陽だまりの中のなか

前田勉・秋田や詩のことなど思いつくまま、感じたまま・・・。

詩誌『密造者』第100集刊行記念会

2017-11-28 | 詩関係・その他

      

 秋田県北秋田市を発行所とする詩誌「密造者」が第100集を数え、本日午後、合評会とその100集を祝う会が秋田市内で開催された。同人外からも多数参加して頂き盛会裏に終えることが出来た。同人の一人として多謝!
 100冊目の発行。52年を要した時間。これはこれで評価すべき事実ではあるに違いない、と思う。あえて言えば発行の継続が素晴らしいのではなく、個々の”情熱”が引き継がれたからだ、と言えばいいのか。
 新風の風元は俺だ!くらいに、とりあえず今晩くらいはそういうことにしておこうか?・・・。

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日本現代詩選2017

2017-11-26 | 詩関係・その他

       
日本詩人クラブによる『日本現代詩選2017』が発行された。2年に一回発行。実に400人もの詩人の作品が収録されている。秋田では佐々木久春さん、福司 満さん、故山形一至さん、前田の4名。
 読み進めるには根気が必要だ。

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大八木敦彦氏の三冊の著書と出会う

2017-11-18 | 詩関係・その他

 秋田公立美術大学の大八木敦彦教授から三冊の著書を戴いた。
 大八木教授は福島県出身の英文学者であり詩人。 
  

        

◎『病床の賢治 看護婦の語る宮澤賢治』2009年3月20日発行 舷燈社
 1928年、体調を崩し生家で自宅療養をしていた宮澤賢治を看護した看護婦のTさんにインタビューした内容を基に、その頃の賢治を論考している。インタビューしたのは2007年でTさんは92歳。賢治が37歳で没して70年以上が経つ時点で、Tさんは生前の賢治を知る最後の人であろうと著者は言う。Tさんは「何でも感謝なさる人でしたね。ちょっとのことでも、あ、どうもすみません、ありがとう、とやさしい声をおかけになりました。お母 さんがとてもやさしい方でね。宮澤さんはお母さんに似たんですよ。」(著書から引用)と語っている。
 生憎私は宮澤賢治に疎いのであれこれ言うことが出来ないが、この著書は賢治学会にとっても貴重な文献であろう。実はこの本が出た時、詩人で賢治論を著している吉田文憲さんから私へ私信が届き、大八木教授についての問い合わせがあった。残念ながらその頃は知己はなく、ホームページにあったデータを返事したのであった。今思うと、賢治研究者にとって衝撃的”文献”なのかもしれない。


      

◎『SHAKESPEARES SONNETS』2013年3月20日発行 舷燈社
 帯文に「シェイクスピアの隠されたもう一つの劇(ドラマ)空前の天才詩人が残した謎の詩集、最新訳完成!」とある。訳詩。これから味読したい。

      

◎『記憶の中の未来  キャサリン・マンスフィールドの肖像』2016年3月20日発行 舷燈社
 ニュージーランド生まれの作家。病のため短い作家生命に終わったが、人間心理の機微を描いて高く評価されている。その描写には作家本人の孤独、疾病、嫉妬が反映されているという。
 恥ずかしながら、私はこの女流作家の名を初めて知った。大八木教授は、著書の序でこの作家を知ったのは大学時代、英文学を専攻してからだという。処女作から本質を論講し、知られることの少なかった彼女の作品を紹介、論じる。
 ・・・これから読み進める予定だが、さて、彼女の小説を読まずしてこの著書を読むべきかどうか。などと言いつつ今日はここまで。

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秋田県「秋田の文芸」表彰式

2017-11-15 | 詩関係・その他

      
             詩部門入選のみなさん

 秋田県主催「あきた県民文化芸術祭2017」の『あきたの文芸』表彰式が本日午後、県庁で行われた。
 現代詩部門は応募者総数52名で、その3分の1が10から20代。今年は10代(高校生)が特に多かった。若い書き手が少ないと危惧してきたここ数年、県内高校文芸部への働きかけなど多方面でアピールしてきた多くの方の努力と、各高校文芸部の先生たちの啓蒙・ご指導が数字として現れたものとその多くに感謝。
 今年の受賞内容は、最優秀賞1名、奨励賞3名、入選5名、グリーン賞1名の計10名であった。私を含めた詩部門の選考委員は計3名。9月から始まった事前選考と選考委員会などを経て入選作が決定したのだが、選考にあたっては当然ながら作者名も年齢も性別も分からない。ただただ作品との対峙である。新鮮な気持ちで勉強させてもらった期間であった。
 小説・評論、詩、短歌、俳句、川柳、エッセイの7部門の受賞者の皆さんに祝意。そして応募された全ての皆さんに、同じく文学表現希求者としての祝意!

