切られお富!

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シェロー演出ブーレーズ指揮の「指輪」鑑賞(「ラインの黄金」の巻)

2015-10-12 23:59:59 | Life’s OPERA!!
ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」の舞台演出で、神話的な世界観を産業革命の時代風俗に読み替え、物議を醸したのがパトリス・シェロー演出、ブーレーズ指揮の舞台でした。以前、CSのクラシカジャパンで放送したものを録画したっきり、観ていなかったんで、今回観たのですが、断続的に感想を書きます。では、最初は「ラインの黄金」・・・。

今では当たり前になったオペラの現代読み替え演出ですが、わたしはどうも苦手で、よほど歌手がよくない限り観ないという感じにしてました。なので、シェロー版「指輪」もなんとなく敬遠してきたんですが、改めてみると、モダンというよりクラシックな印象です。

産業革命時期ということで、映画でいえば、『ゴッドファーザーPrt2』のくすんだ画面を連想してしまいました。また、最初のライン川のくだりが小さいダム(?)でラインの乙女が娼婦もどきだというのは、今見ると変にカッコいいですね。1950年代のハリウッド映画(たとえば『波止場』・・・)とか松竹ヌーヴェルバーグ前後の邦画のイメージというか。

そして、求愛を拒まれ、怨念に生きることになる浮浪者風のアルベリヒ!わたしはこの設定が今なお妙に現代的で、「『ニーベルングの指輪』って、セカイ系だったのか!」とすら思ってしまいました!中二病的アルベリヒ!ここだけでも、敷衍してエヴァみたいにできるなと!

あと、ヴォータンをはじめとする身勝手な神々が貴族なんだかブルジョワ階級なんだかという雰囲気ですが、わたしはガンダムのジオン・ファミリーを連想してしまった!

というわけで、『指輪』初心者でもかえってわかりやすい演出だったんだなと思いました。ちなみにわたしの「指輪」遍歴は、サヴァリッシュのNHK映像とレヴァインのメト映像を通しで観たことがあるくらい。でも、長いですからね。それに、見始めると他のことができなくなってしまう中毒性があるので、要注意でもある。カーソン・マッカラーズという作家が、プルーストの『失われた時を求めて』を読み始めたらやめられなくなり、仕事を欠勤し続けた挙句くびになったという話がありますが、ワーグナーの毒も似てますよね~。

なお、このシリーズは断続的に、忘れたころに、続きます。


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