大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

VWの組合承認選挙にかんして、UAWが異議申し立てを撤回

2014年04月22日 | 日記

 先日ブログで書いたように、VWのチャタヌーガ工場(テネシー州)でおこなわれた組合承認選挙でUAWは過半数の支持を得ることができなかった。その後UAWは、共和党の政治家からさまざまな口先介入があり選挙の自由が侵害されたと、選挙を管理するNLRBに異議を申し立てていた。しかし4月21日(月)、UAWはその異議申し立てを撤回した。

 

 AP通信などによると、選挙結果が確定するまで、地方自治体は約3億ドル(約300億円)の補助金支給をおこなわないとしており、このためそれを前提としたVWによる工場拡張(SUV用の新ラインの新設)の決定もいつでるかわからない状況になっている。NLRBの審議は数か月から数年かかる恐れがあるため、UAWは雇用拡大を優先するという考えから(工場拡張=雇用拡大を組合が阻害しているという批判を避けるため)、異議申し立てを撤回することになった。

 

 なおVWは、ドイツで共同決定法などにより設置が義務付けられている労使協議会制度(労働者に経営への関与を保障した制度)のようなものをアメリカに設置することを望んでいると公表しており、組合否認をうけて、今後どのような展開となるかが注目される。