他人を支配しようとすると疲れる。他人を支配するといえば大げさだが、自分の意見を通そうとすることは他人を支配することと同じである。そういう立場であれば、たとえば、経営者であったり、公の権力者であったりすればよいが、そうでなく、ただ自分の意見に合わない人間を排除しようとすると日々疲れてしかたがないはずである。絶対勝てない相手と戦うのと同じだからだ。
疲れるだけならばよいが、いらいらしてしかたがなくなる。メンタルでいつかやられてしまう。馬鹿馬鹿しいと思うだろうが、これでやられている人はいくらでもいる。自分の立場や主義を主張するのも大事だが、やりすぎると大変なことになってしまう。電車の中で喧嘩をする輩にはこの手の人が多い。ストレスが溜まりにたまって赤の他人に暴発したりする。
基本、相手に合わせることである。相手がわが子であってもそう。たまに徹底的にわが子を自分に従わせようとする親がいるが、いつか将来恨まれることになる。また、恨まれるだけで、感謝されることもない。教育でも、職場の人間関係でもすべて同じである。自分の主義主張ばかりすると、たとえ正論であっても、人がついてこなくなる。
このようなことは、実は坂本龍馬も書き残している。あれだけの大事をやってのけた人物でさえ、そうなのである。自分を貫き通すことと、なにか大きな仕事を成し遂げることは実は真逆にある。なぜなら、ひとに見放されてだれもついてこなくなれば、単独では何もできないからである。ひとに合わせれば、人の意見がよく見えるし、人もついてくる。円満でなければ出世もできない。