父親が死んでから、いろいろ実家に電話する。相続の話とか、片づけモノの話、家の修繕の話。母親も一人暮らしになるから、ワシが電話すると気が紛れていいみたい。
母親と話していると、いつのまにか親子の会話の関係が入れ替わっていることに気がついた。当然子供のときは、ワシが子供で、母親は母親でほめられたり、怒られたりしていたのに。
今は何だか逆なのである。「うん、わかった」とか。「ごめん、ごめん」とか。全部母親の発言なのだ。還暦を過ぎると、またゼロスタートしたみたい。母親が、中1の娘と同じくらいの感じ。
たぶん、独り暮らしになって心細いのだろう。そういえば、寡婦になってからの生活というのは、けっこう長いのが普通だ。親戚でも寡婦になったおばちゃんが数人いる。とりあえず、うちの母親にはつらい思いをさせないよう、来年はときどき和歌山に帰るつもり。