最近テレビでよく見かける”CLUB KEIBA”というキャッチコピーが新鮮な今年2008年のJRAのテレビCM。
「競馬っておもしろいですか?」
マドンナ役、蒼井優のセリフが印象的です。
時代は変わった・・・、いや少しずつ変わっているというのが本当のところでしょうか?
競馬とは、元来一人で遊ぶもの。
一攫千金を目指して頭を捻るもの。
・・・・・であったはずです。
その昔、ギャンブルというのは、お金に目が眩んだ強欲なならず者達のある意味真剣勝負の場であり、そこには怒号すら飛び交うような殺伐としたイメージで語られたのはいつの日だったでしょうか?
それがいまや、”CLUB KEIBA”ですよ。(笑)
いまやJRAのマーケティングのターゲットは、完全に若い世代。
楽しい、明るい、だけでなく、さらにオシャレにスマートに。。。を強くイメージしているように思われます。
さらに、このCMを見ていて興味深いことは、ここ最近のJRAのイメージ戦略の流れ・・・「みんなで楽しく競馬をしよう!」から、さらに一段進んでいるということです。
このコマーシャルシリーズでJRAが世間にアピールしたいことは、よくよく考えてみると「さあ、みんなで競馬をしよう!」ではなく、「さあ、みんな、競馬でつながろう!」ということだという点です。
全くの見識のない仕事場の上司や世代の違う者同士が、”競馬によって新しくつながろう”、という考え方。
これは今の時代に、当たり前のようで、そうではありません。
大企業、隣の部署の人間ですら面識のない人々の集合体、全くの分業制で機械的に仕事をこなしていくだけで競争している都会で生きる現代人。(もちろんそうでない方もいまだ大勢いるでしょうが・・・)
そんな都会のビジネスマン、サラリーマンの心のスキマに、アジャストして入り込んでくる強烈なインパクトがある時代にマッチしたCMのように思います。
また、そうでない人々(たぶんその方が多い?)にとっても、最先端への憧れやオシャレ感、遊び心をくすぐるようなデキの良さを感じます。
「競馬を好きな人が寄り集まる」のではなく、「全くありえないような階層、世代の人が競馬によって新しくネットワーキングする」という感覚がいかにも斬新。
私の会社でも、早くも「みんなで競馬へ行ってみよう」というムードが若い女の子を中心にチラホラ。。。
これまで一度も連れ添って遊んだこともなく、はたまた競馬場になど全く訪れたことがないという面々がですよ。
もちろん、名古屋競馬ではなく、中央競馬へ、ですが・・・。(笑)
思えば一昔前、幼い少女が「サラブレット、私の友達・・・」というキャッチコピーをJRAのコマーシャルで初めて聞いた時に、少なからずカルチャーショックを受けた記憶がなつかしいですね。(笑)
それまで明るい競馬を目指して、JRAが全くのバクチ的な競馬から「競馬はロマン」へのイメージチェンジを謀っていたことはありましたが、この「サラブレットは友達」というキャッチコピーは、その時代、それとは比べ物にならないくらい私の中では強烈なインパクトがありました。
少女=競馬=サラブレット=友達が、どう考えても頭の中で繋がらなかった時代でしたから。
もちろんその頃まだ私は、実際に競馬など見るだけでやったことなどはありませんでしたが、少年の心にそれまでの競馬に対する”ギャンブル”という暗いイメージが少しずつ変わってきたような気がします。
やがて「一人一人の競馬があります・・・」、という時代もありましたか。
それは、”競馬は、あなたなりにあなたの好きなように自由に感じて楽しんで遊んでいいんだよ”という許容範囲の広さをJRAは示そうとしたのかも知れません。
世紀末も近づいてくる頃にはメディアも発達し、さまざまな視点からさまざまな競馬が語られるようになると、当然のようにその楽しみ方も多様化してきました。
ある方面ではいまだ競馬本来のギャンブル性を強調したメディアは残ってはいるものの、少しずつメディアは競馬をギャンブルだけのものからレジャー色の強いものへ変化をさせてきたのです。
そんな「一人一人の競馬」があって、その後の「みんなで競馬を楽しもう!」というJRAの戦略は、考えてみれば当然の流れ。
時代が先だったのか、JRAが先だったのかは定かではありませんが。
そして今年。。。
この”CLUB KEIBA”のCMは、私個人の感想としては久しぶりのJRAのヒット作であるという感じですね。
「さあ、みんな、競馬でつながろう!」
その大義名分は優れていても、なかなかそれを実際に画面の中で表現できるかというとなかなか難しいものがあるでしょうが、このCMは、キャスティングから演出まで、ものの見事にそのコンセプトの微妙な感覚をうまく醸し出しています。
(別に私は蒼井優のファンでも佐藤浩市のファンでもありませんよ。念のため。(笑))
それにしても現代人の心理を先読みしたイメージ戦略は巧いですね、JRAは。。。
誰が演出しているのかはわかりませんが。
「ホントは淋しいだけかも?」
何気ないような、あのセリフ。。。
現代人は皆、心に抱えているんでしょうかね。
まあ、とはいえ私自身実際のところは、イメージが現実と少々かけ離れていた面があって違和感があるというのも事実ではありますが・・・。
やはり元来競馬はギャンブルであり、一攫千金を目指すものであり、「みんなで楽しむにはどうもなぁ~・・・」という部分は、私にとっては否定できませんしね。
実際、競馬場に誰かと出かけて、良い思いをしてお互い皆ニコニコ・・・なんてことは私の経験上ありえませんから!?(笑)
必ずといっていいほど、誰かは負けます!?
すると・・・・・やっぱり気を使う、負けたら言い訳をしちゃう、何かを批判したくなる、勝った理由、負けた理由をよくわからない理論で解析したくなる。。。
それはそれで楽しいのですが、何かスッキリしないでしょ?、やっぱり。(笑)
だから私は、誰かと競馬へ行く日は、勝とうとせず”楽しむ”ことにしています。
たぶん私は、誰かとつながりたいとか、楽しく休日を過ごしたいとかではなく、単なるギャンブル好き?ということなのでしょうね。(汗)
少なくとも、名古屋競馬では。
でも、競馬の本道でしょ?これ。。。(笑)
それよりも何よりも、悲しいかな名古屋競馬へ行こうという声が、私の会社からはまず聞こえてきませんがね。。。(´~`);
でも、もしも”CLUB KEIBA 名古屋競馬編”なんて作ったら・・・?
たぶん、敬老会の遠足みたいな感じになっちゃうだろうなぁ~(笑)。
CMのキャスティングは・・・・・?
・・・・・ちょっと怖い想像をしてみました。。。 (^_^)ゞ
それでは、また。