3頭と新河岸川に架かる橋を渡っていると、前方の土手道の上で立ち止まってこちらを見ている人がいました。目の端にその姿を捉えながらも、じっとそちらを見やることなく、犬たちが路面をクンクンするにまかせ、立ち止まったり進んだり、ノロノロと亀の歩みを続けていたのですが、その人はやはり立ち去る様子もなく、こちらを見ています。
アウトドアジャケットの色からして、過日私に河川敷での「ノーリード犬咬みつき事件」を教え、「あなたも犬を放しちゃいかんよ」と言ったおじさんのようです。
私がそちらに顔を向け、大声で「おはようございます」と言いながら頭を下げると、おじさんが手を上げて返してきたので、「やっぱりそうだったか」と思いながら、私も軽く手を上げました。
すると、おじさん、おもむろに両手を掲げて丸く輪を描いた。黄桜「どん」のCMで、出演者が「丸!」とやるときのように。
「ん? 丸?」。
おじさんは私が犬をリードにつないで歩かせていることに、「合格」サインをくれた模様。「丸」はどうもそういう意味らしい。
なぜか私も、リードを持っているために高く掲げられない両手で顔の前に丸を描く。それを見ておじさんは満足気に頷きつつ、上流に向かって立ち去って行ったのでありました。ううむ…。