近所に大きなカラオケ専門のお店がある。
ゆったりしたボックスシートが約30席、中央にステージがありそこでカラオケを伴奏に歌う。
少し大きな声で無駄話をしていると、ママさんが注意しに来る。ちょっとしたディナーショーで歌っている気分がよくて、歌の好きな面々が練習の成果を発表しに来る店だ。たまに名の知れないプロの沿線歌手が混じっていたりする。
ある日、入り口に近いボックスが予約席になっていた。
暫くして、そこに座ったのは50代の女性、相方はなかなか来ない。それからなお暫くして50代と思われる男性が現れたが、何だか呼び出されて仕様がなしに来たような感じで女性のそばに座った。女性は何事かを一生懸命の笑顔で話しかけているが、男性はむっつりと座っている。
女性は明るい感じの情熱的な顔立ちで、すこし豊満なまだまだ行ける感じのの塾女と言えばいいのか、放っておけない感じのいい女だ。男はまたスラリとしたロマンスグレイと言ったところか。
が、何かしらギスギスした2人である。
勿論夫婦ではない。
実は、2人はカラオケの先生と生徒の関係だそうだ。男が先生。2人は仲良くあちこちによく出没していたそうである。
門倉有希の「グッバイ」を男が歌った。当時発売されて間もない歌だったが、流石に先生なかなか上手にこなしている。彼女は熱い目で先生を見つめている。歌は別れの悲しさを歌ったものだ。
先生の方は彼女と目線を合わしたくない様子が分かる。
2人の破局は傍目にははっきりしているのに、彼女はなりふり構わずと言った感じで先生を見つめ続ける。
彼が歌い終わって席に戻っても言葉は交わさない。
何曲か後に彼女も同じ歌を歌った。先生を見つめながら歌っていたが、彼はうつむいたまま彼女のほうは見ない。
皆が見ない振りをしつつもチラチラと2人の方を見る。
暫くして彼はフイと1人で帰ってしまった。
彼女はその後も笑みを浮かべて1人残っていたが、傷心の痛々しさは隠しようが無い。
あぁ、人生の悲しい一幕を見た気がした。
男はあまり付き纏われると負担になる。不倫なんて性衝動の一時的なものと理解すべきで、家庭とか現在の夫婦関係とか、すべて捨てる覚悟も必要である。それほどの異性はなかなかいない。であれば一時の火遊びと割り切るべきだ。
だが女は強い。彼女はいい女だからまた新しい恋を見つけるだろう。女は灰になるまでとか言う。
そんな女を捜している男はいくらでもいるから。
男と女、惹かれ合う出会いは尽きない。
それにしても彼女の亭主の顔を見てみたいもんだ。
ゆったりしたボックスシートが約30席、中央にステージがありそこでカラオケを伴奏に歌う。
少し大きな声で無駄話をしていると、ママさんが注意しに来る。ちょっとしたディナーショーで歌っている気分がよくて、歌の好きな面々が練習の成果を発表しに来る店だ。たまに名の知れないプロの沿線歌手が混じっていたりする。
ある日、入り口に近いボックスが予約席になっていた。
暫くして、そこに座ったのは50代の女性、相方はなかなか来ない。それからなお暫くして50代と思われる男性が現れたが、何だか呼び出されて仕様がなしに来たような感じで女性のそばに座った。女性は何事かを一生懸命の笑顔で話しかけているが、男性はむっつりと座っている。
女性は明るい感じの情熱的な顔立ちで、すこし豊満なまだまだ行ける感じのの塾女と言えばいいのか、放っておけない感じのいい女だ。男はまたスラリとしたロマンスグレイと言ったところか。
が、何かしらギスギスした2人である。
勿論夫婦ではない。
実は、2人はカラオケの先生と生徒の関係だそうだ。男が先生。2人は仲良くあちこちによく出没していたそうである。
門倉有希の「グッバイ」を男が歌った。当時発売されて間もない歌だったが、流石に先生なかなか上手にこなしている。彼女は熱い目で先生を見つめている。歌は別れの悲しさを歌ったものだ。
先生の方は彼女と目線を合わしたくない様子が分かる。
2人の破局は傍目にははっきりしているのに、彼女はなりふり構わずと言った感じで先生を見つめ続ける。
彼が歌い終わって席に戻っても言葉は交わさない。
何曲か後に彼女も同じ歌を歌った。先生を見つめながら歌っていたが、彼はうつむいたまま彼女のほうは見ない。
皆が見ない振りをしつつもチラチラと2人の方を見る。
暫くして彼はフイと1人で帰ってしまった。
彼女はその後も笑みを浮かべて1人残っていたが、傷心の痛々しさは隠しようが無い。
あぁ、人生の悲しい一幕を見た気がした。
男はあまり付き纏われると負担になる。不倫なんて性衝動の一時的なものと理解すべきで、家庭とか現在の夫婦関係とか、すべて捨てる覚悟も必要である。それほどの異性はなかなかいない。であれば一時の火遊びと割り切るべきだ。
だが女は強い。彼女はいい女だからまた新しい恋を見つけるだろう。女は灰になるまでとか言う。
そんな女を捜している男はいくらでもいるから。
男と女、惹かれ合う出会いは尽きない。
それにしても彼女の亭主の顔を見てみたいもんだ。