VOL2 わ・た・し流

おとぼけな私ですが 好きな本のことや 日常のなにげない事等 また 日々感じたことも書いていきます。

桃花徒然 その67

2022-11-27 11:30:35 | 永遠の桃花

引き続き枕上書  番外編より

 

東華と折顔のもとに  東華の従者が報告に来る。

「また一人  客が参りました・・・」と耳打ち。

「うん?貴方は  また誰を引き入れたのだ?」

「今度のお方は 私が引き入れたわけでは

ございません。彼は自分で 帝座の設置した禁制

を通って入って来ました。」

驚いた折顔、思わず口に出てしまった。

「何?私でさえ通れなかった禁制を通ったと?

そんな能力を持つ者と言えば、 まさか 墨淵?」

東華が低い声で呟く。

「いや、墨淵でさえ通れはしない。私が許可を

与えた者か  血縁のあるもののみだ。しかし、私には

血縁者はいない。」

まさか、従者以外にも  許可を与えた者が?

と言う東華に  従者は言いにくそうに・・・

「その客は・・・帝座、貴方と血のつながりを

持つ人のはず・・・」

 

折顔と半日以上天下を論じても、顔色一つ

変えなかった東華の顔が  白くなった。

「私は孤児のはず・・・兄弟も姉妹もいない」

「彼は  帝座の兄弟でも姉妹でもありません」

「私には  両親もいない」

「彼は  貴方の両親でも ありません」

東華は  眉をひそめる「それなら 彼は・・・」

従者は勇気を振り絞るようにして 言った。

「彼は  貴方の息子だと言っています。名は

白ゴンゴン・・・」

 

東華も折顔も絶句した!

既に立ち上がって  立ち去ろうとしていた折顔は

踏み出していた足を引っ込めると 更に二歩下がった。

(折顔は  大のゴシップ好き🤗)

そして座席に座りなおし  居住まいを正した。

これは・・天界を揺るがすほどのゴシップでは?

表面上 何事もない様子をしていたが、折顔は

興奮していた。3年粘ったかいがあったというもの。

待ち損にはならなかった😁と。

 


桃花徒然 その66

2022-11-27 10:34:44 | 永遠の桃花

引き続き  枕上書 番外編より

 

折顔から  神族の長になって 世の乱れをおさめて

欲しいとの要請を聞きながら 東華は碁を打っている。

そして言う

「墨淵が  五族を統一する道に行ったのは、少かんが

人族の為に 自分が羽化しようとも 若木の門を開けようと

していると知って、それを阻止するためだった。

しかし、門は開けられ、少かんは命を散らしてしまった。

その時、彼の願いは全て  潰えてしまった。四族の事が

全て 軌道に乗った後は 立去るのも当然のこと。

なのに貴方たちは、彼が後継を決めなかった事に  まだ

文句を言うのか」(中略)

折顔「貴方はあの時、少かんが若木の門を開けられる

事を知っていた。かつ  そのせいで少かんが羽化する

事も。そしてそうなれば 墨淵が全てを捨てて

失踪するだろうという事も。  そして、そうなったら

神族はまた結束を失って  天地が大いに乱れる事も。

だからあの時、神族の戦いが断然有利な時期に

隠居した・・・

しかし、仮に  貴方が 直ぐにでも  長老たちの

意見を聞いて九重天に戻って 頂点に君臨したら 

全ては上手く収まるのに・・・何故  貴方は・・・」

 

東華は碁を打ちながら言う。

「墨淵は 外敵に対しては決して手を抜かなかった。

しかし、内政に緩みができたのは 避けようもない。

いずれ 問題は表面化する。長年の間に 神族の心に

鬼の域ができ、ハエやゴキブリ、ネズミの類が

住みついていた。私がいたなら、彼らはどうして

姿を現す事ができよう?」

 

ようやく折顔は  東華の思惑を理解する。

これ以上 長居する事もないと 退出しようと

した時・・・  思いがけない事件が起きた・・・