「やっぱりヤバイことが起きているのではないか――。市場に“日本電産ショック”が走っている。モーター大手の「日本電産」は17日、緊急会見を開き、2019年3月期決算の業績予想を大幅に下方修正した。最高益予想から一転、6年ぶりの最終減益になる見通しだ。営業利益は1950億円から1450億円へ500億円ダウンする。原因は中国市場の急速な悪化だ。日本電産は、中国を含むアジアの売上高が連結全体の約半分を占めている。
4~9月期は、過去最高の純利益を更新するなど絶好調だったが、11月以降、風向きが一変したという。
市場が驚いたのは、永守重信会長(74)が発した言葉だ。
「11月、12月と、ガタンガタンと落ち込んだ」「46年間経営しているが、こんなに落ち込んだのは初めてだ」「尋常ではない変化が起きた」「この変化を甘く見てはいけない。いまからもっと悪くなったら、リーマン・ショックに近いことになっていく」
永守会長は、わずか4人で立ち上げた小さな会社を世界ナンバーワンのモーターメーカーに育て上げたカリスマ経営者だ。買収した50社以上の企業を、ほぼ1年以内に黒字化させるなど、目利きとしても知られている。そのカリスマ経営者が「この変化を甘く見てはいけない」「リーマン・ショックに近いことになっていく」と警告を発したことで衝撃が走っているのだ。
やはり、中国経済に異変が起きているのか。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「永守会長は“炭鉱のカナリア”の可能性があります。いち早く異変を察知し、警告を発したと考えた方がいいかも知れない。不気味なのは、11月、12月と中国の貿易統計が一気に悪化していることです。11月は輸出も輸入も伸びが急落し、12月はマイナスとなった。中国経済に異変が起きていることは確かでしょう。輸入が落ち込むということは、国内需要が落ち込んでいるのだと思う。モノを買わなくなっている。自動車の販売台数も、28年ぶりにマイナスとなっています」
中国政府は、今年、昨年よりも景気が減速することを認めている。リーマン・ショック級の経済危機が再来するのか」。
中国の国内需要が落ちていることは確か。