令和2年1月2日、NHKBSスペシャル「空海の宇宙を描く」を放映していた。この中で、四国遍路を訪ねる人が、「不合理の中の真理」の話をしていた。それは、次のような意味であろう。
「現代社会は全て、オートメーションとかAI(人工知能)など、合理性が重んじられているが、人間にしか持っていないものがあるので、それを大切にしよう」ということであろう。それが“日本の文化”のひとつではないかと思っている。なお、四国遍路とは己を見つめ直して人の機微にも触れ、人と自然が合一することである。
ところで、少し前までは考えも及ばなかった新型コロナという事態が、2019年12月に中国武漢市に起こって3年になる。そして、ウクライナ戦争も越年した。日本では強い影響力を持っていた政治家が倒れ、冷静さが失った政治が国民から遊離している。
米中などの軍事力が世界を覆いはじめて、平和や民主主義などの普遍的な価値観を揺るがしている。我々は歴史の転換点に立っているので、時代の流れに流されてはいけない。
日本人特有の生命観には、太平洋戦争によって多くの人命が失われたことなどに伴うものである。それなのに世界保健機関(WHO)によると、日本の自殺率は先進7カ国で最も高い。厚生労働省の調べでは健康、経済・生活、家庭の問題が原因の上位を占めている。こうした境遇にある人に手を差し伸べるのが政治であり、それによって豊かな社会が実現されよう。
人工知能(AI)が動かす現代に、引きこもりや疎外感を抱く人が増える一方、スマホ認知症の人も増えている。人の命を見つめ直し人と人とをつなぐ“絆(きずな)”を再構築しなければならないと思っている。
しかし、ウクライナ戦争などを見ている、人間は共助の心を持たなくなってきたので、食糧問題などによる進化によって絶滅危惧種であろう。この場合の進化とは、退化といって良いだろう。
「十勝の活性化を考える会」会員