宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

岩手県の説明会(1)

2014年12月02日 | 鍬ヶ崎の防潮堤を考える会

鍬ヶ崎の防潮堤で岩手県が説明会  11/4

岩手県はアリバイの説明会をやめ
  包括的説明プログラムこそ示すべきである。



 
岩手県・宮古土木センターは当「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」主催の第3回勉強会(11/9)に先立つ11月4日(火)宮古市役所において単独の説明会を開いたが、下の新聞記事の通りで、要するに、勉強会の時の説明と同様に、建設会社や部材メーカーの立場での説明にほとんどの時間を費やしたのであった。アリバイ的間に合わせ的ものであった


 

(毎日新聞 2014.11.6) 

 

新聞に「住民に溝」の見出し


この日の「説明会」で特徴的だった事は、説明の内容よりも、新聞見出しにある「住民にみぞ」の文言にあるように、賛成・反対を明確に表明するような現実があった事である。会場では「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」から出席者に会の考えを書いた文書が手渡された。また、防潮堤の早期完成を要望している「鍬ヶ崎地区復興会議」からも文書が配布され、それぞれの意見も会場で述べられたのである。異なる意見が述べられる事が即「みぞ」であるかどうかはともかく、このような意見の対立は避けられない事であるかのような説明会になった。「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」は基本的に鍬ヶ崎の防潮堤には大きな疑問をもっているが、主眼はこの問題を地元でよく話し合いよく考える事だという事である。だれでも自由にふるさとの津波防災を考え、あるべき鍬ヶ崎についての意見を言う事が賛成・反対より大事な事だ、と。しかし単純に反対派と目される事はある意味で仕方がない事で、それは「地区復興会議」の方にも言える事であろう。両方の配布文書を慎重に比較検討して無用な誤解を避ける一助にしたい。


 

「鍬ヶ崎地区復興会議」の配布文書

A4、2枚綴じ、8項目にわたって書かれている。
文書請求📞(宮古0193)62−0465 「復興会議」



鍬ヶ崎にとっては史上初の大規模建造物なのに岩手県は<粗雑な>説明だけである


そもそも鍬ヶ崎には3.11時点には防潮堤は無かった。今も無い。3.11東日本大震災の前にその計画は確かに存在していたが結論が出る前に大津波によって立ち消えになっている。それは震災の一般的な検証の問題でもあるのだが、岩手県は鍬ヶ崎のこの幻の計画をイージーに現在につなげるような言動を多くしている。

大地震があり地盤沈下があった以前の地盤調査結果をイージーにそのまま使おうとしている事などである。調査の目的も違い調査自体が行われていなかったという証言もあるというのに…。また直立式の土台になる鋼管杭の太さについては硬い地盤に合わせてそれぞれ対応して変化すると言っていながらその5日後の勉強会では「直径一律80cm」と言っていた。鋼管杭の長さが「一律」になる予感を市民は払拭できないでいる。…

本題に戻ると、計画されている鍬ヶ崎の防潮堤は鍬ヶ崎にとっては経験もなく、想像もできない初体験である。なおかつ直立式工法そのものもほとんど先例のない実験的なものであるのに、説明が、メーカー頼り、建設会社頼みでは地元住民が納得できようはずがないではないか。その杜撰さは後日勉強会で議論された通りである。6月の第1回勉強会では、タルキとベニヤ板でいいから原寸のものを宮古港に張りめぐらしてもらわないと、という意見もあったくらいである。


[関連記事] 「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」第3回勉強会(1)(2)(3)



説明会はもともと「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の陳情によって開催されたのに…


当日の説明会の設定には大きな疑問がある。この説明会はもともと「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の宮古市議会への陳情が採択され、それが岩手県議会で議題にされて、回り回って県・宮古土木センターが急遽開催したものである。この経路についてはともかく、もともとの当会陳情の趣旨からは大きく逸脱して設定されているのではないかの疑問である。つまり、岩手県はアリバイ的に、説明会の設定をしたのではないか?という疑いである。

もともとの「岩手県と宮古市に…十分な説明を求める決議」陳情は、その後の岩手県議会への直接陳情も含めて、一貫して、海からの恵み、景観、地場産業、避難、検証、ハード面の説明、と、多岐にわたり全体的に住民への説明を求めるものであった。それがどこかで「住民の不安を取り除くため」「防潮堤の構造や強度など」(岩手県八重樫弘明河川課総括課長)のハードの面の説明にいびつに限定されたのではなかったか? 「不安を取り除くため」というのが「(子供を)だましだまし…」のように曲がって理解される有様である。まさにそのようなひとりよがりの説明会であったから… ピンと来るものが無く参加住民はみな失望していた…

注 意)その5日後の当「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の第3回勉強会は逆にハード面に絞ったテーマで2ヶ月も前から準備されていたもので、同じハード面であっても事情が異なる事は分かってもらえると思う。


[関連記事] 「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」第3回勉強会(1)(2)(3)



アリバイ(言い訳)をいくら重ねても説明にはならない。もともとの陳情の趣旨は、まさに次の通りであったのである。「説明」とは軽いものではない。住民はそれにすがるしかないものだ…

「岩手県は鍬ヶ崎地区住民への包括的説明プログラムを早急に提示するべきである」。岩手県は断片的、後追い的、アリバイ的説明会から脱却して、鍬ヶ崎地区住民の生活、産業など民政の立場にたった全体の計画プログラムとその説明スケジュールプログラムを早急に策定し、ハード設計計画とともに開示するべきである。(当日配布の鍬ヶ崎の防潮堤を考える会「説明会への質問」(次頁)の文書より)

 


説明会(2)につづく





 

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