 ※秋田県の公式発表サイト  https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/29303

 

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秋 亜綺羅エッセイ集『言葉で世界を裏返せ!』

2017-11-08 | 詩関係・その他

       

 詩人、日本現代詩人会理事長でもある秋亜綺羅(あき あきら)氏のエッセイ集『言葉で世界を裏返せ!』が届いた。
 読んでいて、本質をつく内容にスッキリしたり、うんうん、と頷くことが多くてストレスがない。なんだろうかこの感覚は。真面目な話なのに、展開が優しいから理解しやすい。あたり前のことだが、エッセイは詩よりも著者そのものがストレートにあらわれるからだろうか。
 詩人とは妙なもので、照れながらもしっかりと自己主張をすることが今となっては定番。前時代的な私とは大きな違いだが、そんな羨ましい一面をまさに秋氏はしっかりと表出している。

 発 行:2017年10月31日
 著 者:秋 亜綺羅
   発行者:高木祐子
 発行所:土曜美術社出版販売
 

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矢代レイ・政岡悦子 「詩 絵手紙展」

2017-11-08 | 詩関係・その他

   

 秋田県現代詩人協会会員の矢代レイさんが、政岡悦子さんとのコラボ展「詩 絵手紙展」を開催中とのことなので出かけてみた。
 展示会場は秋田市御野場地区にある秋田銀行の支店内。そういえば、生け花や写真、絵画など銀行での小展覧会がよく開催されているのを思い出した。記憶するに、詩というのは初めてかな?
 4つのパネルに矢代さんの詩作品と政岡さんの絵手紙が展示されているほか、矢代さんの詩集と個人詩誌『ピッタイン・ダウン』の既刊号が置かれていた。
こういう表現もいいな。あぁ、そういえば、こうした活動を私はしたことがないな。そんな反省をしなが
ら、しばし佇んだ。
 ◎期間:11月30日(木)迄  ◎時間:9時~15時  場所:秋田市御野場 秋田銀行御野場支店内  

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菅沼美代子詩集 手

2017-11-07 | 詩関係・その他

       

 菅沼美代子さんの第5詩集『手』が届いた。菅沼さんは静岡市在住の詩人。
 日常とか物体とか、あえて言えばそうした分類で括ってしまいがちな身の周り。しかし、その根源を私たち
はどのくらい見極め、または自身の感性として受け止めているのだろうか。菅沼さんの作品を読んでいるうち
にそんなことを思った。菅沼さんの世界観が色々な事象を通して読み手の私に伝わってくる。もしかして、後
日読み返してみれば、また少し違った世界が現れるのかもしれない。静かにゆっくりとした気持で読みたい詩
集である。

   鍵
 パタンとドアを閉めれば/鍵を掛けた気になる/わたしたちの家//明けの明星に/見送られ そっと/
 先陣を切って出て行く/父はいちばんの働き者//母は窓という窓を閉め/栓という栓を捻り/鍵という
 鍵を掛けても/まだ 忘れ物がないか振り返る//カレンダーの上を/気ままに滑るように/綱渡りす
 る栗鼠のような娘は/子宮を抱えたまま合鍵を操る//鍵穴隠しをして籠もる息子は/パソコンとケータ
 イがあれば/夢と現のあわいを泳ぐように暮らしている//出て行き 戻って来る/わたしたちの家/疾
 うに さようならをした/祖父は 星になり笑って瞬き/祖母は 月になり笑って見守る//鍵は無くて
 も 音も無く/入ってきては やさしく囁き/ゆっくり肯いては 出ていく//ただいまとおかえりを繰
 り返し/自分の鍵を見つけるまで/わたしたちの家みんなの家

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古書店に並ぶ詩集 ん?

2017-11-07 | 詩関係・その他

       

市内にある某全国版古書店が大好きでよく足を向ける。
 今日は別件があって出かけたついでにその店に行っていつもの書棚の所へまっしぐら。
 と、先日来たときにはなかった見慣れた秋田県関係詩人の詩集が結構な数で並んでいた。ついこの前出版されたばかりのものもある。そして、なんと!ついに私の詩集もようやく古書店デビューしていて嬉しかった。人によっては横流しされた気分でいい気がしないという人もいるらしいが、私は大歓迎。また新しい人へ渡る”可能性”が少しはあるからだ。このまま売れず資源ごみになるかもしれないが、それはそれでもともと同じことだから気に留めない。
 並んでいる詩集からして、これは秋田の方がまとめて手放したものに違いないと感じた。それも、詩の書き手であろう。いつか私も整理しなければならないが、約200冊の詩集と詩関連図書は文学資料館への寄贈が一番いいのか・・・などと思うことがある。断られるのかも?
 今日は、秋田出身詩人の詩集と秋田県現代詩選集’91(手許にあるのだが)の2冊を求めた。

 これから蔵書を手放す人へ一言 ⇒ 中には、所有者の名前(著者が記した贈呈先の名前)が書かれた私信などが入っていたりするので、手放す前に要チェック。

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牧野孝子詩集『みずとそら』

2017-11-02 | 詩関係・その他

       

 東京練馬在住、牧野孝子さんの詩集『みずとそら』が届いた。秋田の詩誌『日本海詩人』を通じて30年前頃から存じ上げている詩人。面識はないが、その詩の世界では当時から私淑していた。何を?それは、詩句としての独立性とキリリとした在り方。つまりは、言葉の正確さとも言えようか。

  非

 そこにある 気配の遠く
 つたえてくる便りのごとき
 非の象の輪郭から
 きのう受け取った たまゆら

 歪みの血潮を泳ぐ
 一匹の死骸
 ほとばしる文脈の切り口ににじむ
 朝焼けを 日毎
 のみほす虚空の
 永遠の疑問符

 誰でもない誰かの鍵穴にのぞく
 いっときの楽園から
 ひそかに運び出され
 もっとも遠い他者であろう
 自分自身に遡るか

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