故畠山義郎さんの生誕100年展が、あきた文学資料館で開催されている。
開催期間は12月26日(木)まで。入場無料。10時~16時まで。
また、「畠山義郎の詩的生涯」と題し、佐々木久春氏の講演が11月10日(日)同館で13時30から行われる。無料。
但し、電話か窓口で事前予約が必要。定員30名と少ないのでお早めに。☎018-884-7760
故畠山義郎さんの生誕100年展が、あきた文学資料館で開催されている。
開催期間は12月26日(木)まで。入場無料。10時~16時まで。
また、「畠山義郎の詩的生涯」と題し、佐々木久春氏の講演が11月10日(日)同館で13時30から行われる。無料。
但し、電話か窓口で事前予約が必要。定員30名と少ないのでお早めに。☎018-884-7760
秋田県現代詩人協会主催による「秋田の詩祭2024」が
今月27日(日)13時から、秋田市内の協働大町ビルで開催されます。
今年は佐々木久春氏による「現代詩への旅 ー秋田の場合ー」と題する講演のほか、
参加者による詩の朗読を予定しております。
入場無料、申込不要。どうぞお気軽にご参加ください。
元秋田県現代詩人協会会長の石川悟朗さんが第4詩集『遠望』を刊行された。
所属詩誌「密造者」に発表した27編を収めている。
どれも「密造者」で目にした作品なのだが、時間を超えて一つになって溢れ出て来た、
そんな気がする作品群だ。それは懐かしいような、読み手もどこかで
一緒に体験したような詩世界で、そこに立ち合っている感覚さえする。
石川さんの詩世界は、個人誌「のんびりや」を発行するようになってから
ますますその世界観が顕在化したようにも思えてくる。
言葉の持つ優しさがあって、だからこそ作品の中に出て来る人物も動物も自然も妖精も
夢も現実も、みんな和みのある”存在”となっている。石川さんの中に生息している分身たち。
何個かのキーワードを勝手にあてはめるとすれば、大きな存在は”生まれ故郷”、ふるさとだろうか。
多感で夢見る少年の世界の、絡まってしまったかもしれない糸玉を大切に大切に、
根気よくほぐしているようにも思える。
「ふるさとくん」
どういうわけかぼくのうしろを
あるいてくる
ふるさとくんというひと
あなたはなにものですか
ふりむくとすっといなくなるのです
ふるさとくんはにおいます
おともします
おじいさんやおばあさんのごほんごほんというせき
うしやうまのにおい
こわいせんせいがムチでこくばんをたたくおと
おいかけます
するりとにげてしまいます
ぼくのまえをあるいていることもあります
ふるさとくん
あなたがかついでいるおおきなふくろから
ぴゅうとでてくるフィルム
むらのおとなたちがあせをながして
きをきりたおしすみやきをしている
ふんどしいっかんであかあかともえている
ぼくはいたずらがすきだったから
みずてっぽうでうってやった
こっぴどくしかられている
ふるさとくん
あなたはおどっているのですか
チラチラあなたのまわりからこぼれおちてくる
きぼうというあさひのようなかがやき
きらきらまう
ちぎれぐもはむらさき
あたまのうえにおちてくる
ふるさとくん
にがいあじもにじんでみえます
みんな
ポケットにいれてゆくのです
せつなくおもくおしよせてくるのです
ふるさとくん きえないでいてください
したしみがわいてくるのです
著 者 石川悟朗(いしかわ・ごろう)
発行日 2024年9月9日
出 版 書肆えん(秋田市新屋松美町5-6)
詩誌「密造者」同人、日本現代詩人会会員、秋田県現代詩人協会会員(名誉会員)
パソコンのデータを整理していたら、昔、運営していたホームページのデータと
アドレスがあった。
もうずいぶん前になったが、プロバイダーが有料版無料版を問わず、個人のホー
ムページ運営のための提供をやめるというので、やむなくそれに合わせて私もホー
ムページをやめたのであった。
あまりにも懐かしくてアドレスをネットで検索してみたら、当然出てこない。
と思っていたら偶然ヒットして、なんと、旧ホームページのトップ画面が出て来た。
詩とか受贈詩誌といった画面の項目をクリックすると、これまたちゃんとリンクす
る。へぇ~。どういう仕組みなのかは知らないが、思わず自分の昔のホームページ
をネットサーフィンしてしまった・・・。
(アクセスできない箇所もあったが、それは致し方なし)
下のアドレスをクリックすると旧ホームページを見る事が出来ます。いつまでア
クセス可能なのかは分かりませんが、下記アドレスをクリックし、トップ画面の各
項目からどうぞご覧ください(笑)。なお、画面の下側にあるメールのアイコンをク
リックするとメール様式が出てきますが、そのアドレスは今ありませんので送信し
ないでください。
(旧ホームページのタイトルは「窓枠大の空」)
https://geocitiesjp.com/testdir/Bookend-Akiko/8638/index.html
朗読グループ「KOEの会」による「詩と音楽を楽しむ ~夏~」が
8月18日(日)13:30から秋田駅前のフォンテAKITA6階「ふれあーるAKITA」で開催されます。
特別出演にオカリナ奏者の「オカリナ魔女ichiko」さん。
入場無料。お問い合わせは「あきた文化交流発信センター」018-884-7341まで。
なお、同センターでは、下記事項に協力と理解を呼び掛けています。
①感染拡大を防ぐため、検温・手の消毒・マスクの着用
②席数に限りがあること
③許可なく写真撮影・録画・録音することは禁止
秋田県現代詩人協会会員、矢代レイさんの詩展が、7月1日から秋田市山王の「秋田銀行本店」ロビーで開催されている。
『ピッタインダウン』(起き上りこぼしの意)という個人誌の発行人でもある矢代さんは、この詩展や勉強会開催など精力的な活動
をしている。かつて、ある事故に遭いながらも、その理不尽さや精神的な苦悶を乗り越えることが出来たのは「詩」であり、詩を書く
ことで「生かされた」、と熱っぽく語っていたことがある。それらが第4詩集『濁黒(KURO)』(2019年書肆えん)に表出されたの
は象徴的でもある。
詩展は前回の展示会以降の作品を展示している。副題は「しなやかな言葉」(上掲の画像、参照)。『ピッタインダウン』の既刊号
を遡って見てみると、第2回目から副題がつけれるようになり、「詩とわたし」「詩を楽しむ」「詩と生きる」「詩に導かれて」とあっ
た。それぞれその回の詩に対する思いを表わしていると思われる。
詩作品や、画像と詩を組み合わせたパネルの展示は、詩とは縁遠い?と思っている人でも接しやすいのではないかと感じた。また、
不特定多数の人が出入りする銀行が会場というのは大きなメリット。
会場を訪れた時は、市民の方が作品を読んだり詩集を手に取ったりしていた。
会期は7月31日(水)まで。時間は9時から15時。なお、土日祭日は休み。無料。
「針と船」
ぼくの目の前を、一本の針が布を縫い進んでいく。真っ
赤な布は大きく広がり、ひと針ひと針、赤い縫い目がどこ
までも伸びていく。ぼくは自分の見た奇跡を書き残したい
衝動に駆られる。
一隻の船が海を航行しはじめる。海は残照に真っ赤に染
められ、船の後には赤い航跡が残されて行く。ぼくが安堵
していると、一本の針が真っ赤な海を進んで、赤い航跡が
縫い込まれていく。
ぼくは不安に襲われる。そして、さっきまで見ていたも
のが、針だったのか船だったのか、わからなくなってしま
う。
上記は、去る5月25日に刊行された依田義丸さんの第二詩集『連禱』(れんとう)
に収録されている作品。なんと繊細な世界だろうか。美しい。「真っ赤」「赤い」と
いう語彙の”連打”。これほどまでに重ねて使っていることの意味合いは相当深いに違
いない。
「平面の記憶」
あのときのことをよく思い出すんだ。唐突に君が、あな
たって、紙のような人だわって言ったんだ。不意を突かれ
て、ぼくはぞくっとして、背中にくちゃくちゃの皺が寄る
気配がして、頭の上では刃物が鋭く裂くように走って、つ
づいて遠くから高い悲鳴が聞こえてきた。ぼくは急に、極
悪の罪を犯して自分をめちゃくちゃに汚したくなったんだ。
すると、君は笑いながら、いいえ、やっぱりあなたは紙の
ような人なんかじゃないわ、そう言い直した。その声を、
平面になっていく耳にかすかに聞きながら、ぼくはぼくに
書き込まれていたものがひとつ残らず消えていくのを感じ
ていた。そうしてついに、ぼくは真っ白な一枚の紙になっ
てしまって、そこからすべてが始まったんだ。
当詩集を読みながら思ったのは、依田さんの詩世界は、後述するあとがきにもあるが、
現実と非現実を表出する姿勢なのか。あとがきから読みはじめることが多い私だが、こ
のたびは無意識に目次から読み始めた。途中あたりから<現実と非現実が混ざり合って、
最後は少々奇抜な展開で終わる作品が多いな>と感じていた。
実に興味深い詩人だ。
届いた詩集に、贈呈票と発行元からの付票が挟めれていた。贈呈票は奥様・依田真奈
美氏の名が。そして発行元「思潮社」名の付票には次が記されていた。
「(略)依田義丸氏は先年来の闘病中に本書を纏め、校正刷の確認を終えてご献本の
指示までも済ませながら、出来上がりをみることなく、三月十四日に逝去されました。
ご遺志にそってご献本をお送りいたします次第です」
あとがき より抜粋
「詩という形式はそれ自体の内に一つの表現上の矛盾を元来孕んでいます。それは共通
の表現性をもつ言語を用いながらも、他方ではそれから逸脱する独創的な表現を目指し
ているというものです。そしてこの逸脱性を支えているのは、詩人自身のもつオリジナ
ルな感性や視点であることは言うまでもありません。(略)現実の否応なしの拘束のも
とで非現実と言う表現を創り出すことに魅了されながら、それを可能にする言葉表現を
紡ぎ出そうとして祈るように辿った遍歴の道のりが自分自身の詩作だったと今感じてい
ます。第二詩集『連禱』を妻真奈美に捧げます。」
ご冥福をお祈りいたします。
著 者 依田義丸(よだ・よしまる)
発行所 思潮社
発行日 2024年5月25日
定 価 2,200円(本体2,200円+税)
略 歴 1948年京都生まれ
1991年第一詩集『けいおす』(思潮社)刊行
日本現代詩人会会員
2024年3月14日逝去
「一生」
ラストシーンのないお芝居は
いつまでも続くのでしょうか
無意味に叫んだり 喚(わめ)きちらしたり
なにしろ幕が下りないのですから
それはそれはつらいことだと思います
いつかは消えていく
いつかは忘れ去られる
ほんの一欠片(ひとかけら)の思い出が
誰かの心に残れば
それはそれで満足です
近頃 こんな事を考えるのも
それなりに充分生きて来たからかも
知れません
感謝の気持ちだけが丸い渦になって
心の中程で回っています
東京都小平市住の詩人、市野みちさんから第6詩集となる『風は笑って』をご恵投いただいた。
紹介した「一生」は当詩集の帯文にも使われている作品。
自身の生き方を振り返りながら、誰かに語りかけるように、そして自身に語り聞かせるように、
平易な言葉で奥の深さを表現している。
<それなりに充分生きて来たからかも/知れません>と表出しつつ、収録作品「教えて」では、
<どうにもしっくりしない人生です(以下略)/人はこの世に生まれ落ちた時から/心の片すみ
に/違和感を覚えつつ/年齢を重ねているのかも知れません>と吐露する揺れに共感した。
市野さんの生き方がみえてくる詩句を、一部拾ってみた。
・<感謝の気持ちだけが丸い渦になって/心の中程で回っています>(「一生」)
・<春に椿の花が咲く/あたり前が嬉しい/いつも通りがいとおしい>(「椿」)
・<太陽は/沈む寸前でも/こんなにまぶしく輝いている>(「夕日」)
・<横切る風の/さわやかな笑い声が聞こえた/ほらね!>(「風」)
・<何のために/今まで汲汲と生きてきたのだろう/周りの人達に合わせて/
ただ回っていただけ>(「春の日に」)
・<私は/これからも地べたを這いつくばって/生きて行くよ/
探し物をしながら>(「これからも」)
著 者 市野みち(いちの みち)
発行日 2024年5月5日
発行所 土曜美術社出版販売
定 価 2,200円(本体2,000円+税)
著者略歴 1944年1月生まれ
「マロニエ」同人
日本現代詩人会、日本詩人クラブ 各会員
一般社団法人『日本詩人クラブ』の第34回新人賞が去る2月25日に決定した。(同会会報掲載3月31日発行第106号)
今回の新人賞は、井嶋りゅうさん。(詩集『影』。同詩集は『日本現代詩人会』第74回H 氏賞の最終候補にも選考された)。
秋田県現代詩人協会会員でもある見上 司(みかみ・つかさ)さんの詩集『虹のような日』は、最終候補詩集10作に
選考され、更に最後の2作までに残ったが、惜しくも次点となった。
とはいえ、見上さんの詩の世界観が読者や選考委員の感性に鋭く入り込んだということが証明されたわけでもあり、残念
でありながらも・・・最後の2冊に残ったことが嬉しい。うれしい。ウレシイ。
惜しかった!!
当ブログで先に紹介しているが、あらためて表紙画像を再掲。
詩集賞・駒木田鶴子、作品賞・木村哲夫、奨励賞・小松春美の各氏 講評を行う嶋﨑治子選考委員
4月21日、秋田県現代詩人協会の2024年度総会と詩人賞表彰式が秋田市内で行われた。
総会では全審議事項が承認され、新年度活動へ向けてスタートした。
続いて行われた第25回秋田県現代詩人賞の表彰式では、受賞者のスピーチと受賞作の朗読が行われたほか、
選考委員を代表して嶋﨑治子さんが講評を行った。
コロナ対応が緩和されたこともあり、懇親会は話が弾む参加者の笑顔が”満開”であった。
(画像提供 横山 仁 氏)