先日、クライスラーが再上場するとの報道があった。しかし、その理由を正しく理解していない日本の新聞が多いようだ。
日経新聞(9/24朝刊)などは、今回の上場を、クライスラーの経営再建がここまで進んだという象徴的な出来事として伝えている。
しかしNYTやWSJあるいはAutomotive Newsなど米自動車専門紙は、次のように述べている。
現在、クライスラーの発行済み株式の58.5%を伊フィアットが、41.5%をUAW(全米自動車労組)の退職者医療保険基金が保有している。フィアットは、業績好調が続くクライスラーの全株式保有を狙っているが、株の買い取り価格を巡ってUAWと話し合いがつかないでいる。フィアットが提示する株価を、UAWが低すぎると拒否しているのである。
これを解決するための手段が、今回の株売却(再上場)である。市場に売りに出して、株価をつけてもらおうというわけである。これが、今回、再上場がおこなわれる理由である。
そもそもフィアットは、クライスラーの全株保有を望んでおり、現在のところ保有株の売却(再上場)による外部資金を必要としていないし、また外部者が株主として経営に影響力を持つことを望んでいない。
以上、気になっていたので書いておく。