ある官公庁の月刊広報誌のコンペが13日にあるため、先週からその打ち合わせや企画立案でバタバタし、カンプ用原稿の締切が明日なので本当なら昨夜も遅くまで仕事をするべきだったのでしょうが、本を読んで早めに寝てしまいました。その代わり今朝は4時起きで集中して仕事しましたよ、ちゃんと締切に間に合うように。
昨夜読んでいた本が『それでもあなたの道を行け』。副題は「インディアンが語るナチュラル・ウィズダム」。『リトル・トリー』読了後、注文した本です。
この本には1800年代から現代までの、アメリカ・インディアンの智慧の言葉、たとえばブラック・エルクやシアトル首長の言葉、各部族の生き方の教え、合衆国憲法に影響を与えたイロコイ部族連盟の法の抜粋などなど、110篇が収録されています。めるくまーる発行、1751円。
表紙の写真は1905年頃に撮影されたナヴァホ族の青年です。凛としたいい面構え、ほれぼれします。彼に「それでもあなたの道を行け」と言われたら、迷わず「はい。行きます、行きます」と答えちゃう。さまざまな部族の長老や首長、女性たちの写真が掲載されていますが、だれもが実にいい顔をしています。
●1805年/セネカ族のレッド・ジャケットが宣教師に語った言葉
「あなたはこう言う。自分たちは、グレート・スピリットをその御心のままに崇拝するやり方をわしらに教えるために、やってきた。わしらがあなた方白人の説くその宗教を受け容れなければ、わしらはこれから不幸になっていくだろうと。そして、自分たちは正しく、わしらは間違っている、とも言う。そんなことが真実だと、どうしてわかるだろう。(中略)
兄弟よ、あなたはグレート・スピリットを崇拝し、おまつりするやり方は、ひとつしかないのだと言う。だが、ひとつしか宗教がないのだとしたら、どうしてあなた方白人は、それについてそんなに意見が合わないのだろう。あなた方はみんなその本を読めるのに、なぜ考えが一致しないのか。
兄弟よ、わしらにはその理由がさっぱりわからない。わしらはその宗教が、あなた方の先祖のもとにもたらされ、父から子へと代々受け継がれてきたものである、と聞かされた。
ところがわしらにも宗教があって、それはわしらの先祖のもとにもたらされ、子孫へと代々伝えられてきた。その道を、わしらは崇拝している。その宗教はわしらに、グレート・スピリットの恩寵に感謝すべきことを教え、たがいに愛し合い、ひとつに結びつきなさい、と教えている。わしらは、宗教のことで争いなどは起こさない。」
●1933年/ラコタ族のルーサー・スタンディング・ベアー首長
「子供の訓練は、じっと座っていなさい、そしてそれを楽しんでごらん、という教えから、はじめられたものである。子供たちは、嗅覚を敏感にして、なにも見るものがないところになにかを見たり、まったくの静寂のなかに、じっとなにかを聞き取ったりするように、と教えられた。じっと座っていることのできない子供は、ちゃんと成長していない子供だ。」
さまざまな部族の人たちが語った言葉が記録されているのですが、グレート・スピリット(DNA解明の世界的権威・筑波大学名誉教授の村上和雄先生が言うところの“サムシング・グレート〈偉大なる何者か)”と同義語だと思います)に対する信仰心や死生観、道徳心などは、どの部族も共通しています。思慮深い言葉の数々に畏敬の念を覚えました。
こちらもアメリカ・インディアンの詩や散文が収録されています。オススメです。『今日は死ぬのにもってこいの日』めるくまーる発行、1751円。