憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

ブロー・ザ・ウィンド ・・12

2022-12-14 16:37:22 | ブロー・ザ・ウィンド

真夏の空は抜けるように青く、
白い砂浜を歩く二人の上で太陽は
夕刻の時まで灼熱の熱さをかえる事なく
照りつづける事を約束していた。
「あーーあつーいーーなんとかしてくれー」
アランの叫び声にも似た懇願をよそに
太陽はじりじりという音さえ立てそうに勢いを増していた。
「一番熱くなる時間だもの。しかたないよ」
「およがないのか?」
海に逃げこむ事を目論んだアランの瞳がちらりとレフイスをみた。
レフイスはアランの泳ぎに行こうという誘いには応じなかった。
「なんでさ?」
「ん。あのね、今日から、女の子なの」
「え?あ、ああ。そう」
アランは少し面喰ったけど、
アランも女性の機能を当然理解している年齢である。
女性への配慮も小さな頃からの教育でおそわっている。
「ざんねんだな」
「うん」
「せっかく、ビキニをみれたかもしんなかったのに」
「え?」
「スタイルいいもの」
「やだ。いままで、どこみてたわけ?」
「ぜんぶ」
アランはそう言うと砂をけって海にはしりだした。
レフイスの全部をみていたいんだよって
アランはいいたかったのかもしれない。
でもレフイスの性を意識してしまうアランを
男の子なんだよねってレフイスは思った。
テイオは少年のままレフイスの心に留まり
男である事をレフイスに意識させる事はなかった。
気恥ずかしいほど女性である事を意識させられる
異性としての眼差しはテイオにはなかった。
年齢だとレフイスは思う。
又、こんなふうにアランの眼差しによって
レフイスも自分が女性である事を知らし召させられ、
アランの好意がレフイスが女に生まれた事を感謝させてゆく。
そして、いつかレフイスは女性である事に誇りをもつことになるだろう。
それが全てアランの愛からはじまる。
自分がこんなにまで女性である事を意識させられる事がなかったように
レフイスも又これほど誰かを男性なのだと意識した事はなかった。
『テイオ。私達は巣の中でじゃれあっていた小猫だったね』
アランを見ると浮んだブイに捕まってレフイスをみつめていた。
レフイスがアランの探し当てたのが判ると
アランは手をふって見せレフイスのいる浜辺に向かって泳ぎ始めた。
上がって来たアランは
「向こうの岬の方にいかないか?」
と、たずねた。
レフイスは持っていたバッグの中から
タオルをとり出してアランにわたした。
アランが脱捨てたTシャツはレフイスが拾い上げておいたが
アランは始めから泳ぐつもりだったのだろう。
バミューダを掃いてきていた。
でも、薄手の生地が水に濡れて
アランの足にまとわりついていて歩きにくそうではあった。
岬まで30分は歩かなきゃならないだろう。
「よくってよ」
「あ?しんどい?」
「ううん」
「じゃあ。いこう」
一端町並みの中に入りこんで岬に行く前に二人は軽い昼食を取った。
テラスのイスはこんな客に構えてプラスチック製の物が並べられていた。



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