言わなければならない事は言わないと前には進まない

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<連合の罪>  労働者を裏切りった~・

2012-03-07 20:44:14 | 言いたいことは何だ

  「ジャーナリスト同盟」通信




   本澤二郎の「日本の風景」(1004)
 
 <労働貴族の死>

 昨夕、40代のジャーナリストの取材を受けた。最近、東京の1等地の高級マンション自宅で孤独死した、連合のW元会長について聞かれた。彼には現役を退いたというのに秘書が付いていた。世に言う典型的な労働貴族といっていい。労働者の味方と見せかけて、その実、豊富な資金と票で政界の奥深く入り込み、国民からは決して誉められない活躍をしていた、と周囲から見られていとようだ。



<連合の罪>
 小泉―竹中ラインによる労働者の勤務条件改悪にも連合は、事実上加担した。その結果、世の中にはいつでも首を切られる派遣社員がゴマンといる。首切りをして存続している企業ばかりの日本だ。しかし、そのお陰で労働貴族は、比例して贅沢三昧の生活を補償されているらしい。
 腐臭が漂う労働貴族なのである。従って、この手合いを評価したい材料が筆者の手元に無い。それでも「話を聞きたい」と押しかけてきた理由は、以前筆者が「連合の罪と罰」(データハウス)を執筆したからだ。
 若いジャーナリストと1時間30分喫茶店でおしゃべりした。真面目な青年だったので、余計な話もして時間を潰した。彼には正義感があった。嬉しくなって、つい手助けしたくなってしまったのだ。
 幼い子供がいるのだろう。3・11後は放射能を敬遠してマスクをしたが、今はあきらめて止めたといった。空気中のチリに付着した放射性物質を排除などできないと悟ったのだ。そんな無念と怒りを労働貴族取材にぶつけてきたのだから。
<労働者を裏切り>
 戦後の労働運動には革新的な総評が存在、社会党を支持した。他方、経営者と癒着する保守的で反共主義の同盟が民社党を支持した。連合は、主にこの2大労組連合が合体して誕生した。それは総評の同盟化だった。
 革新的な労働者の組合を、自ら進んで解体したのである。それまで労働組合は、社会の底辺での生活を強いられてきた弱者の味方として行動した。日本社会で一定の政治力を、彼らにも与えてきた。社会の安定要素だった。
 総評の同盟化の背後で財閥や官閥、保守的な与党政治家が暗躍したことも重要である。
 労働貴族が公然と跋扈する日本社会では、結果的にさまざまな負の連鎖を持ち込んでしまった。慣れ合いと癒着が健全な労使関係を破壊した。とどのつまり、憲法が保障する労働者の権利に制約を加えることになった。言い換えると、労働者の人権を連合が奪うという、信じがたい環境つくりに手を染めてしまったのだ。
 中曽根バブルがはじけると、多くの労働者は突然解雇され、路頭に迷った。過労死が襲いかかる労働環境が、当たり前のように起きてきた。国際社会では、市民は生きるために街頭に出るのだが、日本の労働者はそれさえも放棄してしまった。
 ギリシャ以上に深刻な日本財政というのに官閥・財閥・政府は、自ら骨を削ろうとしないで、庶民向け大増税に狂奔している。それを、じっと黙認どころか支援する労働組合・連合である。労働貴族に支配される労働者を印象付けている。労働者を裏切っているのである。
<平和運動を止め>
 「連合の罪と罰」を執筆した最大の理由は、人間の幸せの唯一の条件である平和運動を放棄したことである。世界に冠たる平和憲法を死守するという、それまでの労働者・市民の大義を放棄してしまったことだ。
 戦前の政治体制である天皇制国家主義への回帰を求める極右に対して、塩を送ることにつながるものだから、それに強く怒ったのである。9条改悪に手を貸す行為に我慢ならなかった。たとえ連合が右傾化、極右に手を貸しても9条は燦然と光輝を失っていない。「日本人の平和主義はいい加減なものではない」(宇都宮徳馬)のだから。
 だが、影響は大きい。日本最大の組織である労働者の団体が平和運動を止めた政治的な損失は計り知れない。

