“人間万事塞翁が馬”とは、幸せも不幸も人間の期待した通りにはならず、何が禍となり何が福となるか分からないことを説明した故事である。
知人に脳出血を罹患した方がいるが、彼は次のように言っている。
『私は発病以来、多くの人々の支えでここまで来ることができました。とくに心が折れそうになったとき、ある人との出会いで勇気をもらい、そこから“こころのきっかけ”が生まれました。
今度は、中途障害を持ったから気づいたこと、障害があるからこそ果たせる役割があると考え行動しています。私にとってのエンパワメントは、社会的障壁や不均等をもたらす社会的メカニズムの変革を考えています』と。
また、ある知人は若い時、体を悪くして入院したそうで、彼の作った「変わる時代、変えるスタイル、未来志向」の標語は、今の新型コロナ禍の時代にピッタリである。このような標語が浮かんだ理由は、入院した経験が生きたのだと思う。
また、財務官僚であった信州大学准教授 山口真由氏は、自分のイジメを受けた経験から、次のようなことを新聞記事に書いていた。
『(前略)自分が努力して手に入れたものに価値があると思っています。小さな目標を立てて一歩ずつ進んでいけば、それが積み重なって将来ができあがる。
私も20代の人に交じって大学院で勉強するのは恥ずかしいという思いもありました。でも恥の多い人生は、挑戦が多い人生です。それに恥をかき続ければ、前の恥なんて忘れちゃう。
私に人生の前半は暗くて嫌な感じでしたが、黄金期は後になった方がいい。いま自分がイケていないと思う人も、立ち止まらなければすごいチャンスが待っています』と。
三人の経験談は、まさに“人間万事塞翁が馬”であると思う。私も脳出血になった経験から言えることは、「今日できることは、今日中に行なえ。明日があると思うな。」が教訓である。
「十勝の活性化を考える会」会長
注)エンパワメント
エンパワメントとは一般的には、個人や集団が自らの生活への統御感を獲得し、組織的、社会的、構造に外郭的な影響を与えるようになることであると定義される。日本では能力開化や権限付与とも言う。
エンパワメントの考え方は昨今大きな広がりを見せ、保健医療福祉、教育、企業などでも用いられている。広義のエンパワメント(湧活)とは、人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き出させることと定義される。
(出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋)