大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

日本車、品質優位なくなる

2015年06月18日 | 日記

 2015年6月17日(水)、J.D.POWERは2015年の初期品質調査の結果を発表した。これによると29年間の調査において、日本車の品質ははじめて産業平均を下回り、品質の優位性が大きく損なわれている現状が明らかになった。

 この調査は新車購入後90日間に発生した問題件数を調査したもので、車の品質調査ではもっとも有名で影響力のあるものである(点数が低いほど、品質が優れていることを示す)。J.D.POWERによれば、もっとも品質が優れていたのは韓国車で90点。次が欧州車の113点、これに日本車とアメリカ車の114点が続いている。日本車の品質は、産業平均の112点を下回っており、これは29年間の調査で初めての出来事である。

 ブランド別にみると1位がポルシェの80点、2位が起亜の86点、3位がジャガー93点、4位が現代の95点。日本車は、5位インフィニティ97点、9位レクサスとトヨタ104点、14位ホンダ111点となっている。日本車のほかのブランドはすべて産業平均(112点)を下回っており、最下位に近い水準が指定席になっている有名ブランドすらある。

 J.D.POWERによれば近年、音声認識やBluetoothのペアリングの問題といった娯楽、通信関係の問題が多くなっており、今回の調査は、日本車がこの領域で大きな問題を抱えている可能性を示唆している。ちなみに同社によれば、2013年から2015年にかけて、アメリカでは音声認識を備えた車の割合が57%から67%に上昇している。

 個人的な印象であるが、アメリカはbluetoothの普及が日本より10年ぐらい早く、Siriなどの音声認識も日本よりはるかに多く利用されている。多くの人は誤解していると思うが、新しい技術や文化を取り入れることにおいては日本よりアメリカの方が積極的ではないかと思う。そのためテレビ、携帯電話、ファックスなどがそうだが、進歩の速い領域では、日本の市場や嗜好に合わせていると、世界の流れから取り残されかねない。自動車産業はこれまで、日本で需要のない大型ピックアップトラックをアメリカ人向けにゼロから開発、販売するなど、日本の中では例外的に海外の市場や嗜好(の変化)にうまく適応してきたが、それがこれからも続くのかどうか注目である。