米国12位、スウェーデン22位、ドイツ24位、フランス30位、イギリス32位、中国99位、インド127位)。

 

 私はこれを大ニュースと思うが(FT紙でも一面トップ扱い)、日本のメディアがこれをどう扱うか少し気になる(軽くスルー?)。

 

<2014年10月13日 追記>

 数日前にIMFは、今年末(2014年末)に中国のGDP(購買力平価)が米国を抜いて世界第一位になるとする推計を公表した。FT紙など海外紙はこれを大きなニュースとして扱っているが、私のしるかぎり日本ではあまり報道されていないようだ。

 


VWの組合承認選挙にかんして、UAWが異議申し立てを撤回

2014年04月22日 | 日記

 先日ブログで書いたように、VWのチャタヌーガ工場(テネシー州)でおこなわれた組合承認選挙でUAWは過半数の支持を得ることができなかった。その後UAWは、共和党の政治家からさまざまな口先介入があり選挙の自由が侵害されたと、選挙を管理するNLRBに異議を申し立てていた。しかし4月21日(月)、UAWはその異議申し立てを撤回した。

 

 AP通信などによると、選挙結果が確定するまで、地方自治体は約3億ドル(約300億円)の補助金支給をおこなわないとしており、このためそれを前提としたVWによる工場拡張(SUV用の新ラインの新設)の決定もいつでるかわからない状況になっている。NLRBの審議は数か月から数年かかる恐れがあるため、UAWは雇用拡大を優先するという考えから(工場拡張=雇用拡大を組合が阻害しているという批判を避けるため)、異議申し立てを撤回することになった。

 

 なおVWは、ドイツで共同決定法などにより設置が義務付けられている労使協議会制度(労働者に経営への関与を保障した制度)のようなものをアメリカに設置することを望んでいると公表しており、組合否認をうけて、今後どのような展開となるかが注目される。