切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

ワーグナーの猛毒

2007-12-08 23:42:51 | Life’s OPERA!!
「愛の妙薬」、「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」なんていう痴話喧嘩モノ(?)のオペラを見ているうちに、ちょっと食傷気味になってしまったわたし。で、「甘いものばかりじゃなくて、塩辛いものが食べたい」なんていう心境で、思いついたのが、ワーグナーだった!そんなわけで、わたしの怒涛のワーグナー週間が幕を開けたのですが…。

わたしのところには、以前NHKで連夜放送されたという、ワーグナーの楽劇の録画ビデオが多数残っていて、これはまるまる兄貴から譲り受けたのですが、ビデオテープの耐久性って意外といいんですよね。永久保存であるかのような幻想を与えているDVD-Rも画像劣化の不安がささやかれ始めましたが、デジタルの欠点はディスクがダメになると丸々一枚ダメ、修復も難しいってところではないでしょうか?テープメディアなら最悪、部分だけ切り張りできますものね。話が脱線しましたが…。

そんなわけで、「さまよえるオランダ人」「ローエングリン」「タンホイザー」「ニュルンベルクのマイスタージンガー」と順番に見ていったのですが、確かにイタリアオペラとはまるで雰囲気が違う。

(因みに、「トリスタンとイゾルデ」は持っていなかったけど、以前近所の図書館の視聴覚コーナーで借りてみたことがあった。これが、それまで唯一の、わたしのワーグナー楽劇体験でした。)

で、極々簡単にいって、わたしが感じたワーグナーの楽劇の特徴ってこんな感じ…。

①とにかく、長い
②女性が変
③愛を語りだすと、また長い

① なかでは短い方だという理由で、「さまよえるオランダ人」から見たのですが、他はえらく長い。3時間以上なんて当たり前だし、上演に4日かかる「ニーベルングの指輪」はいうに及ばず、4時間半くらいあった「ニュルンベルグのマイスタージンガー」(これは、タイトルも長いですよね。)、そして、あとで見た「パルシファル」に至るまで、とにかく長い!新興宗教がビデオで洗脳するごとく、長時間の鑑賞を強いるというのがワーグナーの毒がまわり易い原因になっているような気がしませんか?。

② 「さまよえるオランダ人」のヒロインから「パルジファル」のクンドリー(!)にいたるまで、思い込みだけで完全にいっちゃってる女性ばっかり出てきませんか?目が据わっている感じというか?これは、ワーグナーの女性観が影響しているんでしょうね~。

③ 「トリスタン~」が典型ですが、愛を語りだすと長いんですよね。イタリアオペラももちろん愛を語りますが、イタリアオペラのような陽気さはなく、ワーグナーの語る愛はずるずるとうねるように続くんですよね。これが①の原因のような気もしますけど…。だって、「トリスタン~」は嫌いじゃないけど、ちょっと聴くなら「愛の死」だけで十分かなって気がしないですか?

というわけで、ネガティブなことを延々と語ったようですが、でも、それでも、意外と長さに退屈しないばかりか、イタリアオペラの音楽とはまったく違う、ワーグナー独特の音楽世界に圧倒されて、しばらくはワーグナー以外を聞きたくなくなるような、不思議な毒に当てられた感じがしていくるんですよね。

これって、ヘビメタ・ファンがヘビメタしか聴きたくなくなるみたいな感覚にちょっと似ているのかもしれない。

また、管弦楽集や「指輪」のハイライト盤なんかで、ワーグナーに親しんできた人(わたしもそんなひとり。)も、ぜひとも一度は長いけど楽劇を見ることを奨めます。どんな場面のための音楽なのかっていうのは、活字で知るより視覚的に知った方が、全然印象が違います。特に、「ニーベルングの指輪」に関しては!

そんなわけで、続きは「ニーベルングの指輪」の感想に続く。

PS:画像は、ドイツのリンダーホーフ城にある「ヴィーナスの洞窟」。ここは、バイエルンの国王ルードヴィッヒニ世がワーグナーの「ローエングリン」を愛するあまり作ってしまったという場所です。ただし、九月までしか見学できない。
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2 コメント

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Unknown (しんいちろう)
2007-12-10 17:22:17
おっ!「ルードヴィヒ」にもでてきた洞窟ですね。ここ行ってみたいですね。

新国立劇場で2009年から、キース・ウォーナーの「トーキョー・リング」の再演が始まります。
私はこのチクルス「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」までは見たのですが、4年目の「神々の黄昏」だけはどうしても都合がつかずに見られなかったのです。
ハッキリ言って新国はロクでもない公演も多いですが、このキース・ウォーナーのリング演出はすごかったです。あの初台のもの凄いハイテク・オペラ座の機能をフルに使った、才気あふれる「リング」でした。
準メルクルの音楽もすばらしかったし、これはお勧めです。
初演の時は4年がかりだったんですけど、今回は2年2作品づつということですので、ぜひどうぞ。(チケットは一瞬でソールド・アウトしてしまいますので、クラブ・ジ・アトレには入っておいたほうがいいと思います。余計なお世話ですけど。)
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コメントありがとうございます。  (切られお富 )
2007-12-13 22:33:45
「ヴィーナスの洞窟」のあるお城ですけど、すっごく田舎にあります。わたしは無人駅からバスに乗っていきました。

洞窟は観光ナイズされていて、ワーグナーの音楽が大音量で流れていますけど、一見の価値はあります。

それと、新国立劇場の情報、ありがとうございます。

やっぱり、オペラは生で観てみたいですからね~。
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