京都・西陣織会館の並びに、陰陽師・安倍晴明の屋敷跡に建立された一條戻橋の晴明神社があったので立ち寄りました。
夢枕獏著『陰陽師』は読んでいないのだけど、野村萬斎さん主演の映画(パート1)は見た覚えがある。妖艶な雰囲気で美形というイメージの晴明に萬斎さんはぴったり。なかなか面白い映画でした。
平日だというのにけっこうな人出があり、人気スポットのようです。社紋にもなっている星型の桔梗印は、陰陽道の祈祷呪符のひとつで、天地五行(木・火・金・土・水)を象どり、宇宙万物の除災浄浄を表しているそうです。
社紋の晴明桔梗印
その桔梗印が刻印されている「みずかがみ御守」ペンダントを自分のために買い求め、犬たちの世話をお願いした妹には、やはり桔梗印が刻印されている木のお札を買いました。
なんでもこの印はギリシャ語で「ペンタグランマ」と呼ばれ、西洋でも魔除けの印とされていると御守袋に書いてあります。
御守の威力か、帰りの飛行機が落ちず、無事に犬たちのもとに帰れますように、というお願いはちゃんと叶えられたのでした。ああ、よかった。
伊丹発の飛行機から撮影した秀麗な富士の姿
先週は取材続きで、犬たちのエサとトイレの世話は妹にお願いし、またしても1泊2日で地方へ。
8時台の飛行機で石川県小松空港へ。8時に羽田に着くということは、家を6時過ぎに出なければならず、家を6時過ぎに出るということは、犬たちの散歩には5時前に出かけなければなりません。今は明るくなるのが早いからいいけど、冬場だとまだ真っ暗な時間です。真っ暗な河川敷って、けっこう怖いんだよね。
で、小松空港には10時前に到着。レンタカーで福井県に入り、福井市内で篤農家の取材。それを終えてから一路滋賀県守山市へ。守山市ではバラの育種家と、バラの生産農家を訪ねました。いずれもバラに関しては日本でもトップクラスの育種家であり、生産農家はオランダの種苗会社レックス社の日本総代理店として有名な農園。特に育種家親子の人柄とバラの新品種育種へのひたむきな思いに打たれました。
そちらの取材後、京都に向けて走り、その夜は京都泊。私にしては珍しくうまい地酒(日本酒)と京野菜や旬のハモ料理に舌鼓を打ったのでありました。
そして、翌日、今度は西陣織の伝統工芸士の取材。これがまた目からウロコで、西陣織の手機がジャカードという装置の導入によって、えらくシステマチックになっており、びっくりしました。
織り上げる図案を方眼紙に写し取って色を決め、もとになる「紋意匠図」という元になる図案用紙を作ったら、それをコンピュータに入力します。すると、コンピュータが糸の位置を指定する穴を紙に開けてくれる。パンチカードみたいなものですね。
それを紋紙というのだけど、それがセットされれば、穴の有無に従って自動的にタテ糸が引き上げられていくので、織る人はヨコ糸を通していけば、紋紙のパターン通りの模様を織ることができるのです。
これが紋紙。文様の虎の巻みたいなもの?
もちろんヨコ糸を通す正確さとスピードや、トントンと整える織り手の微妙な力加減によって、至極の織物が生まれるのですが、いや~、近代的でした。3mもあるだろう手機の大きさにもたまげました。
綴機(つづればた)はジャカード装置によらず、爪かきで文様を表現していく完璧な手作業で、西陣織の中でも最も歴史がある手法だとのことですが、そちらは見学できず、ちょっと残念。
伝統工芸士さんは西陣織会館でデモをしていたのですが、同館では開館後1時間おきに着物ショーを行っていました。着物ショーを眺めている欧米人がみなニコニコしていて、面白くて仕方ないという表情だったのが印象的でした。なんか友好ムードいっぱいで、ひたすら平和な感じでした。