民進党の迷走 内輪もめはたくさんだ
07/14 北海道新聞
加計(かけ)学園問題の追及など、野党第1党が果たすべき役割は重みを増している。内輪もめに時間を費やしている場合ではあるまい。
東京都議選での大敗を受け、民進党内の議論が迷走している。自民党が歴史的惨敗を喫したにもかかわらず、民進党は批判票の受け皿になれなかった。執行部の責任が問われても不思議はない。
そこで浮上したのが蓮舫代表の二重国籍問題を決着させるための戸籍謄本の公開だという。国民の感覚と、あまりにもずれている。
今回の自民党の敗北は、安倍晋三政権の下で進んだ政治の劣化に対する国民の懸念の表明だ。民進党に求められるのは、民意をくみ取れなかった原因を探り、次なる国政選挙で対抗軸たり得る姿を国民に示すことだろう。いまこそ視線を党内ではなく、有権者に向けてほしい。
都議選での民進党の獲得議席は5議席と、改選前の7議席を下回った。2013年の前回選挙で得た15議席の3分の1である。自民党に劣らぬ惨敗だ。
野田佳彦幹事長は「選挙の責任は幹事長にある」と明言してきたが、総括が優先だとして責任の所在を明確にしていない。このことが党内の反発を招いている。
都議選では、自民党東京都連との対決姿勢を鮮明にした小池百合子知事の陣営と、国政でも都政でも自民党批判を徹底してきた共産党が議席を増やした。自民党への逆風を考えれば当然の結果だ。
一方で民進党は、変革を託すべき存在と受け止められなかった。自民党との違いを明確に示せなかったことも一因ではないか。やはり憲法や安全保障、原発政策など基本政策で主張を明確にすることが不可欠だ。党内対立を恐れて議論を避けていては、党として一致した姿を示せまい。
蓮舫代表は、昨年9月の就任から間もなく10カ月を迎える。台湾との二重国籍をめぐる問題は、代表選の前後から浮上していた。
手続き上の瑕疵(かし)だとしても、自ら説明を尽くす姿勢は必要だ。だが戸籍の公開という手法を取れば、出自に関わる差別の助長につながりかねないとの批判がある。
そもそも問題が再浮上したきっかけは、一議員のネット上の発言にすぎない。党内の不満への対応ばかり優先するようでは、党の内向き姿勢を疑わざるを得ない。
加計学園問題や閣僚の失言などで安倍政権の支持率は急落し、足元が揺らいでいる。民進党がやるべきことはほかにあるはずだ。