アフリカ大陸におけるコロナ感染状況を調べてみると興味深い事実に気づきました。
下記の表は、アフリカのGDPとコロナ感染者数、及び人口のランキングですが、なんとGDPとコロナのランキングがほぼ一致しています。人口の順位とも多少関連がありますが、これほど一致はしていません。この事実から読み取れることは、以下のようです。
当初(3月ころ)心配されていたアフリカの感染拡大は、「貧困による医療体制の脆弱性による感染拡大」でした。エチオピア出身のWHO事務局長も、真っ先にアフリカを心配していましたし、NHKも「アフリカに感染が広がると大変なことになる」という論調でアナウンスしていました。
ところが結果は、国の貧困とは真逆で、アフリカ大陸の豊かな(GDPの大きな)国の順に感染者が多いという皮肉な結果です。
ここからは、私見ですが、今回のコロナ危機は、‘社会の歪み’もあぶりだしているというふうに読み取れます。
GDPの一番大きな南アフリカはG20の構成国でもあり、アフリカでは最も豊かですが、コロナ感染でも突出して多くの人が感染しています。(8月23日現在、世界第5位!)
一方、サブサハラと言われる中央から南の最貧国の国々は、WHOの地図からわかるように、感染はそれほど広がっていません。
コロナ感染拡大のキーは言うまでもなく、局所的な3蜜ですが、もう一つの重要な要素は、広域にわたる人の往来です。南アフリカは、経済の著しい発展とともに、都市に多くの人が集まり、3蜜ができ、都市間及び国家間の人の往来も頻繁であるため、感染爆発が起きているのではないかと思います。これまでの伝統的な概念、「貧しいアフリカの国々ゆえ」という理屈は、少なくともここでは成り立っていません。
さらにもう一歩踏み込んだ仮説を立てると、往々にして、急速発展してきた新興国には、それに伴う貧富の格差拡大が生まれ、大都市の中に貧しい地区が生じやすく、そこがコロナの温床になっている可能性もあります。貧しい地区における感染拡大は、シンガポール、ブラジルなどでも懸念されています。また類似の現象として、アメリカでは、貧しい黒人層の感染率が高いという報告もあります。
要するに、国全体が貧しいと、感染拡大の可能性は低いが、国が、それなりに豊かでも、貧富の格差など、大きな歪みを抱えていると、コロナの標的になりやすいということでしょうか。この現象が顕著にみられるのが、「アフリカ大陸」です。
GDP順位 単位:100万ドル コロナ順位 千人 人口順位
1 南アフリカ 354,414 南アフリカ 583 ナイジェリア
2 エジプト 216,830 エジプト 96 エジプト
3 ナイジェリア 206,664 ナイジェリア 48 コンゴ
4 アルジェリア 158,969 ガーナ 42 エチオピア
5 モロッコ 91,702 モロッコ 41 南アフリカ
(※情報元:アフリカの名目GDP (2010年) IMFより)
(※情報元:コロナ感染者数(2020.8.23現在)WHOより)
「十勝の活性化を考える会」会員F