外壁は、硬質系ボンタイルと呼ばれるもので仕上げられている。この外壁の仕上げ工程を、少し詳しく説明しておくと次のような工程を経て仕上げられる。この建物が建てられた頃より、コンクリート打ちっぱなし工法と呼ばれる工法が採用され始めた。厚さ3センチのモルタル塗りを省略し、コンクリート厚さを3センチ余分に打ち増しし、施工する事でモルタルの剥落を防止し、かつ工期の短縮をするのである。ここに新たな、石綿建材の使用場所が生まれた。まづ塗装下地処理の為の接着剤(シーラー)が塗布されるが、これに石綿が増粘増量材として添加されている。その塗布された上に、樹脂ノロと呼ばれるパーライトとセメント、セメント混和材、接着剤が調合され、鏝しごきと呼ばれる工法で、コンクリート全面を仕上げていく。これらの材料の全てに石綿が含有されていて、石綿こそ主役なのである。
その上から、再び塗装用シーラーを吹き付け、ボンタイルの基材を玉吹き状に吹き付ける。時にはその状態を平板ロラーで軽く抑え、形状を整える。その上から着色仕上げ材を吹きつけるが、これらのすべての材料に石綿が、含有されている。石綿を含有させることにより、紫外線などの自然環境による、劣化を防ぐのである。この外壁仕上げの材料で、セメント系リシンと呼ばれるものがあるが、その材料にもメーカーによっては、石綿を含む。これらの材料は、民家の外壁にも使用されている。
また、田舎家の白壁も昭和四十年頃より、麻の「すさ」と呼ばれた繊維から、石綿繊維に変わり使用された。施工性がよく、技術力の無い職人でも簡単に施工でき現場で「すさ」と石灰と「ふのり」を混ぜることなく簡単に漆喰が調合できたので、短期間に取って代わった。その為に町屋の左官(それに対しビルの現場などの左官は野丁場の左官と呼ぶ)も石綿被害者となった。
さて私事であるが、血液中の酸素濃度が不足する事が重なりその被害が、左目に出た。普通生活者より十年早く黄班膜が欠損を起こし、早急な手術が必要となった。前回は、入院時の検査で自然治癒するという離れ業を使ったが今回はどうもだめな様である。右目の視力を残す為に近々手術を受ける。この様な状況が、石綿による肺の機能異常による事が明白であっても、労災の対象にならない。これが、石綿被害者の現実に置かれた状況なのです。このシリーズは、入院の日まで続けるつもりですが、体調と相談しながらの事となります。御了承下さい。
ところでこの花はなんと言う名の花でしょうか。鳥が種を運んできたのか、はたまた、蟻が種を運んできたのか我が家に住み着きました。可愛い花なので、抜かずにそっとしておきましたが、この主なかなか手ごわそうです。いつの間にか、十株以上に増えてきました。女王様気取りで居座っています。