 アジアの人々の信頼喪失が大きい。多くの日本人は気付いていない。9条憲法は、国際社会とりわけアジア諸国民に対する日本人・日本国の約束である。2度と戦争はしないという公約である。
 日本の労働組合は、日本人を代表してそのことを世界に発信してきた。それを労働貴族が支配する連合が放棄してしまった。日本から革新の火を消してしまったのである。その損失はいかばかりであろうか。
<進歩政党を解体し>
 日本の労働界が連合に集約されるや、当然のことながら政党にも波及することになる。労働者の政党である社会党の解体を約束してしまった。
 戦後の日本政治のタブーをご存知か。核武装論者は国民の代表になれない。9条改悪論を公約すると、選挙で敗北する。もう一つは増税である。この2つである。
 社会党が消滅した日本政治のもとでは、何でもアリという異常な事態が起きている。「日本国憲法を破棄してやる」とうそぶく石原都知事、「南京大虐殺はなかった」とする河村名古屋市長、「君が代・日の丸教育を自治体でやる」とする橋下大阪市長など極右が台頭する日本である。
 社会党解体の罪は大きい。
 読売新聞が憲法改悪案を提起、自民党が改憲草案をまとめた。小泉内閣だ。今また谷垣自民党のもとで、さらなる改憲草案が浮上している。既に国民投票法が実現、衆参両院に憲法審査会が。労働貴族の連合のもとで極右の花が開いている。
<日本を右傾化させ>
 アジアの人々が心配する日本の右傾化は、止まるところを知らない。これが周辺に懸念を与えて、東アジアの軍拡競争を表面化させることになる。それはワシントンの戦争屋(産軍複合体)を喜ばせている。
 21世紀を戦争の世紀に追い込もうと言うのか。

 W元連合会長の出身母体は新日鉄だ。昔から労使癒着の会社で知られる。さらにいうと、そこに降ってわいた3・11東日本大震災の悪しき主役の東京電力もまた、新日鉄レベルの御用組合が存在している。
 原発事件の背景には労使癒着が関係している。安全神話の垂れ流しに労使双方が悪しき貢献をしてきたものだ。健全な労働組合であれば、地震・津波対策の不備を経営陣に迫っていたであろう。
 不健全な労使関係が大事件の元凶でもある。健全でない労使関係は、全てを破壊する。東日本だけが被曝の対象ではない。日本全国の市民が恐ろしい内部被曝の対象者なのだ。東電労組の貴族たちは、いまどうしているのか。史上空前の大惨事の張本人だというのに、彼らはボーナスまで懐に入れている。不足分を近く電力料金の値上げでやり過ごすという。
 近くにマスクをする都民をよく見かけるが、放射能・放射性物質から逃げる術はない。
<家庭を壊し>
 銀座で豪遊する?これは財閥・財界人の、そして一部保守派政治家の世界だった。そこに割って入ったのが労働貴族である。それまで酒池肉林の世界の主役は、富豪・富裕層ら官閥・財閥・政閥ら特権階級の面々が占拠してきた。
 労働貴族は、銀座はいうまでもない。赤坂の高級料亭にまでも押しかける。政界の中枢奥深く潜入して密会と談合にも慣れてゆく。金と票を握る連合の暴走は止まるところを知らない。
 2009年の時点で自民党から政権を奪取するや、国の政策に関与する。民主党の公約に公務員の給与2割カットがある。最近やったことは7・9%、それも2年限りだ。連合の悪徳ぶりを露骨に印象付けている。
 財政破たんの一翼を担ってきた役人に手が出せない民主党だ。「消費増税をしない」という公約を反故にした野田政経塾政権は、連合にもコントロールされている。財閥・官閥に加えて連合にも操られている。労働貴族に手玉にとられて、不足分を市民に押し付けようというのだ。
 労働貴族は都内の1等地にマンションをいくつも所有、愛人を囲っているというのも、腐敗による豊富な金によっている。私生活は乱れる。家庭は破壊される。平穏な幸せは消し飛んでゆく。
<健康を害し>
 W元会長は自宅での孤独死である。秘書が見つけた。秘書はどんな人物なのか。マスコミは興味をもって情報収集に当たっているらしい。
 不健全な生活は体を壊す。長生きはできない。腐敗した金で身を滅ぼすことになる。分かりきっている。労働貴族の晩年は哀れである。
 その豊富な金で立派な主治医を抱えている。しかし、不摂生な生活をしている患者を治療できる名医など、この日本にいない。マイケル・ジャクソンでも失敗している。
 人間の命を薬や治療で、元の健康体にすることなど出来ない。この世にやぶ医者は沢山いる。労働貴族はこうした現実さえわかっていない。

 W元会長の早すぎる孤独死は、酷なようだが、自業自得と言わざるを得ない。
2012年3月7日10時30分記



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