その男は暑がりである。風呂上り、汗がなかなか引かない。ふだんは、扇風機で涼をとるのだが、ガスストーブを早くも入れた関係で、奥さんがその扇風機を納屋にしまいこんでしまった。
仕事のトラブルで機嫌が悪かったという、その男は、なかなか汗が引かないことに腹を立て、納屋から扇風機を引っ張り出してきた。
奥さんが「いまどきもう扇風機なんか使ってる人いないよ」といわれて意固地になったこの男、汗が引いた後も、扇風機で風を浴びながら、浦和レッズの試合をしばらくみ続けた。
気がついたときには、風邪を引いていたらしい。実話である。