『サハリン物語』の背景は、まず分断された「南北朝鮮」がイメージとしてある。カラフト王国とロマンス王国がそれだ。 次に、ヤマト帝国はもちろん日本、シベリア帝国はソ連邦、ないしはロシアである。ゲルマン帝国は当然 ナチス・ドイツだ。
スパシーバ王子やリューバ姫、マトリョーシカ女王らは完全に架空の人物で、スパシーバはロシア語で「ありがとう」、リューバは「愛」を意味する。マトリョーシカは有名な人形「マトリョーシカ」からとったものだ(リューバ姫とマトリョーシカ女王は、知人のロシア人女性を少しイメージする)。 マリアとベラ、ナディアは、マリア・シャラポワ、べラ・チャスラフスカ、ナディア・コマネチらのスポーツ選手から名前を借りた。
ヤマト帝国の皇帝イワレヒコノミコトは神武天皇、後の皇帝カワミミノミコトは綵靖(すいせい・すいの漢字は右下が「女」である)天皇を、またタケルノミコトとスサノオノミコトは日本武尊、素戔鳴尊をイメージした。また、マミヤリンゾウとミヤザワケンジは間宮林蔵、宮沢賢治がモデルで、2人ともサハリン(樺太)には縁のある人物である。
シベリア帝国のイワン・レーニン前皇帝やスターリン皇帝はもちろん、レーニンやスターリンをイメージしている。チェーホフ将軍はロシアの作家・チェーホフからとったもので、サハリンには深い縁がある。 ゲルマン帝国のヒトラー皇帝はむろん、ナチス・ドイツのヒトラーがモデルだ。
時代背景は特定していない。ただし、朝鮮戦争のイメージが強く、例えばマオカ(真岡)上陸作戦は、実際の仁川上陸作戦がモデルになっている。ヤマト帝国やシベリア帝国の政変は、時代が大きく違うとはいえ実際の政争、政変がモデルになっている。 なお、全体の構想はホメロスの『イリアス』を念頭に置いた。
以上、主な背景やイメージを列挙したが、また気が付いたことがあれば書き記していきたい。
なお、この物語の作成に当たっては、ロシア人女性リューバ・カトレンコさんから創作上のインスピレーションを受けたので、ここに謝意を表したい。
リューバ・カトレンコさん
2016年のサハリン(ユジノサハリンスク周辺)