引き続き 枕上書 番外編より
折顔から 神族の長になって 世の乱れをおさめて
欲しいとの要請を聞きながら 東華は碁を打っている。
そして言う
「墨淵が 五族を統一する道に行ったのは、少かんが
人族の為に 自分が羽化しようとも 若木の門を開けようと
していると知って、それを阻止するためだった。
しかし、門は開けられ、少かんは命を散らしてしまった。
その時、彼の願いは全て 潰えてしまった。四族の事が
全て 軌道に乗った後は 立去るのも当然のこと。
なのに貴方たちは、彼が後継を決めなかった事に まだ
文句を言うのか」(中略)
折顔「貴方はあの時、少かんが若木の門を開けられる
事を知っていた。かつ そのせいで少かんが羽化する
事も。そしてそうなれば 墨淵が全てを捨てて
失踪するだろうという事も。 そして、そうなったら
神族はまた結束を失って 天地が大いに乱れる事も。
だからあの時、神族の戦いが断然有利な時期に
隠居した・・・
しかし、仮に 貴方が 直ぐにでも 長老たちの
意見を聞いて九重天に戻って 頂点に君臨したら
全ては上手く収まるのに・・・何故 貴方は・・・」
東華は碁を打ちながら言う。
「墨淵は 外敵に対しては決して手を抜かなかった。
しかし、内政に緩みができたのは 避けようもない。
いずれ 問題は表面化する。長年の間に 神族の心に
鬼の域ができ、ハエやゴキブリ、ネズミの類が
住みついていた。私がいたなら、彼らはどうして
姿を現す事ができよう?」
ようやく折顔は 東華の思惑を理解する。
これ以上 長居する事もないと 退出しようと
した時・・・ 思いがけない事件が起きた・・・