切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

お盆時期といえば、「頭痛肩こり樋口一葉」。

2015-08-16 23:59:59 | 芝居日記(ex.伝統芸)
毎年お盆に出てくる幽霊を狂言回しに、樋口一葉の一家を描いた、井上ひさしの芝居「頭痛肩こり樋口一葉」。先日、たまたま、樋口一葉終焉の地の石碑に通りすがってしまったもので、初演の映像を見直してしまいました。井上ひさしはもうちょっと長生きしてほしかった演劇人でしたね~ということで、簡単な感想。

以前、NHK-BSで放送していた「昭和演劇大全集」という番組は素晴らしいものでした。歌舞伎評でおなじみ演劇評論家の渡辺保さんと女優高泉淳子さんの会話の中から、芝居の時代背景が浮かび上がってくる。本にもなっているんですが、やはり映像で生のやり取りを観ると違います。80年代くらいから、高泉さんの同時代の芝居になってくると、高泉さんのテンションも違う。それに、会話の間に入る貴重な映像も見ものでした。再放送すべきプログラムですよね、NHKさん。

で、話を芝居に戻すと、明治の薄幸の女性たちを描きながら、どこか明るいところがよいんですよね。幽霊の花蛍は、その後若村真由美やピーターも演じているそうですが、新橋耐子が、昔の遊郭の雰囲気を湛えつつ、おっちょこちょいで、人懐こくて素晴らしい当たり役。年ごとに死者が増えて、花蛍の側の人数が増えていくって構成や、芝居全体に流れる歌、歌、歌。最後に一葉の妹だけ残ってしまうくだりは、切ないんだけど、でも、どこか明るい。

日本のお盆をうまく取り込んだ芝居としては白眉なんじゃないでしょうか。一度、生の舞台を観たいなあ~。

ということで、ぼちぼちこまつ座で再演してください。 以上!


樋口一葉に聞く (文春文庫)
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文藝春秋


昭和演劇大全集
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平凡社
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